壁紙の掃除なんてできるの? と思うかもしれません。最近の壁紙は汚れないように繊維に工夫がされていたり、洗剤を使用してもビニールなので染み込まないビニールクロス製の壁紙もあります。
壁は面積が広いので、いったん掃除をはじめると後に引けないイメージがあります。また、壁紙の掃除は天井付近などは手が届かないので、ついつい面倒に感じてしまいます。そのため、なかなか壁の掃除をするきっかけがつかめないまま、何年も経ってしまうことも。
壁紙のような、広い範囲の掃除をする時には、最初から完璧主義を目指すのではなく、今週はこの壁、来週は隣の壁、というように少しずつやっていくと挫折しません。壁紙は、さっと拭くだけで部屋の明るさがワンランクアップするので、ぜひ試してみましょう。
4つの素材別、壁紙の掃除方法
壁紙の素材は大きく分けて4種類あります。
・ビニールクロス壁紙
・布クロス壁紙
・漆喰(しっくい)壁
・砂壁・綿壁
■①ビニールクロス壁紙
ビニールクロス壁紙の例
ビニールクロス壁紙は一般的な壁紙です。ある程度水に強いので、洗剤をそのままスプレーすることもできます。重曹スプレーなどの洗剤も使用できますし、クリームクレンザーも使えます。
白い壁紙であれば塩素系漂白剤の使用も可能です。古い歯ブラシや、タワシなどで、やさしくこすって汚れを落とすこともできます。
また、メラミンスポンジでこすっても汚れが取れます。4種類の壁紙のうちでは、一番掃除がしやすい壁紙と言えます。
■②布クロス壁紙
布クロス壁紙の例
布クロス壁紙は、液体がにじみやすいので、お掃除には注意が必要です。水と洗剤と、どちらも吸収してしまうのです。うっかり水や洗剤を布クロスにスプレーすると、一箇所だけブカブカになってしまったり、布だけ飛び出てきてしまうこともあります。
目立つ汚れは、消しゴムで軽くこすると消える場合がありますが、あまりゴシゴシ消しゴムでこすってしまうと布が傷んでしまいます。普段のお掃除は、水拭きではなくから拭きか掃除機を使いましょう。
■③漆喰(しっくい)壁
最近は、自分でぬることができるしっくい塗料も販売されるようになったので、しっくいの壁を一般家庭でも採用しているケースも増えてきました。しかし、しっくいは、水や洗剤が染み込んでしまうため、一度ついてしまった汚れを落とす方法は残念ながらありません。
鉛筆で書いてしまった汚れは、消しゴムで落とすことができます。
■④砂壁・綿壁
和室に多い壁です。独特の風合いで、綿の中にキラキラと光る素材が入っているものもあります。
こちらも水や洗剤が染み込んでしまうため、一度ついてしまった汚れを落とす方法は残念ながらありません。
また、強くさわるとポロポロと落ちてしまう素材なので、ハタキでホコリを取る程度にしておきましょう。
8つの汚れの原因別 壁紙の掃除方法
■①ビニールクロス壁紙についた【手アカの汚れ】の掃除
重曹を水で溶かしたものを、壁にスプレーして雑巾でふきとります。1度で落ちないようでしたら、2度、3度と繰り返してみましょう。
重曹スプレーをした後は、から拭きをして水分を拭き取ります。十分に水分が取れていないと、壁紙が水を吸ってふくらんでしまったり、カビてしまったりする場合があります。
■②ビニールクロス壁紙の【黄色いタバコのヤニ汚れ】の掃除
部屋でタバコを吸っている人がいる場合、ビニールクロスの壁紙や天井が黄色く汚れています。ヤニの汚れと聞くと、一気に洗剤でゴシゴシしたくなりますが、その前にまずは壁のホコリを取ります。ホコリの下にヤニの汚れがあるので、まずはホコリを取ることからはじめるのです。最初に、壁紙表面のホコリを掃除機で吸い取りましょう。クイックルワイパーのようなものや、高いところはハタキでもかまいません。
ホコリが取れたら、今度は重曹水やマジックリンなど、住居用のアルカリ性洗剤で壁紙を拭いていきます。雑巾に洗剤をスプレーして、壁紙を拭いていきましょう。直接壁紙にスプレーしてしまうと、もし壁紙がデリケートな素材でできている場合に傷んでしまいます。必ず見えない部分で洗剤のテストをしてから、目立つ部分の掃除をしてください。
何年もそのままにしていたタバコのヤニの黄ばみは、なかなか落ちません。壁紙に直接洗剤をスプレーする場合は、洗剤の液ダレが線になってしまわないように注意しましょう。
雑巾では落ちなかった場合は、軽く水を吸わせたタワシやスポンジ、古くなった歯ブラシなどで壁をこすります。こする時は、力強くゴシゴシしてしまうと壁紙が傷ついてしまう場合があります。
やさしく「の」の字を書くようにして壁をこするといいでしょう。こすり続けていると、汚れた小さな泡がモコモコと出てきます。小さな泡が白くキレイになるまで、こすり続けましょう。
洗剤を使う以外に、水を含ませたメラミンスポンジで壁をこするのも効果的です。
■③ビニールクロス壁紙の【薄黒い汚れ】の掃除
壁にホコリやスス、クモの巣などがたまってくると、壁が薄黒く汚れてきます。真っ白だった壁が、最近なんだか薄汚れてきたなと思ったら、ホコリがたまっている証拠です。
特に家具と壁が接触している部分や、冷蔵庫の裏、パソコンやプリンタ、テレビと壁が接触している部分などが汚れがちです。最初に拭き掃除をしてしまうと、汚れが広がってしまう恐れがあります。まずは、掃除機で壁のホコリを吸いましょう。高い部分はハタキや乾いたクイックルワイパーなどを使用しても良いでしょう。
次に、家庭用洗剤もしくはクリームクレンザーを雑巾につけて、壁紙を拭いていきます。特に電気のスイッチのまわりについてしまった手垢や手の油の汚れは、クリームクレンザーが有効です。
これだけはキレイにならないようでしたら、壁紙に直接洗剤やクリームクレンザーをつけて、タワシやスポンジ、古くなった歯ブラシなどで壁を優しくこすります。強くゴシゴシしてしまうと、壁紙を痛めてしまうので、優しく「の」の字や円を描くようにこすっていきましょう。
洗剤を使用したくない場合は、水を含ませたメラミンスポンジで壁をこすってみましょう。
一度キレイにしたら、普段の壁紙の掃除にはあまり手をかけずに済みます。ホコリを取るためにハタキをかけるだけで良いでしょう。
■④壁紙に描かれた【クレヨンやマジックの汚れ】の掃除
クレヨンは、中性洗剤を含ませた歯ブラシで軽くたたくようにすると落ちます。それでも落ちない場合は弱いアルカリ性の洗剤を使います。
弱アルカリ性の洗剤で拭いても落ちないようであれば、弱アルカリの洗剤とクリームクレンザーをミックスさせて拭いてみましょう。
マジックは、裏技として世間でよく知られているのがエアーサロンパスや塗るタイプの鎮痛消炎剤をつける方法です。一見驚いてしまいますが、良く落ちる方法ですので試してみると良いかもしれません。
その他のマジック落としとしては、ガソリンタンクの水抜き剤を使う方法もあります。イソプロピルアルコールという成分が入っており、ホームセンターなどで数百円程度で販売されています。
マニキュアの除光液などはクロスそのものを痛めてしまう危険性が大きいので、おすすめしません。
■⑤壁紙に書かれた【ボールペンの汚れ】の掃除
ボールペンの汚れは、ついてしまってからすぐに対処することが必要です。くっついてしまってから時間が経つと、落とせなくなってしまいます。特に赤や青の色がついたものは、なかなか落としにくいので気を付けてください。
雑巾にエタノールをつけて、軽くたたくようにして拭きます。クリームクレンザーを雑巾につけてたたく方法でも、ボールペンの汚れが落ちます。雑巾だと細かい部分まで落ちないようであれば、綿棒を使うと良いでしょう。
裏技的な方法としては、ボールペンの跡の上から水性ペンでなぞる方法があります。何色の水性ペンでもかまいません。すると、ボールペンで書いた部分が浮き出てくるので、さっと拭きます。あくまでも裏技なので、端のほうでテストしてから全体を試すようにしてください。
■⑥壁紙についた【頑固な汚れ】の掃除
色のついたボールペンの汚れなど、なかなか落ちないものは、最終手段として塩素系の漂白剤を使用します。この方法は、壁紙が白いものしか使用できませんので注意してください。壁紙に色がついていると、壁紙の色まで落ちてしまいます。
まずは塩素系漂白剤を水でうすめたものを、歯ブラシにつけて汚れの上をこすります。漂白剤を汚れにつけるイメージです。そして数分そのまま置いておくと、汚れが消えて白くなります。塩素系の漂白剤は、刺激が強いので換気をしながら使用するようにしてください。
書類の修正液で「ガンヂーインキ消・ボールペン用」という昔ながらの製品があります。これも壁に書かれたマジックに有効です。使用する時は、壁紙の色が落ちてしまわないか、端でテストしてから使うようにしてください。
■⑦壁紙についた【カビの汚れ】の掃除
結露する部屋だったり、湿っぽい部屋だったりすると、壁紙もカビることがあります。黒カビが生えてきてしまった場合は、こすってしまうと黒カビの汚れが広がってしまうので、最初に掃除機で吸い取ってしまいましょう。
湿っていないカビの汚れは、掃除機だけで落ちますが、水分を含んだ黒カビはすぐには落ちてくれません。そのような場合は古い歯ブラシを水に濡らして、軽くこすります。その後にから拭きをして、どの位落ちたのか様子を見てみましょう。
それだけでは落ちない場合、塩素系漂白剤を水で薄めたものを、雑巾や布に含ませて壁を拭きます。このやり方は、壁紙が白い時は良いのですが、色がついている壁紙の場合は色が取れてしまうかもしれません。端でテストしてから、目立つ部分も吹くようにしてください。塩素系漂白剤は刺激臭が強いので、必ず換気しながらフタを開けるようにしてください。
■⑧トイレの壁の【黄ばみ汚れ】の掃除
トイレの壁紙の黄ばみ汚れや茶色い汚れの主な原因は「尿石」です。尿石汚れはアルカリ性なので、酸性の洗剤で拭くと落ちます。
エコ洗剤として活用されているクエン酸スプレーで落ちない場合は、サンポールなど酸性洗剤で落としましょう。
壁紙掃除をする前の準備
最初に洗剤や水を使うのでは無く、掃除機やハタキでほこりを落としましょう。壁紙の上にホコリがついたまま洗剤や水で濡らしてしまうと、ほこりが壁紙の中まで染み込んでいしまったり、汚れがあちこちに広がってしまったりします。
必ず汚れは先に取りましょう。高い場所は掃除機では届かないので、乾いたクイックルワイパーなどで拭いても良いでしょう。
壁紙掃除に使える便利グッズ4選
■①激落ちなどのメラミンズポンジで壁紙掃除
家の中の色々な掃除に使われているメラミンスポンジですが、壁紙の掃除にも使うことができます。
洗剤を使用しないので、壁紙の色が落ちる心配もほとんどありません。
■②古い歯ブラシで壁紙掃除
デコボコがあるタイプの壁紙に効果を発揮するのが、古い歯ブラシです。頑固な汚れが壁紙にくっついてしまった場合でも、歯ブラシを使うことで汚れをかき出すことができます。
■③消しゴムで壁紙掃除
壁紙掃除で役に立つのが消しゴムです。ポツンとついてしまった汚れは、消しゴムで消せることもあります。漆喰(しっくい)の壁や、布クロスの壁についてしまった汚れも消しゴムで消すことができます。
■④重曹で壁紙掃除
エコ洗剤として活用されている重曹ですが、壁紙の汚れも取ることができます。水100mlに小さじ1杯の重曹を溶かして重曹スプレーを作りましょう。直接壁紙にスプレーするか、掃除用の布に重曹スプレーを含ませて掃除してください。
壁紙掃除の注意点
壁紙と壁紙の継ぎ目を掃除する時には、あまり水分を含ませないようにしましょう。水分が多いと、その部分から壁紙がはがれてきてしまいます。ビニールクロス壁紙といっても100%ビニールではなく、ビニールの裏に紙が貼ってあるものです。そのため、断面などの部分では水分を吸収しやすくなっているので気をつけてください。
壁紙の汚れは、掃除代行のプロであってもスッキリとキレイには落としにくいものです。インクや、イソジンのようなうがい薬、ケチャップや唐辛子など、色のついたものが壁についた時は、なるべく早く取らないと後からでは落ちなくなってしまいます。
紫外線で日に焼けてしまった壁紙の変色、退色などは汚れではないので元通りの色にすることはできません。掃除をしても汚れを落とすのが難しいようであれば、壁紙の張り替えを考えたほうが良いかもしれません。
壁紙掃除のコツ
壁紙を掃除する時のコツは、弱いものから強いものへと試していくことです。
たとえば、最初はハタキでホコリをはらいます。その次に、洗剤はつけないで、絞った雑巾で拭きます。それでも汚れが落ちなかったら洗剤を使用します。
使う洗剤も、最初は弱いものからはじめましょう。どうしても汚れが落ちない場合で、白い壁紙であれば塩素系漂白剤を使います。
まとめ
壁がじょうぶなので、壁紙までじょうぶだと思いがちですが、壁紙の素材によっては非常に繊細なものでできています。力を入れてこすりすぎると、その部分だけ色が薄くなってしまったり、壁紙がやぶれてしまうこともあるので気をつけましょう。