レンズのカビを放置すると、キレイな写真が撮れなくなっていきます。また、レンズの価値も下がるので早めに対処しましょう。
当記事では、カビ取りを「自分でする」or「業者に依頼」どちらにするか迷った場合の判断基準や、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
自分でできるレンズの掃除方法やカビ予防策もご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
レンズのカビを放置したときに起こる4つの悪影響
しばらく使っていなかった一眼レフカメラのレンズ。久しぶりに取り出してみて、カビのようなものが生えていたらショックですよね。
レンズにカビが生えても、最初のうちは撮影に支障が出ないので気づかない人も多いもの。でもそのまま放置すると、白いカビの菌糸が網目状にどんどん広がっていきます。
レンズにカビを発見したときは、なるべく早く対処しましょう。そのまま放置した場合、次のような悪影響があります。
【レンズのカビを放置したときに起こる4つの悪影響】
①レンズ全体が白っぽい膜で覆われたようになり、写真にもカビが映り込む(モヤのかかったような写真になる)
②レンズを売りたいと思ったとき、カビが少しでも生えていると査定金額を下げられてしまう
③レンズにカビが繁殖しすぎると、カビ取りをしてもカビ跡が残ってしまう場合がある(レンズ交換が必要になる)
④カビがレンズからカメラ本体のセンサーに移り、高額の修理もしくはカメラの買い換えが必要になる
このような悪影響が出る前に、なんとか対処したいですよね。
次に、レンズのカビ取りは「自分でできるのか?」「業者に依頼したほうがいいのか?」の判断基準と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
自分で対処できるのは軽度のカビ取りまで
レンズのカビ取りを「自分で」するか、「業者に依頼」するか、迷う方も多いのではないでしょうか。
判断基準の1つは、カビが「レンズ表面だけ」に発生しているのか、「レンズ内部」や「内側のレンズ」にまで繁殖しているのか、という点です。
カビが繁殖しすぎると、分解清掃が必要なケースが多いので、プロの業者に見てもらうことをおすすめします。
【レンズ表面のカビ】
初期のカビで、レンズ表面だけにポツポツと発生している場合は、自分で掃除することも可能です。
【レンズ内部のカビ】
レンズ全体が白くなっているものはカビがかなり進行しています。自分でカビ取りをしてもキレイに取り除くことはむずかしいので、業者に依頼がおすすめです。
【内側のレンズのカビ】
レンズには前玉・後ろ玉・中玉といくつかの層があります。内側のレンズのカビは、懐中電灯や蛍光灯などの光に透かして発見できることもありますが、実際には分解して確認しないとわからないことも。
分解清掃は慣れない人がすると故障の恐れもあるので、不安な方は業者へ修理をお願いするほうがよいでしょう。
次にレンズのカビ取りを「自分で」する場合、「業者に依頼」する場合、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
レンズのカビ取りは「自分で」できる? ■カビ取りを「自分で」するメリット・デメリット
【メリット】
・カビ取りの修理費用を節約できる
・カメラをお手入れするスキルが上がる
・カメラを一定期間あずけなくてよい
【デメリット】
・レンズのカビを見落としたり、清掃が不十分な恐れがある
・掃除道具をそろえる必要がある
・故障してしまう可能性がある
レンズのカビ取りを「自分で」する場合、費用を節約できる反面、技術面に不安を感じる方もいるでしょう。
もともと古いレンズで、もしも不具合が起きても諦めがつく場合は自分でカビ取りをトライしてもよいかもしれません。逆にレンズがまだ新しく高価なものであれば、プロに修理を依頼するのも一手です。
レンズのカビ取りは「業者に依頼」したほうがいい? ■カビ取りを「業者に依頼」するメリット・デメリット
【メリット】
・プロにカビ取りをお任せできるので安心
・掃除道具をそろえる必要がない
・分解清掃なら、内部のレンズまでしっかりカビ取りしてもらえる
【デメリット】
・カビ取りの費用がかかる
・その他のメンテナンス費用がかかる場合もある
・カメラを一定期間あずけなければならない
カビ取りを「業者に依頼」すると、技術面の安心感がある反面、コストは大きくなります。技術料の他に部品代や送料、手数料などがかかる点も心得ておきましょう。
次の章では、自分でできるレンズのカビ取り方法について解説します。
自分でレンズ表面のカビ取りをする方法
カビがレンズの表面だけにある場合は、自分でカビ取りに挑戦することもできます。
レンズのカビ取りをするときに「準備するもの」と「掃除方法」を解説しますので、参考にしてみてください。
「自分で」レンズのカビ取りをするときのポイント① ■レンズのカビ取りをするときに、あると便利なもの5つ
自分でレンズのカビ取りをするとき、次の5つの道具があると便利です。
①ブロアー
②レンズクリーナー
③綿棒
④クリーニングペーパー
⑤クリーニングクロス
①のブロアーは、レンズ表面のゴミを空気の力で吹き飛ばすものです。ゴミがついたまま拭くと、ゴミでレンズの表面を傷つけてしまう恐れがあるので、先にブロアーでごみを取り除くことが大切です。
②のレンズクリーナーが無い場合、以下のもので代用することもできます。
・無水エタノール
・カビ取りスプレー
・中性洗剤
カビ取りスプレーや中性洗剤を使用するときは、最後に絞ったクロスで水拭きをし、しっかり乾燥させましょう。溶剤と水拭きの跡をレンズに残さないことがポイントです。
レンズのカビ取りにおすすめの道具① ETSUMI (エツミ) カメラクリーニングセット プレミアム ロングノズルブロアー
カメラクリーニングセットを購入すると、簡単な汚れやカビ取りに必要なものがそろっていますよ。
レンズクリーナーの代用品として使えるもの その1 無水エタノールP 500ml(掃除)
レンズクリーナーの代用品として使えるもの その2 カビキラー 本体 特大サイズ(1000g)
「自分で」レンズのカビ取りをするときのポイント② ■レンズのカビ取りの手順
続いて、レンズの掃除方法をご紹介します。
1: ブロアーでレンズ表面のゴミやホコリを吹き飛ばす
2: クリーナーをクリーニングペーパーに付けてレンズを拭く
3: 乾いたクリーニングペーパーでレンズを拭く
4: 細かい部分は、綿棒にクリーニングペーパーを巻いて掃除する
5: 再びブロアーで残った繊維を吹き飛ばし、レンズのキャップをつける
6: レンズ以外の部分をクロスで拭く
レンズ表面だけの掃除でカビを落とし切れなかった場合は、業者へ修理を依頼しましょう。
重度のカビ取りは、修理業者に依頼がおすすめ
重度のカビは、自力ですべてのカビを取り除くことは難しかったり、逆にレンズを傷つけてしまう恐れがあります。
また、内部のレンズにカビが発生している場合は「分解清掃」が必要です。レンズを分解清掃するには、専用の道具が必要になり、それなりの技術も求められます。
自分で道具をそろえて分解清掃をする方もいますが、故障のリスクも。心配な方は、業者に修理をお願いするのが無難でしょう。
分解清掃のやり方に興味のある方は、こちらのYouTube動画が参考になります。
次は、レンズのカビ取りを「業者に依頼するときの注意点」をお伝えします。
業者にレンズのカビ取りを依頼するときのポイント① ■カビ取りを業者に依頼するときの3つの注意点
レンズのカビ取りを業者に依頼するときは、次の3点に注意しましょう。
1. 見積りができるか、見積りは有料かを確認する
2.技術料以外にかかる費用について確認する
3. 修理や清掃をどこまでお願いするか、を業者にしっかり伝える
1つずつ解説します。
1. 見積りができるか、見積りは有料かを確認する
レンズのカビ取りを業者に依頼するときは、先に見積りを取るのが望ましいです。
しかし見積りそのものに手数料がかかったり、オンラインでは見積り不可のところもあるので注意が必要です。
例えば、カメラのキタムラには「店舗持ち込み修理依頼」と「オンライン修理依頼」があります。
・「店舗持ち込み」…修理の見積り時に、取次手数料(送料含む)1,100円がかかる
・「オンライン」…修理の見積りは不可(依頼者が、予め上限金額を選択する)
このように、見積もりが有料であったり、できないこともあるので、ホームページなどであらかじめ確認しておきましょう。
2. 技術料以外にかかる費用について確認する
修理の技術料の他に、部品代・送料・手数料などがかかる場合があるので、チェックしておきましょう。
レンズの状態が悪いとレンズ交換となり、別途その費用がかかることもあります。
3. 修理や清掃をどこまでお願いするかを決めて、業者にしっかり伝える
カビ取りの費用は、カビの進行具合によっても、業者によっても異なりますが、おおよその目安は以下のとおりです。
・「レンズ表面のクリーニングだけ」…数千円
・「レンズのカビ取り(分解清掃)」…1~3万円
・「レンズ以外の部分も分解してオーバーホール」…3~5万円以上
(オーバーホール:カメラをフル分解して部品交換をすること)
業者との話し合いが不十分だと、カビ取りだけのつもりが、オーバーホールされて高額の修理費がかかってしまうケースもあります。
予算を決めて、修理や清掃をお願いする範囲を、業者にしっかり伝えておきましょう。
次は、カメラレンズの「修理依頼ができるサービス」についてご紹介します。
業者にレンズのカビ取りを依頼するときのポイント② ■カメラレンズの修理依頼ができるサービス3選
カメラレンズの修理依頼ができるサービスは、主にカメラ販売店・カメラ修理店・カメラメーカーの3つです。
それぞれの特徴は次のとおりです。
1. カメラ販売店・カメラ修理店
幅広いメーカーの修理を取り扱っており、古いカメラや外国製のカメラも修理の相談ができることがあります。
(古いモデルのカメラ部品を保有していることがあるため)
2. カメラメーカー
そのメーカーで製造したカメラの修理のみ受けつけています。古いモデルで修理対応期間を過ぎたものは、修理不可となります。
【各サービスのカメラ修理案内ページ】
・カメラ販売店
カメラのキタムラ
マップカメラ
・カメラ修理店
株式会社UCS
・カメラメーカー
キヤノン
ニコン
リコー(ペンタックス)
オリンパス
ソニー
パナソニック
レンズのカビ取りは自分でする場合も、業者に依頼する場合も、手間やコストがそれなりにかかりますね。
「もうカビ取りの手間をかけたくない!」という方のために、次の章では「レンズにカビが生える原因や予防方法」について解説します。
レンズにカビが生える原因と5つの予防方法
レンズのカビの原因、ポイントは汚れと湿度です。レンズにカビを生やさないためには、定期的なメンテナンスと湿度管理が大切になります。
それでは、レンズにカビが生える原因と予防方法を詳しくみていきましょう。
レンズのカビの原因は? ■レンズのカビ 原因は「汚れ」と「湿度」
レンズにカビが繁殖するメカニズムは次のとおりです。
1: レンズに汚れ(皮脂やホコリ)がつく
2: 空気中に漂っているカビ菌がレンズに付着する
3: 皮脂やホコリを栄養分にカビ菌が成長する
4: 適度な温度と湿度のある環境で、カビが更に繁殖する(気温20~30度・湿度60%以上)
レンズ自体にはカビの成長を助ける成分はないものの、そこについた汚れや環境でカビが育ちやすくなります。
レンズのカビ対策に有効なのは、以下のようにカビの好む条件をできるだけ取り除くことです。
・レンズに汚れを残さない
・風通しの良いところで保管する
続いて、レンズのカビ予防方法を5つご紹介します。
レンズのカビ予防方法① ■使用後のレンズは、きれいに拭き取る
撮影中にレンズについた手の皮脂やホコリが、カビの栄養分になってしまいます。使用後は、汚れをきれいに拭き取りましょう。
レンズのお手入れにおすすめの道具① ETSUMI (エツミ) カメラクリーニングセット プレミアム ロングノズルブロアー
「自分でカビ取りをする方法」でもご紹介しましたが、カメラクリーニングセットは普段のお手入れにも使えます。
レンズのお手入れにおすすめの道具② Kenko クリーニング用品 激落ち カメラレンズクリーナー 30包入り
持ち歩きに便利なカメラレンズクリーナーもあります。
レンズのカビ予防方法② ■レンズをまんべんなく使用する
複数のレンズをもっている場合、あまり使わないレンズもあるのではないでしょうか。
それぞれのレンズをまんべんなく使用することで中の空気が入れ替わり、カビ予防になります。
費用もかからず手軽にできる方法なので、ぜひ取り入れてみてください。
レンズのカビ予防方法③ ■レンズを風通しの良いところで保管する
家で保管するときは、カメラバッグに入れっぱなしにせず、風通しがよく湿気の少ないところで保管するようにしましょう。
密閉した空間では湿度が下がらず、レンズにカビが繁殖しやすくなります。
レンズのカビ予防方法④ ■ドライボックスと乾燥剤でレンズをカビから守る
梅雨の時期など、家の中での湿度管理がむずかしいこともありますね。
そんなときにレンズの保管に便利なのが、ドライボックスと乾燥剤です。
市販のパッキン付き容器でも代用できますが、ドライボックスには乾燥剤を収納するスペースがあるのが特徴です。
【ドライボックスを使う時のコツ】
・頻繁に開け閉めしないこと
・乾燥剤の効き目がなくなったら交換すること。
レンズのカビ予防におすすめの道具 HAKUBA ドライボックスNEO 5.5L スモーク KMC-39
ドライボックスと乾燥剤のセット。カメラやレンズを湿度、ホコリから守ります。
レンズのカビ予防におすすめの道具 HAKUBA レンズ専用防カビ剤 フレンズ KMC-62
レンズに生えるカビの中には、湿度の低いところでも繁殖するものがあります。レンズ用の防カビ剤も併用するとより効果的です。
レンズのカビ予防方法⑤ ■防湿庫でレンズをカビから守る
防湿庫は安いものでも1万円前後とコストはかかりますが、レンズのカビ予防に最も効果のあるアイテムです。
レンズのカビ予防におすすめの道具 HOKUTO 防湿庫 ドライボックス 5年保証 カビ対策 カメラ収納ケース 容量25L
電動式の防湿庫です。カビ予防に最適な温度と湿度でカメラを守ります。