床のワックスがけは、半年に一回が目安です。光沢と、うるおいのある輝きを持ったフローリング、憧れますよね。
ワックスを選ぶポイントは、ズバリ「濃度」です。手軽に使えてすぐに乾燥するタイプのものは使いやすいですが、すぐに剥がれてきます。濃度が濃くて半年間長持ちするものは、乾燥にも30分以上かかります。最近の製品では、掃除と一緒にワックスがけができるシートも販売されています。
ここでは、ワックスがけの方法についてご紹介していきます。少しの工夫で、キレイで長持ちする床になりますよ。
床のワックスがけコツと方法9つ
■1 ワックスがけできる床かどうか材質を調べる
床のワックスがけの場合は、床の素材が何でできているかを知ることから始めましょう。フローリングは「無垢材」か「合板」か、に別れます。
無垢材の床はワックスがけできる?
「無垢材」であればワックスをかけたほうが良い木材なのか、かけないほうが良い木材なのかは木の材質によって違います。建物を建てた時の業者に、木が何を使用しているのか、ワックスは必要かどうかを聞いてみてください。
合板の床はワックスがけできる?
「合板」は、全般的にワックスをかけたほうがより美しく、汚れもつきにくくなります。
床暖房の床はワックスがけできる?
床暖房など、機能的な床になっている場合は、説明書をよく読んで、ワックスがけをして良いものかどうか調べてからにしましょう。ワックスをかけても良い床暖房であれば、スイッチを切って冷えてからワックスがけを行うようにしてください。
■2 ワックスがけは乾燥した天気の良い日に
ワックスがけは天気が良くて乾燥しており、風のあまり無い日がおすすめです。気温も、寒すぎず暑すぎない日が良いとされています。
時間的には、なるべく朝早くが良いです。9時から10時頃までにはスタートしたほうが、乾燥の具合もスムースです。時間帯も家族が家からでかけていて、誰も床の上を歩かない時間帯がベストです。
湿度があるとワックスが乾きにくいので、湿ったまま子どもや家族が床を歩いてしまうと「ワックスむら」ができてしまいます。
風が強いと外からのホコリやゴミが入ってきてしまって、せっかくのワックスをかけた床にくっついてしまいます。かといって、窓を閉めてワックスがけをすると、今度はワックスのニオイで気持ち悪くなることがあります。ワックスがけをする時は、窓をあけるなど換気を十分に行いながら進めるようにしてください。
真夏と真冬は床のワックスがけに向いていない?
夏場はワックスが早く乾きますが、ワックスをかけているほうが汗をかいてしまい、汗がポタポタと床に落ちてしまいます。ワックスをかけたところに汗がたれてしまうと、白く跡になってしまいます。そのため、あまり暑くない日のワックスがけがおすすめです。
冬はワックスが固まってしまうので、冬もワックスがけには向いていないのです。ワックスは伸ばしながら塗るものなので、適度な温度の時がベストです。
■3 床のワックスがけで使うグッズ
床のワックスがけで最低限必要なもの
・掃除機(ワックスがけの前に掃除する)
・ワックス
・ワックスを塗るための布
床のワックスがけであると便利なもの
・手をワックスや洗剤から保護するためのゴム手袋
・床掃除用の、板と板の間を掃除するための「すみっこブラシ」などの隙間掃除用のグッズ
・床掃除用のモップやワイパー
・早く乾かすためのドライヤー
などもあると良いでしょう。
ワックスの量はどのくらい使う?
使用するワックスの量ですが、一般的に販売されている液体ワックスであればワックス1リットルにつき畳40枚分と言われています。
もし2度塗りをするのであれば、畳20枚分になります。
身体に優しい床ワックスもある
ワックスをかけたいけれど、一般的なワックスは石油が原料になっているので身体にあわない、といった場合は天然素材のワックスがあります。
例えばAURO(アウロ)というドイツの会社のワックスは、石油系の原料ではありません。
天然成分のユーカリやオレンジのオイルのほか、亜麻仁油や蜜蝋などでできています。
化学薬品が入っていないので市販のワックスのようなピカピカになることはありませんが、自然素材の香りの良いワックスです。
床のワックスがけする時の服装
ワックスがけをする時の服装ですが、かなり汗をかくのでタオルや着替えを用意しておきましょう。髪の毛も結んだり、ヘアキャップをかぶることをおすすめします。
裸足でワックスの上を歩いてしまうと、足の形がついてしまうので、靴下をはきながらワックスがけをしていきます。
■4 ワックスがけをする部屋の家具を移動させる
ワックスがけをした所と、しない所でくっきりと色が変わっていると、模様替えした時にみっともないですよね。
少々面倒にはなりますが、ワックスがけの前には家具を移動させておきましょう。
家具の後ろにたまっていたホコリやカビもキレイにしてからワックスをかけると、より効果的ですよ。
■5 ワックスがけの前に床掃除をする
まずは床掃除をします。
順番としては、ドライタイプのワイパーやモップでキレイにしてから、その後で掃除機を使いましょう。
順序が逆のように感じてしまいますが、掃除機を使う時に舞い上がってしまったホコリは、2時間経つと床に降りてきてしまいます。
そのため掃除機を使うと、2時間後に再び床用モップやワイパーでホコリを取らなくてはいけなくなってしまいます。
ワックスがけの床掃除の時は、ドライタイプのワイパーや、モップを使用してください。
最初にウエットタイプで掃除してしまうと、ホコリやゴミが床にくっついてしまうからです。
ドライタイプのモップやワイパーで掃除をしたら、ゴミやホコリは取れています。
その次に掃除機で、フローリングの溝や角など、モップやワイパーで届かなかった部分の汚れを取ります。
掃除機をかける時は、フローリングの板に沿ってかけてください。
フローリングと直角にかけてしまうと、あまり汚れが取れません。
また、板と板の間の溝につまってしまったゴミや、すみっこブラシのようなグッズでかき出さないと掃除機では取れません。
■6 ワックスをかける順番を考える
ワックスをかける順番は、基本的に部屋の奥から手前です。
手前からかけてしまうと、ワックスが乾燥するまで部屋の奥から出られなくなってしまうからです。
また、あまり風が無くて蒸し暑くなるような日の場合は、玄関や廊下から扇風機で風をおくっても良いでしょう。
熱中症予防にもなりますし、ワックスも風があるほうが速く乾きます。
■7 ワックスはフローリングの板に平行に
ワックスはフローリングの板や溝に対して、まっすぐ平行にかけていきましょう。
円を描くようにかけてしまうと、ワックスがムラになってしまいます。
また、板に対して直角にかけるのもワックスムラができやすいので注意してください。
それから、ワックスがけはスポンジではなく布で行うようにしてください。
スポンジだとワックスが泡になって、かけにくくなってしまいます。
■8 床にワックスをかけていく
液体でも固形でも、適当な量を布につけてワックスをかけていきます。
液体ワックスの場合は、少しの量を床にたらして、それを布で拭くという方法でも良いでしょう。
ワックスがかたまってしまったり、ポタポタと液だれしてしまうと、そこだけ厚みができてしまってワックスむらができてしまいます。
全体的に同じ厚みでかけるようにしてください。
■9 床のワックスを乾燥させる
ワックスの種類にもよりますが、20分から30分で乾燥すると言われています。
プロにワックスがけをたのむと大きな扇風機で乾燥させることもありますが、一般家庭では30分ほどの自然乾燥で十分でしょう。
だいたい30分もすれば上を歩いても支障ありません。
完全に乾燥するのは約1日ほどかかります。
それまでは、裸足で歩いたり、水拭きしたり、液体をこぼたりしないように注意してください。
乾燥前に歩いたり、水をこぼしたりしてしまうと、その部分だけ白く跡がついてしまうのです。
床のワックスの剥離方法5ステップ
ワックスを次々と重ねて塗ると、ホコリやヨゴレまで一緒にかためてしまって、見た目も良くない場合があります。
以前に塗られていたワックスをはがしたい場合は、ワックスの剥離剤・はがし剤を使用しましょう。
床用洗剤を原液で使用することで、ワックスがはがせる薬品もあります。
■1 床のワックス剥離で必要なグッズ
床ワックス用剥離剤
いきなり業務用のワックス剥離剤を使うのは、失敗する危険性があります。失敗すると床がまだらになるので、普段の床掃除用のクリーナーの濃度を濃くしてワックス剥離剤として使うと簡単です。
例えば「リンレイ床クリーナー」は、普段の床掃除なら30倍、ワックスがけの前の掃除であれば15倍から20倍、ワックス剥離なら原液で使用します。
「ラグロン」や「アズマ」のプロのワックス剥離材は、髪染め液のようなキツイにおいがするのと、希釈によっては床を痛める危険性があったり、薄めすぎるとワックスが剥がれなかったりするので、簡単な剥離剤でワックスはがしに慣れてからにしましょう。
使い捨ての雑巾
ティッシュのように毛羽が残るものは避けましょう。タオルを切ったものも、ものによっては糸が床にくっついてしまう場合があるので気をつけてください。
ゴム手袋
剥離剤は刺激が強いので、必ず手袋をしましょう。
マスク
マスクをしていても、集中して床のワックス剥離をしていると気持ち悪くなってくる場合があります。時々休んで空気の良い場所に行きましょう。
■2 床のワックスをはがしたい部分に塗る
ワックス剥離剤を、床に均一に塗り拡げます。スクレーパーのようなものや、塗料を塗るときのナイロン製のハケ、スポンジでやると均一に広がります。たわしや布は広げにくいのでおすすめしません。
いっぺんに広い場所に剥離剤を塗るのではなく、部分を区切ってはがしていくのがうまくいくコツです。部屋の奥のほうから、ドアのほうに向かって作業を進めてください。
■3 床ワックスが剥がれるまで数分待つ
落としたいワックスが1年分だと1分、5年分であれば5分を目安に待ちましょう。
■4 床ワックスがドロドロに溶けるので、水拭きをする
捨てても良い雑巾で、ドロドロになったワックスを水拭きして取って行きます。フローリングにとって水分は良いものではないので、水浸しにするのは避けてください。
雑巾で難しい場合は、ハケで拭いていくとムラになりません。
■5 何度も水拭きを繰り返す
最低でも2、3回は水拭きを繰り返してください。完全にワックスと洗剤が床から取れるまで繰り返します。
ワックスがけの頻度
ワックスは何年に1度かければ良いでしょうか?
業者が塗ったワックスであれば、5年に1度程度と言われています。一般家庭用に売られている市販ワックスは、種類にもよりますが半年に1度です。あまり成分が濃くないものであれば1ヶ月に1度はワックスがけが必要になります。
液体ワックスは扱いやすいのですが、製品によっては使いやすいけれどもあまりコーティング効果が無いものもあります。使用してみて、あまり効果を感じないようであれば違う製品を試してみましょう。
ワックスがけのメリット
ワックスをかけると、3つの良い点があります。
・傷がつきにくい
・汚れにくい
・部屋が明るく見える
ワックスをかけると、床をワックスの成分が保護してくれるので傷がつきにくくなります。
家具を動かしたり、ペットが歩いたりしても、傷つきにくい床にしてくれるのです。
また、保護成分によってヨゴレもつきにくくなります。
何かこぼしてしまっても、ワックスを塗っておけばフローリングの奥までしみてしまうこともありません。
ワックスをかけると、光沢が蘇ってくるので、その分部屋が明るく見えます。
床は普段の生活で、小さなキズが無数にできてしまっています。
ワックスがそれらをふさいでくれることによって、キレイな床に見えるのです。
床のワックスがけの注意点
■乾燥はきちんと
ワックスがキレイに仕上がるかどうかは、乾燥がポイントになります。
乾燥前にホコリやゴミがついてしまうと、取りにくくなってしまいます。
また、乾燥前にペタペタと歩いてしまうと、そこだけ白く跡になってしまうのです。
また、乾く前に水拭きをするのもいけません。
ワックスの成分と水とが反応してしまって、こちらも白く跡がついてしまいます。
ワックスが完全に乾くまでは、上を歩かないようにしてください。
ワックスが完全に乾いたかどうかは、手で触って確かめてみましょう。
目立たない部分を少しだけ指で確かめてみてください。
■普段の掃除
普段の掃除は、ドライタイプのモップやワイパーで十分です。
ドライタイプでは落ちないヨゴレは、ウエットタイプのモップやワイパーを使いましょう。
最近話題の重曹やセスキ炭酸ソーダなどを床に撒いたりスプレーしてしまうと、ワックスがはがれてしまう場合があるのでフローリングの床に使用するのは止めましょう。
床についた黒いヨゴレは、油汚れが多いので、厚紙などでこそぎ取るのが一番です。
もしそれでも落ちなければ、中性洗剤やワックス成分が入った床用ワイパーで拭いてみると良いでしょう。
まとめ
フローリングは、ワックスがけをしておかないと早く傷んでしまいます。
しばらく自宅のフローリングの床にワックスをかけてないな、という場合は天候を見て早速ワックスがけをしてみましょう。
ペットや子どもがいる家庭では、はやく床も傷んでしまいます。
また、椅子や家電を移動させる時に細かいキズたついてしまったり、水や液体をこぼして汚してしまうこともあります。
家が広い場合は、全ての部屋のフローリングを一日で終わらせることは難しいかもしれません。
そのような場合は完璧主義にならずに、今回はこの部屋、次回は隣の部屋という具合に分けてワックスがけをしてください。