ただでさえ引っ越しは荷造りでバタバタと忙しいものです。
引っ越しの手続きなんて、後でまとめてやれば良いと思っていませんか?
しかし引っ越しの手続きを事前にやっておかないと、引っ越した先で電気がつかなかったり、インターネットがしばらく使えなかったり、保険証が使えなかったりするケースも考えられます。
スムースな新生活がおくれるように、あらかじめ引っ越し届けを出さなくてはいけないものをチェックしておきましょう。
引越手続き8ステップ
■①転出、転居の手続き
転出の手続きをするのか、転居の手続きをするのかは、引越し先が今住んでいる場所と同じ市区町村かどうかで違います。
現在住んでいる市区町村と同じ市区町村であれば「転居届」を提出します。
今とは違う市区町村に引っ越すのであれば「転出届」を、これまで住んでいた市区町村に提出しなくてはいけません。
「転居届」は新しい場所に引っ越して14日以内に提出します。
「転出届」は、引っ越しをする14日前から引越し当日までの間に提出します。
引越し先が同じ市区町村か、違うのかによって、届け出る日も変わるので気をつけてください。
■②転入の手続き
現在住んでいる市区町村とは違う市区町村に引っ越した時に提出します。
同じ市区町村であれば「転居届」を出すだけで完了していますので、「転出届」や「転入届」はいりません。
新しく住む市区町村に、引っ越した日から14日以内に届け出てください。
■③電気・ガス・水道
電機やガス、水道は、引っ越す直前まで使いますし、引っ越してからすぐに使用したいもの。
新しい冷蔵庫やエアコンを引っ越しに備えて取り付ける場合など、場合によっては、引っ越しの日よりも前に使用できるようにしておいたほうが使い勝手が良いかもしれません。
電気
電気は領収書や検針票に書かれている連絡先に、移転手続きをどのようにすれば良いか問い合わせてみましょう。
地域によっては、インターネットの電気会社のサイトで手続きを行える場合もあります。
現在使用している電力会社に引っ越すことを連絡すると、約束した日時に担当者が家まで訪れます。
そして係員がメーターを見て計算し、引っ越し直前まで使っていた電気料金を支払います。
引越しシーズンは電力会社も混むので、最低でも引っ越す一週間以上前には連絡をしておきましょう。
以前は、引越し先ではブレーカーを上げるだけで電気を使うことができました。
しかし、2016年4月からの電力自由化にともなって、引越し先の手続きをあらかじめしておかないと電気が使えなくなってしまいました。
マンションやアパートの場合は、電力会社が選べる場合と選べない場合があるので、引越し先がどのような契約になっているのか調べてみましょう。
ガス
ガスは領収書や検針票に書かれている連絡先に、引っ越し手続きをどのようにすれば良いのか聞きましょう。
ガス会社によっては、インターネットの手続きだけで済む場合があります。
現在使っているガス会社に、引っ越しの日を連絡すると、引越し当日もしくは約束した日にガス会社の係員がメーターを見て精算をします。
そして、引っ越す寸前まで使っていたガス料金を支払うのです。
ガスの場合は、引越し先でも係員が家にやってきて、ガズの開栓に立ち会います。
もしガス設備に不備があると、災害が発生しかねません。
引越し先の場所会社にも、いつ引っ越すのかを事前に連絡しておきましょう。
水道
水道は領収書や検針票に書かれている連絡先に、移転手続きについて問い合わせてみましょう。
電気の場合と同様に、係員が約束した日に来て、メーターを確認した上で引っ越す直前まで使用していた水道料金を精算します。
引っ越した先では、「水道使用開始申込書」を記入してポストに投函します。
もし、「水道使用開始申込書」が新しい家のメーターボックスや、家の中に見当たらなければ、引っ越した先の自治体の水道会社に連絡しましょう。
引っ越した先で水が出ない場合は、水道のメーターボックスの水止め栓を探しましょう。
栓を左に回すことで水が出るようになりますが、それでも水が出ない場合は自治体の水道会社に連絡してください。
■④インターネット、電話の移転手続き
引越し先がどのような通信環境かを確認しましょう。
「インターネット完備」「ネット利用料は無料」などが書かれている場合は、自分で手続きの必要はありません。
家賃や管理費の中にインターネット利用料が含まれているからです。
「インターネット対応」「フレッツ光導入済み」というような表記であれば、自分で回線契約する必要が出てきます。
引っ越してすぐにネット環境、通話の環境が整えられるように、引っ越す2ヶ月ほど前から手続きしておくと良いでしょう。
ネット回線や電話回線は工事が必要になるので、特に引っ越しが集中する3月前後は早めに申し込んでおく必要があるのです。
早すぎることは無いので、ゆとりをもって申し込んでおきましょう。
■⑤車やバイクの移転手続き
現在住んでいる市区町村と同じ市区町村に引っ越す時は、自分の住居の「転居届」を提出するだけで自動的に車やバイクの住所変更も行われます。
車やバイクの移転手続きは特に必要ありません。
現在住んでいる市区町村とは違う場所に引っ越す時は、「廃車申告書」をこれまで住んでいた市区町村に届け出なくてはいけません。
その時に、ナンバープレートも返します。
引っ越した先の市区町村では、自分の住居の「転出届」を提出して、その後に「廃車申告受付書」を提出すれば、新しいナンバープレートがもらえます。
引っ越した先の市区町村に、「標識交付証明書」と古いナンバープレートを提出することでも、新しいナンバープレートをもらうことができます。
■⑥ペットの移転手続き
飼っているペットが、犬や特定の動物の場合は引っ越しの時に手続きしなくてはいけません。
これまでと同じ市区町村に引っ越すのであれば、自分の住居の「転居届」を提出することでペットの移転手続きも自動的に行われます。
これまでとは違う市区町村に引っ越す場合は、新しい市区町村もしくは保健所で住所変更の手続きを行います。
引っ越してから30日以内に手続きが必要で、手続きの時には「狂犬病予防注射証」と「交付された鑑札」が必要です。
■⑦国民健康保険・国民年金
会社で社会保険や国民年金に加入している場合は、会社で手続きをするので自分で住所変更をする必要はありません。
国民健康保険の場合は、自分で市区町村の窓口に出向いて手続きする必要があります。
同じ市区町村に引っ越した場合は、14日以内に住所変更届を提出します。
違う市区町村に引っ越す時には、これまで住んでいた市区町村に「喪失届」を提出しなくてはいけません。
「喪失届」は引越し当日までに行わなくてはいけないので注意しましょう。
引っ越した先の市区町村では、まず「転入届」を提出して、その後に「保険の加入手続き」をします。
引っ越してから14日以内に行いましょう。
国民年金は、引っ越した先の市区町村で、引っ越した日から14日以内に住所変更届けを提出します。
同じ市区町村内で引っ越した場合も手続きが必要ですので、忘れないようにしましょう。
■⑧仕事関係者、友達、親類への連絡
自分のことで精一杯で、ついつい身近な人への連絡を忘れてしまいがちです。
携帯電話やスマートフォンがあると、住所変更を伝えるのがおっくうになってしまいますが、引っ越す前には周囲の人に連絡をしておきましょう。
会社の場合、転居届や通勤手当など、会社での引っ越し手続きが必要な場合があります。
公共機関別、引っ越し手続き
■市区町村で行う手続き
転居届、転出届、転入届
引越手続きの書類の中で、一番多いのが市区町村での手続きです。
引越し先が同じ市区町村の場合は「転居届」を提出します。
引越し先が違う市区町村の場合は「転出届」と「転入届」を提出します。
国民健康保険、介護保険
また、国民健康保険や介護保険も手続きも役所で行います。
雇用形態が変更になって、社会保険から国民健康保険になる場合などは、社会保険の失効手続きが完了になった後、新しく国民健康保険の手続きを行うことができます。
失効手続きから新しい国民健康保険の発行まで、少なくとも1週間程度かかります。
その間は、保険証が無い状態になりますので病院に行くタイミングに注意してください。
もし新しい保険証が発行されていない場合は、一旦自費で全額を支払い、後日手続きを行うとお金が返却される仕組みになっています。
国民年金
国民年金も役所で手続きが必要です。
会社で社会保険に入っている場合は、会社で手続きを行います。
印鑑証明
印鑑証明の場合は、同じ市区町村に引っ越すのであれが「転居届」を出すだけで自動的に住所変更が完了します。
違う市区町村に引っ越す場合は、これまで住んでいた市区町村に「転出届」を提出することで、自動的に印鑑証明が廃止されます。
引っ越した先の市区町村がこれまでと違う場合は、「転入届」を済ませた後に、新たに「印鑑証明」を登録します。
車、バイク
車やバイクの引越手続きも、役所で行わなくてはいけません。
これまでと同じ市区町村に引っ越すのであれば、自分の住居の「転居届」を出すだけで車やバイクの住所変更も完了します。
今までとは違う市区町村に引っ越す場合は、これまで住んでいた市区町村と、新しく住む市区町村での手続きが必要になります。
児童手当
児童手当は申請して初めてもらえるお金なので、引っ越してから15日以内に新しい市区町村に書類を提出しなくてはいけません。
今までと同じ市区町村に引っ越す場合は、自分の住所変更の「転居届」を提出すれば、児童手当のほうの手続きも完了しています。
しかし、これまでと違う市区町村に引っ越す場合は、今まで住んでいた市区町村で「所得証明書」か「課税証明書」をもらっておく必要があります。
そして、引っ越した後、新しい市区町村に「児童手当認定請求書」と「所得証明書」もしくは「課税証明書」を提出します。
医療費助成
重度障害者、ひとり親家庭、小児医療助成などの手続きも役所で行います。
これまでと同じ市区町村に引っ越す場合は「転居届」を出すだけで、自動的に住所変更が行われています。
これまでと違う市区町村に引っ越す場合は、住んでいた市区町村に「医療証」を返却します。
そして、新しく住む市区町村に医療費の助成を申請しなくてはいけません。
これまで住んでいた役所で「転出届」を提出したら、「所得証明書」をもらっておくようにしましょう。
新しい市区町村に、これまでの「所得証明書」を提出しなくてはいけません。
転校届
子どもの学校の転校も手続きが必要です。
私立の場合は、学校に届け出るだけで手続きが完了するケースがほとんどです。
公立の場合は、まず学校に「転校届」を出します。
すると、学校から「在学証明書」と「教科書給与証明書」が渡されます。
これらは新しく入る学校に提出するものなので、無くさないようにしましょう。
引っ越す先の市区町村もしくは教育委員会に、「在学証明書」を提出します。
すると役所から「転入学通知書」が渡されます。
新しく転校する学校に、「転入学通知書」と、以前の学校から渡された「在学証明書」と「教科書給与証明書」を提出することで、転校の手続きを行うことができます。
ペットの登録
犬や特定の動物の場合、引っ越しの手続きが必要になります。
特定の動物とは、ワシやタカ、トラやワニなど万が一逃げ出すと人に危害を加える可能性がある動物のことです。
これらの動物は約650種類ほどで、国が指定しています。
大きさとは関係なく、カミツキガメやドクトカゲなど比較的小さな生き物も指定されています。
環境省自然環境局の動物愛護管理法の中に「特定動物リスト」がありますので、自分が飼っているペットが当てはまらないか、一度チェックしてみましょう。
マイナンバー
自治体によって、引っ越しの手続きが異なります。
引っ越す前の市区町村と、これから引っ越す市区町村に、引越しに関わるマイナンバーの手続きについて問い合わせてみましょう。
パスポート
パスポートの場合は、本籍や名前が変更になった場合に手続きが必要になります。
結婚して本籍や名前が変わった場合が一番多く見られるケースです。
それ以外の住所変更だけであれば、本籍が変わらなければ手続きする必要はありません。
なるべく早目に
自治体によっては、手続きを行う建物やフロアが別々の場合もあり、時間が取られてしまうことも予想されます。
なるべく早目に行くようにしましょう。
■警察署で行う手続き
免許証
免許証も、住所変更を行わなくてはいけません。
新しい住所の住民票を持って警察署に行き、住所変更を行います。
これまで住んでいた市区町村の警察署には、何も届け出を出す必要はありません。
車検証
車やバイクの車検証も、引越手続きをしなくてはいけません。
車もバイクも排気量によって、手続きをする場所が違います。
・普通自動車の場合:管轄の運輸支局もしくは自動車検査登録事務所
・軽自動車の場合:管轄の軽自動車検査協会
・126cc以上のバイクの場合:管轄の運輸支局もしくは自動車検査登録事務所
・125cc以下のバイクの場合:市区町村
ナンバープレートが引っ越しで新しくなる場合は、料金がかかります。
例えば運輸支局で自分で車庫証明を取る場合は、4000円ほどかかります。
行政書士などに車庫証明の取得を代行してもらうと、3万円以上かかる場合もあります。
よく調べてから手続きを行いましょう。
■郵便局で行う手続き
郵便局に転居届を出すことで、以前の住所に届いた郵便物を新しい住所に転送してくれます。
約一年間新しい住所に転送してくれるので、その間に関係先に転居のお知らせを出しておきましょう。
引っ越しが決まったら、もよりの郵便局に転居届を提出します。
日本郵便のホームページでも、転居届を提出することができます。
クレジットカード会社などの場合、転居先には郵便物を転送しないケースもあります。
全ての郵便物を転送してもらえるわけではないので注意が必要です。
タイミング別、引越手続き一覧
■引っ越す1ヶ月から2ヶ月前
・固定電話の引っ越し手続き
NTTと契約している場合は、116番に電話することで引越手続きが行えます。
・インターネットの引越手続き
特にこれから引っ越す先のインターネット接続の手続きは、早めにしておきましょう。
工事が必要な場合は、事前に日程を決めておかないと引っ越した先でしばらくネットが使えなくなってしまいます。
■引っ越す1週間から2週間前
・市区町村で転出届を出す
引っ越す14日前から受け付けています。
役所が開いている曜日、時間帯を調べて、早めに済ませてしまいましょう。
・国民健康保険
これまで住んでいた自治体に、資格喪失届を提出します。
・学校に転校届を提出する
これまで通っていた学校に「転校届」を提出したり、学校から「在学証明書」と「教科書給与証明書」ももらったりします。
また、新しく転校する学校に、「転入学通知書」と、前の学校でもらった「在学証明書」と「教科書給与証明書」を提出します。
・電気、ガス、水道
それぞれの会社に引っ越すことを連絡します。
そして引越し当日までの使用料金を精算します。
・郵便局
引越し先への郵便物の転送手続きを行います。
・携帯電話などの通信
契約している会社に移転手続きを提出します。
・銀行、保険、クレジットカード
それぞれ利用している会社に住所変更届を出します。
特に保険やクレジットカードの場合、転居届を出していないと大切な郵便物が届かなくなってしまいますので気をつけましょう。
・介護保険
これから引っ越す市区町村の役所に、「介護保険受給資格者証明書」を提出します。
■引っ越した後にすること
・転居届・転入届
引っ越してから14日以内に行います。
これまでの転出証明書が無いと、転入届が受理されませんので注意して下さい。
・学校の転入学届
公立か私立かによっても手続きが異なりますが、、「転入学通知書」や「在学証明書」、「教科書給与証明書」を提出します。
・国民健康保険、国民年金、厚生年金、マイナンバー
引越してから14日以内に行います。
・印鑑証明
新しく引っ越した市区町村で新たに登録します。
・児童手当
引っ越してから新しい市区町村で15日以内に手続きを行います。
手続きが遅れると金額が下がる場合があるので気をつけましょう。
・運転免許証
現在使用している運転免許証の他、新しい住民票も必要です。
引っ越した先の警察署に手続方法や取扱時間を聞いてみましょう。
・車やバイクの登録変更や車庫証明
引っ越してから15日以内に、新しい市区町村にある陸運支局で手続きします。
・ペットの登録
犬や特定動物の場合、新しい市区町村の役所や保健所で手続きを行います。
引っ越してから30日以内に行いましょう。
引っ越し前の手続きは、なぜ必要か
スマートフォンや携帯電話があれば、どこにいても連絡ができる時代なのに、なぜ引越手続きが必要なのかと思うかもしれません。
しかし、住民票を引っ越してから変更するのは義務なのです。
もし引っ越してから14日以内に手続きをしないと、5万円以下の罰金を支払わなくてはいけません。
引越手続きの注意点
特に自治体で行う手続きは、役所があいている平日の昼間でないと届け出ができないものがかなりあります。
特に引っ越した後の転入届や国民健康保険の住所変更、国民年金や厚生年金の住所変更、マイナンバーはどは引っ越してから14日以内に行う必要があります。
また、児童手当や車やバイクの登録変更は、引っ越してから15日以内に手続きをしなくてはいけません。
ペットや特定動物の登録は、引っ越してから30日以内に行う必要があります。
それぞれ、提出する期限があるので事前に役所に行く計画を立ててから行くと良いでしょう。
まとめ
引っ越しは荷造りばかりに気持ちが集中してしまいがちですが、役所や警察署、郵便局でも届け出ないといけない書類があります。
特に初めての引っ越しの場合は、何をしたら良いかわからなくなってしまいます。
わからなくてそのままにしていると自分が不便なだけでなく、届け出ないことで罰金を払う可能性まで出てきてしまいます。
新生活で困らないためにも、引越手続きをキッチリしておきましょう。