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ホームインスペクションとは?マンション・戸建ての費用相場やタイミングは?【プロ監修】

ホームインスペクションとは?マンション・戸建ての費用相場やタイミングは?【プロ監修】

2018年4月の宅地建物取引業法改正に伴い、中古住宅の仲介を行う際には、宅建業者に「既存住宅状況調査(ホームインスペクション)」の実施についての説明が義務付けられるようになりました。 そこで本記事では、ホームインスペクションの調査項目や費用相場、依頼するタイミングなどをわかりやすく解説します。

 


タクトホームコンサルティングサービス代表
亀田 融
東証一部上場企業グループの建設・住宅部門で、約33年間現場監督(注文住宅、賃貸マンション、官庁工事)及び住宅リフォーム事業の責任者として従事。その経験を活かし、会社設立。
東証一部上場企業グループの建設・住宅部門で、約33年間現場監督(注文住宅、賃貸マンション、官庁工事)及び住宅リフォーム事業の責任者として従事。その経験を活かし、会社設立。

日本の全住宅流通量(既存住宅+新築住宅)に占める既存住宅(中古住宅)の流通シェアは15%前後といわれ、欧米諸国と比較して非常に低い水準にあります。
この背景には、中古住宅に対する様々な不安が大きく関係しています。
「入居後に雨漏りが発生しないか」「シロアリ被害を受けていないか」「メンテナンスにどれ位の費用がかかるのか」「そもそもこの家はあと何年位もつのか」など、中古住宅にはたくさんの不安がつきものです。
一方、中古住宅の流通が盛んな海外では、住宅売買の前段階において建物の状態を調査して報告するホームインスペクターと呼ばれる専門家が古くから存在していました。
今後国内で中古住宅の流通が活性化するために不可欠なのが、ホームインスペクションの普及です。
これから住宅購入を検討している方は、是非この記事を読んで満足度の高い住宅を購入するための参考にしてください。

ホームインスペクションとは?

建物の調査・診断は多岐にわたり、欠陥住宅の調査や耐震診断、雨漏り調査をはじめとする特定の不具合の原因調査、さらには特定の部位の劣化度合いを調査するものなどがあります。
依頼者が何を目的に行うものなのかによって、調査の方法や調査の範囲、調査に使用する機材などが異なります。

ホームインスペクションに厳密な定義があるわけではありませんが、一般的にホームインスペクションと呼ばれているのは、消費者が主に中古住宅を売買する前に、住宅・建物に精通したホームインスペクターが目視で住宅のコンディションを把握して依頼者に報告する業務をいいます。

構造上の安全性に問題はないか、雨漏りの発生原因はないかなどのほか、建物の劣化度合い、欠陥の有無、メンテナンスが必要な箇所などを専門家が主に目視で調査し、第三者の立場から依頼者にアドバイスを行います。
したがって病院でいうところの「健康診断」といったイメージが近いと思います。
更には、新築住宅の内覧時の完成検査や工事中の検査を含めて、広義のインスペクションとすることがあります。

 

ホームインスペクションには種類がある?

2018年4月に宅建業法が改正され、「インスペクション」という言葉が少しずつ浸透し始めているのは前述しましたが、それによってインスペクションの内容がわかりづらくなっています。

インスペクションと呼ばれる業務は宅建業法改正前からすでに存在していて、国が定めた宅建業法上のインスペクション(「建物状況調査」といいます)とは多少目的や内容が異なっています。

「建物状況調査」は「既存住宅状況調査技術者」の資格を取得した建築士が実施するのに対して、宅建業法改正前からすでに存在していたインスペクションは建築士だけに拘わらず、様々な建築技術者(建築施工管理技士、住宅診断士など)により実施されていました。

また、調査・診断項目にも違いがあり、「建物状況調査」が基礎・外壁など建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の侵入を防止する部分に生じている劣化や不具合の状況を把握するための調査なのに対して、従来から行われているインスペクションでは建物をより詳しく調査します。
「建物状況調査」はあくまでも「既存住宅売買瑕疵保険」の加入基準を満たすことを目的として行うもので、以前から行われていたインスペクションを簡略化したものです。

したがって建物にどんな不具合が隠れているのか、どの様な修繕を行えば良いのかを詳しく知りたい場合には、建物状況調査を行うだけでは十分とはいえないので注意が必要です。

ホームインスペクションの調査内容

ホームインスペクションには前章でご紹介した様に2つの種類がありますが、いずれも主に目視による非破壊調査が原則です。(ただしオートレーザーや水分計、水平器、メジャーなどの簡単な調査・測定機器を使用します)

一方では、目視では確認できない壁や天井の内部を調べるための破壊調査や、様々な調査機器を使用した詳細調査なども広義のインスペクションに含まれます。
内容は調査の目的によって異なりますが、一般的なインスペクションの主だった調査項目は次の様になります。
・基礎、外壁、屋根、軒裏、バルコニー防水、雨樋など建物外部の劣化状況や不具合の有無の確認
・室内の床、壁の傾きの計測や仕上げ面の劣化状況の確認
・サッシ、室内建具の動作状況の確認
・水回り設備の動作状況の確認、漏水、排水管の異常の有無の確認
・換気、照明設備の動作状況の確認
・床下の確認(基礎の内側のひび割れ、漏水、シロアリの食害、構造材の腐食等の有無、断熱材の状況等)
・屋根裏の確認(構造躯体の劣化状況、金物の固定、雨漏り跡の有無、断熱材の状況等)

なお、建物状況調査の場合の調査対象部分は、構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分に限定されます。

ホームインスペクションで使用する主な調査・測定機器

写真提供:タクトホームコンサルティングサービス様

ホームインスペクションの費用の内訳

ホームインスペクションの費用はおおよその相場はあるものの、業者によって異なります。
この章ではホームインスペクションの費用の内訳をご紹介します。

ホームインスペクションの費用を構成するものは次の5つです。
・ホームインスペクター(住宅診断士)の調査費用
実際に調査を行うホームインスペクターの人件費です。
ホームインスペクションの所要時間は、延べ床面積30坪程度の一戸建て住宅で2.5~3.5時間ほどかかるのが一般的で、屋根裏や床下への侵入調査を行う場合には更に1時間ほどかかります。
・交通費
調査を行う現場までの交通費です。
ホームインスペクションには脚立やはしごなどの機材が必要になるので、車での移動が一般的です。
ガソリン代や有料道路代のほか、現場の状況によっては駐車料金がかかることがあります。
・調査機器、機材の損料
ホームインスペクションは目視での調査がメインといっても、オートレーザーや鉄筋探査機、水分計、デジタルカメラなどの調査機器を使用します。
これらの機器は使用すると寿命が短くなるので、それに対する損料がかかります。
また調査に高額な機材を使用する場合には、追加費用が発生します。
・報告書作成費用
ホームインスペクションでは、調査終了後に調査結果を報告書にまとめて依頼者に提出します。
作成には半日程度かかるので、その分の人件費が発生します。
・会社経費
事務スタッフがいる場合のスタッフの人件費や、事務所の賃料、光熱費、広告宣伝費などのコストです。会社の規模が小さい場合には、この分のコストが安くなります。

ホームインスペクションの費用相場【戸建て】

戸建て住宅のホームインスペクションの費用は、延べ床面積が30坪(約100㎡)以内の2階建て住宅の場合には、5~7万円程度を基本料金として設定している業者がほとんどです。
ただし床下や屋根裏に関しては、点検口から目視可能な範囲で調査を行います。
床下や屋根裏に侵入して詳細な調査を希望する場合には追加料金が加算され、トータルで10万円前後になるのが一般的です。

また、宅建業法上の「建物状況調査」のみを行う場合には調査項目が限定されるので、費用は通常のインスペクションよりも安く設定されていることが多く、3.5~5万円程度になります。
その他にドローンを使用した屋根の劣化調査や、赤外線サーモグラフィーを使用した雨漏り調査などの特殊な調査を行う場合には、オプション費用がかかります。


ホームインスペクションの費用相場【マンション】

マンションのホームインスペクションでは通常共用部分となる屋根や外壁、基礎などの外部の調査は行わないため、70㎡程度の一般的なもので調査時間は2~2.5時間程度になります。
したがって費用は一戸建て住宅よりも安く設定されていることが多く、4~5万円が相場です。
また、床下や屋根裏への侵入調査や破壊調査はできないことが多く、調査内容は限定的なものになります。
一方では中古マンションの場合でも一定の条件を満たせば瑕疵保険に加入することが可能ですが、その場合には追加の点検費用が必要になる場合があります。

ホームインスペクションを依頼するタイミングはいつ?

物件の買主がホームインスペクションを希望する場合には、売主に対して契約前のできるだけ早い時期に伝えるのがベストで、具体的には不動産仲介会社に物件購入の問い合わせを行う時が最適なタイミングです。

しかし、契約する直前までホームインスペクションの存在自体を知らなかったというケースもあるでしょう。
ホームインスペクションは契約する前に実施することで、万が一建物に重大な瑕疵が見つかった場合には購入を見直すことができるのが最大のメリットです。

この段階であれば無条件で申し込みを解約することが可能で、申込金があれば全額返還されます。
しかし契約後になると、解約することは困難になってしまいます。
この場合には、契約後にホームインスペクションを実施して重大な瑕疵が見つかった場合の措置などをあらかじめきちんと売主と取り決めておくことが大切です。

ホームインスペクションを依頼する時の流れ

一般的な住宅購入の流れは、物件見学→購入の申し込み→契約→(内覧)→引き渡し(決済)です。
ホームインスペクションを実施するタイミングは「購入申し込み」から「契約」までの間がベストなので、「買付証明書」や「申込書」などの書類を提出したらすぐにホームインスペクションの依頼を行います

ホームインスペクションの依頼から調査の実施までには1週間程度かかることが多いので、早めの依頼を心掛けましょう
そして万が一何らかの理由で売買契約後にホームインスペクションの利用を考える様になった場合には、必ず物件の引き渡し前までに行うことが大切です。
一方的に契約を解除することは困難でも、引き渡し前であれば売主側と交渉して必要な補修や修繕を行ってもらえる可能性があります。

また中古住宅の場合には、売主がすでにインスペクションを実施しているケースがありますが、その場合には重要なことが報告されていないことがあります。
したがって買主が自らホームインスペクターを選んで、直接依頼することをオススメします。

ホームインスペクションを依頼する時の注意点

ホームインスペクションを行うインスペクター(住宅診断士)には、中立・公平な立場で診断、報告を行う第三者性の確保が不可欠とされています。
そのため売主や不動産業者が斡旋する業者は、第三者としての立場という点で不安があります。
売主や不動産業者から斡旋された業者の場合には、報告書の内容に何らかの忖度が働く可能性が高いのです。
売主も不動産業者も物件を売りたい立場なので、売買に不利になる様な報告は当然避けて欲しいと思うものです。
たとえ補修すべき不具合があったとしても事実がありのままに報告されないといったことが考えられます。
したがって買主が自ら探したホームインスペクターに依頼することが大切です。
住宅の売買やリフォームする際に利害関係のない立場の人や会社を選ぶ様にしましょう。
また費用は安いに越したことはありませんが、前述した様にホームインスペクションの費用の大部分は人件費なので、相場よりも極端に安い場合にはきちんとした調査が行われない恐れがあります。
インスペクションは不動産という高額物件を購入するにあたって安心を買うものなので、価格の安さだけで業者を選ぶことがない様にして欲しいと思います。

まとめ

宅建業法が改正されて、中古住宅の仲介を行う際には宅建業者がホームインスペクションの説明を行うことが義務化されてから2年以上が経過しました。
少しずつホームインスペクションの認知度が高まりつつあるようですが、まだ十分に活用されているとはいえません。
ホームインスペクションの説明が義務化された大きな理由の一つが、中古住宅流通の活性化による空き家対策です。
買主が安心して中古住宅を購入できる様にするための仕組みなので、皆様にも是非積極的に利用して欲しいと思います。

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