火事になった後で最初に必要なものは罹災証明書
火事になった後は、まず消防署に通報し消火活動が始まります。その間、消防隊員や警察に事情説明をすることになります。
鎮火後は警察の立ち合いの元、火災調査を行い、片付けや火災保険などの手続きが始まります。
手続きの最初に必要になるのは、羅災証明書の取得です。羅災証明書とは消防署が発行してくれる書類であり、火災の被害の程度を証明する書類です。
羅災証明書は特殊清掃を呼ぶ際や火災保険の請求に必要になるので、少しでも早く申請しましょう。
なお、このタイミングで特殊清掃会社に依頼をすると、罹災証明書の発行や火災保険への対応もサポートしてもらえるのでおすすめです。
周辺へのお見舞金・謝罪は重大な過失でない限り法的な義務はありませんが、特殊清掃を呼ぶ際には「近隣へ配慮してくれる業者」であることを確認しておきましょう。
火事になった後必要なもの①羅災証明書発行までの流れ
火事になった後は、まずは罹災証明書を入手します。この時点で特殊清掃会社に依頼をすると、罹災証明書の申請をサポートしてくれる会社もあるのでおすすめです。
- 罹災証明交付申請書を入手する
- 被害状況が分かる写真を撮影する
- お住まいの自治体の消防署へ申請する
- 被害認定調査の結果を待つ
- 羅災証明書を受け取る
罹災証明書交付申請書は、消防署の担当窓口やウェブサイトからダウンロードできます。もし本人以外が手続きをする場合は、委任状が必要です。
必要項目を記入した後、印鑑・身分証・被害状況の写真を揃え上で、罹災証明交付申請書を消防署へ持参します。
申請から発行までは、少なくとも1週間必要です。場合によっては1ヶ月かかることもあるので、少しでも早く申請を始めましょう。
火事になった後必要なもの②羅災証明書発行後の手続き
羅災証明書を入手したら、火災保険会社に連絡をしましょう。罹災証明書の発行に時間がかかる場合は、先に連絡をしておくことも必要です。
保険会社が事故原因・被害状況を調査した後は、ライフラインを停止します。電気・水道・電話などの公共サービスは、自動的に停止されないため、自分で連絡を入れる必要があります。郵送される重要書類も多いので、転送届を出すことも大切です。
ライフラインを停止して安全を確保したら、特殊清掃会社や解体業者に家の片付けを依頼します。火事で焼けた家財・家具は家庭ごみに出せないので、小規模な火災でも専門家に依頼することがおすすめです。
火事の片付けで消失した身分証や重要書類は、本人確認書類を確保してから再発行を行いましょう。
火事になった後の特殊清掃の内容
火事になった後の片付けは、解体業者でも構いませんが、特殊清掃をおすすめします。なぜなら、貴重品・身分証の捜索や不用品の回収と、解体作業を同じ業者で行えるためです。罹災証明書の発行からサポートしてくれる業者もあるので、早めに依頼をしておきましょう。
■火事現場の密閉作業
火事による特殊清掃は、まず現場を密閉することから始まります。燃え殻や灰、ススは吸い込むと健康被害を与える有害物質であるためです。
養生作業は、賃貸の共有部分だけではなく、持ち家でも現場の床や壁にも必要になります。
ススは細かく、そのままにしていると下へ落ちてしまうためです。火災の被害が少ない場所へススが広がることを防ぐため、現場をしっかり密閉してから作業を行います。
■燃え残がら・残留物・貴重品の搬出
火事で出た燃え殻、スス、灰や残留物は、家庭ごみに出せません。火事で出たゴミやスス、ススにまみれたものは、特別管理廃棄物に該当するためです。
特別管理廃棄物の処分には、一般廃棄物処理業者許可を持つ業者への依頼が必要になります。
解体業者や不用品回収業者でも構いませんが、特殊清掃ならば燃え殻や残留物を仕分けした後、貴重品を回収してくれます。
現金・通帳・印鑑・権利書や各種証書など、貴重品は盗難のリスクがあるので、早めに捜索するのがおすすめです
特殊清掃業者などに依頼しない場合は、お住いの地域のゴミ処理場へ持ち込むことになります。罹災証明書がある場合、廃棄物処理の手数料が免除になることもあるので、先に取得しておきましょう。
■解体作業
火事現場から火災ゴミを搬入した後は、内部の解体に移ります。焼け焦げた部分は解体することで、燃えてしまった梁や柱は削り取ることで除去していきます。
解体時には燃え殻やススが飛び散るリスクがあるので、火事現場の実績が多い業者を選びましょう。
解体作業の費用は、火災の規模によって変わります。室内が全焼していれば室内全部が解体に、ボヤなどの場合は必要最低限の部分的な解体になります。
■ススや灰の除去
燃えた部分を除去した後は、火事現場に残ったススや灰、汚れを除去していきます。
この時、ススを拭き取ると汚れが広がってしまうので、箒やエアブローなどでつついて落き、専用薬剤で清掃していきます。
カーテンレールやスイッチ裏など、細かい溝は綿棒などで徹底清掃。換気扇など、ススがこびりつきやすい部分も対応してくれるので安心です。
■ケレン作業・コーティング作業
清掃では落とせなかったススなどは、手動・もしくは電動工具によりケレン作業を行い、悪臭を封じ込めます。
特殊コーティング剤で臭いを閉じ込めるケースもあります。
■消臭作業
火事現場の悪臭の原因は燃え殻やススです。しかし、それを除去しても悪臭は除去しきれません。室内や家具の見えない隙間に、細かいススが入り込んでしまっているためです。
特殊清掃業者に依頼すれば、オゾン脱臭機などを使い消臭作業を行います。
最後に、ダイオキシン濃度測定や臭気測定器で臭いが残っていないことを確認してくれるので安心です。
火事になった後の特殊清掃の相場
火事現場の特殊清掃は、規模や状況によって大きく変わります。
除菌・消臭作業だけでも10,000円~250,000円になりますし、燃えカスや残留物の処分、有害物質の除去も高額です。ここに建物の解体・除去が入ってくるため、100万円を超えることも考えられます。
不当な料金かどうかを見極めるためには、料金体系を確認することが大切です。料金体系がしっかりしており、作業内容や料金の質問に答えられる業者ならば安心して依頼ができます。
逆に、作業内容を曖昧にしたまま根拠なく安い料金を提示する場合は、悪徳業者である可能性が高いです。見積もり時では安い料金を提示し、後に高額請求を行うトラブルがよくあるためです。
相場を把握するためには、相見積もりを作成して比較していきましょう。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
火事になった後の特殊清掃の選び方
火事のための特殊清掃業者を選ぶ際には、まず解体・リフォーム・産業廃棄物処理に必要な資格があるかを確認しましょう。
- 解体工事業登録…都道府県知事による登録。床・壁の解体とリフォームに必須
- 一般廃棄物収集運搬許可証…ゴミ収集・廃棄に必須。外部委託でも可能
必要資格をもっていることを確認したら、料金体系をチェックするために見積もりを依頼しましょう。見積もり作成時のやり取りでも、信頼できる業者であるか確認できます。
- 料金体系が明確で無料見積もりに対応できるか
- 羅災証明書の発行をサポートしてくれるか
- 火災保険会社とのやり取りに対応しているか
- サイトに火災現場での実績を乗せている
- 有害物質の対策を具体的に説明できるか
- ゴミ処理費用の割引に対する知識があるか
特殊清掃業者の中には、火災保険会社や自治体とのやり取りをサポートしてくれたり、羅災証明書の発行を手伝ってくれることがあります。火事現場清掃の実績がある業者ほどサポートに慣れているので、WEBサイトなどを確認しましょう。
罹災証明書によるゴミ処理費用の割引の知識があるなど、火事特有の対応に強い業者を見極めることが大切です。
火事になった後に使える保険・保障
火事の跡片付け・解体作業は高額であるため、火災保険の他にも使える制度は使えるだけ使っていきましょう。ここでは、その代表的な制度を解説していきます。
■災害見舞金制度
各自治体の市役所に申請する見舞金の制度です。火事などの災害にあった人やそれによって入院された人に、状態に合わせて見舞金の支給が行われます。
災害見舞金申請書を記入し、羅災証明書や医師の診断書を一緒に提出することで支給されます。
■一般廃棄物処理用免除制度
一般廃棄物処理用免除制度とは火災ゴミの処分費用の一部・あるいは全額を免除する制度です。自治体によって対応は変わりますので、確認しておきましょう。
特殊清掃業者や解体業者に依頼した場合でも、廃棄物を処理する費用を免除してくれます。
■災害減免法
火災などの災害によって損害を受けた住宅・家財の金額によっては受けられる制度です。詳しくは国税局のWEBサイト、No.1902 災害減免法による所得税の軽減免除にて解説しています。
火災にあった年分の所得税額が軽減・免除される制度なので、必要な項目を記入した確定申告書を税務署に提出することで控除されます。
■雑損控除
火事などの災害で住宅・家財などに損失が生じた時の控除で、確定申告の際に申請します。納税者や扶養家族の資産が火災の被害にあった人が対象です。
羅災証明書、火災保険の支払い通知書、源泉徴収票の他、領収書などの損害額を証明する資料が必要です。
火事で紛失した身分証明書などの発行手続きについて
火災で身分証などの貴重品を焼失した場合、再発行が必要となります。写真付きの身分証が一つでも残っていればスムーズですが、すべて焼けてしまった場合市役所でのは住民票の発行がおすすめ。
住民票があれば顔写真付きの身分証である運転免許証を再発行できるので、手続きがスムーズになります。
身分証の再発行は発行元に、クレジットカードはカード会社、預金通帳は該当の銀行に依頼します。
健康保険証や年金手帳は勤務先へ再発行を頼みましょう。
火事になった後必要なものに関してよくある質問
■火事になった後保険を申請するタイミングは?
特殊清掃や解体業者の作業が始まる前に連絡しましょう。
正確な被害状況を把握しないと、適切な保険金を受け取れなくなってしまいます。
■火事になった後近隣へ挨拶は必要?
法的な義務はありませんが、挨拶・お詫びはした方が安心です。もらい火を受けた近隣住人と火元の家庭の間で、民事裁判に発展した事例もあります。
例えもらい火がなかったとしても、火事の後の嫌な臭いが届いてしまっているかもしれません。折り菓子を持って挨拶に行きましょう。
■火事になった後自力で片づけはできる?
建物や家具が倒壊するリスクや、ススを吸い込むことによる健康被害が心配ですので、自力での片付け推奨できません。
また、燃え殻や灰などの火災ゴミは、家庭ごみに出せないことも厄介です。産業廃棄物を引き取ってもらえる業者に依頼する必要が出て来るので、片付けもまとめて特殊清掃業者などに依頼した方がスムーズになります。
■火事になった後に特殊清掃は必要?
現場の片付けだけなら解体業者でも構いませんが、特殊清掃業者がおすすめです。焼け跡から貴重品を捜索してくれますし、片付け・解体・リフォームを一つの会社にまとめて依頼することができます。