家に蜂の巣が作られたら、どうしたら良いでしょうか?ミツバチは2.5センチ程度ですが、大きなスズメバチともなると親指位の大きさがあって、刺されたらひとたまりもありません。巣が作られたからといって、何の準備もしないで庭のホウキで叩いて壊したりしたら、それこそ自殺行為です。
怒ったハチは人間めがけて襲ってきます。蜂の巣を自力で駆除するには、それなりの薬品や道具が必要です。そして、昼間は駆除するにはタイミング的に良くありません。夕方以降か早朝が、ベストタイミングなのです。
ここでは、蜂の巣を自分で駆除する方法について調べてみました。
1 まずは役所に連絡を
自治体によっては、スズメバチの巣の駆除に対して助成金を出してくれます。全額負担してくれる所もあれば、半額のところ、数千円と決まっているところなど、場所によってさまざまです。費用を出してくれる自治体も、全ての種類のハチではなく「スズメバチの巣」の駆除のみ対応してくれます。
アシナガバチやミツバチの巣については、各自で対応することになりますので注意してください。お金は補助してくれなくても、特殊な殺虫剤噴霧器などを貸し出してくれる場合もあります。まずは、住んでいる地域の役所に問い合わせてみましょう。
■自治体はスズメバチの巣の撤去費用を出してくれる?
住んでいる地域によって、対応がちがってきます。
自分が住んでいる自治体がお金を出してくれるようであれば、直接業者に頼むよりも役所に頼んだほうが安上がりになります。
・北海道札幌市 ハチの巣の駆除費用の補助は行っていない。
・群馬県前橋市 1個3,000円でスズメバチの巣を駆除してくれる。駆除費用の残り7,800円は前橋市が負担してくれる。
・埼玉県川口市 全額負担してくれるので、費用はかからない。
・神奈川県横浜市 平成25年4月より、スズメバチの巣の駆除料金の補助は廃止になったため、各自の負担で駆除しなくてはいけない。
・兵庫県神戸市 基本は全額、神戸市が負担してくれるけれども、巣が作られた場所によって特殊作業が必要な場合は料金が発生することもある。
・熊本県熊本市 各自の負担で駆除しなくてはいけない。公園など公共施設や公共余地は、熊本市の所管課で対処している。
2 自分で蜂の巣を駆除する方法
蜂の巣駆除は、何と言っても準備が大切です。蜂の巣の駆除は、誰にとっても慣れない作業ですので、十分すぎる位道具はきちんとそろえましょう。蜂のほうも死に物狂いで襲ってきますから、刺されることも、頭に置いて行動しなくてはいけません。
蜂の巣駆除を自分でするには、道具さえそろえれば8割は終わったと言っても良いでしょう。得に駆除用のスプレーは、十分すぎる位買っておきましょう。蜂の巣を駆除した後も、外に出ていた蜂が戻ってくることがあるので、あまったスプレーもしばらく家に置いておくと良いでしょう。
■道具をそろえる
防護服や、駆除用のスプレー、場所が高い所にある場合には高所スプレー噴霧用器具など、必要な道具を用意します。自治体によっては、蜂の巣駆除に必要な道具を貸し出してくれる所もありますので、電話で役所に問い合わせてみてください。
蜂の巣駆除用の道具は、普段使用している服や道具では代用できないものなので、専門のものを用意することをオススメします。もしもハチに刺されてしまったら、すぐに毒を出す必要があるので毒吸引器(ポイズンリムーバー)を用意しておきましょう。
口で吸い出してしまうと、今度は毒が口に回ってしまいますので、絶対に吸い込まないことです。
■家族やペットを近づけない
蜂の巣を駆除する様子を、興味津々で家族揃って見物したくなる気持ちも理解できますが、大変危険です。蜂は殺虫剤で殺されるわけですから、必死になって巣の外に出ようとしますし、人間を見たら襲ってきます。家族やペットは家の中にいるか、子どもなどが万が一刺されないように外出するように計画を立てておくと良いでしょう。
■夕方まで待つ
昼間はハチが外に出てしまっているので、夕方に全ての巣に戻ってくるまで待ちましょう。
家庭の事情で夕方に駆除できない場合は、ハチが活動しない早朝に駆除してもかまいません。
ハチの活動が鈍い時に駆除するのがポイントです。
■黒い粘着板をぶらさげる
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巣から出たハチの攻撃用に、ねずみ取り用の黒い粘着板をぶらさげておくと、ハチは黒いものに攻撃する習性があるので粘着板に捕まっていきます。人間ではなくて、粘着板を攻撃するように、黒い粘着板を巣の近所にぶら下げておくのです。
「三共消毒スズメバチキャッチ」も黒いシートなので効果があります。巣を取り払った後も、外に出ていたハチが戻ってくることがあります。そのようなハチも、黒い粘着板で取ることができます。
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■スプレーを噴霧する
ハチの巣の駆除専門家は、スプレ-を噴霧する前に蜂の巣の出入り口にテープを貼ったり布を詰めたりして中のハチが出ないようにします。しかし、プロ以外は危険なので出入り口はそのままで、離れた場所からスプレーしましょう。
十分に中のハチが死なないまま、スプレーが終わってしまうと、興奮したハチが人間を襲って来るので大変危険です。駆除用のスプレーは多めに購入しておくことをおすすめします。
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■巣を撤去する
撤去した蜂の巣とハチの死骸は、厚手のビニール袋か、ビニール袋を2枚重ねたものに入れましょう。
そして、可燃ごみとして捨てて下さい。
■スズメバチは蜜を集めない
スズメバチの巣は大きいので、さぞや蜂蜜がたくさん取れると思いがちですが、スズメバチは蜜は集めません。スズメバチは他の昆虫などを食べるため、昆虫から作った肉団子が幼虫の栄養です。
そのため、どんなに探しても蜂蜜は巣の中にはありません。
3 蜂の種類と生態
ハチは巣を作り始めると、ものすごい勢いで拡張しはじめます。
巣を作っている途中で駆除した場合、再び作り出すこともあるので、根気強く対処しましょう。
■スズメバチ
5月から11月がスズメバチの活動時期となています。
まず春に女王蜂が一匹で巣を作りはじめます。
この時の嬢王蜂はあまり危険性はありませんが、徐々に巣は大きくなり、後に働き蜂が生まれるので、巣を駆除したい場合は夏よりも前に取り除いてしまいましょう。
嬢王蜂が巣の中で子どもを生み、7月からは働き蜂が増えていきます。
巣は波のようなマーブル模様になり、巣の形も球形になります。
11月以降は新しい女王蜂以外は全て死滅してしまいます。
巣を繰り返し使用することはないので、冬を越したスズメバチの巣は空になっています。
巣の形
5月から6月にかけて作られるスズメバチの巣は、トックリやフラスコを逆さにした形をしています。
長い口が特徴で、巣の中には女王蜂と幼虫だけの状態です。
夏になって働き蜂が生まれると、長い口の部分がかじり取られて丸い巣になります。
ウロコ状の模様が特徴です。
大きさは50センチ程度ものもが多くみられ、それ以上になるケースも少なくありません。
家の軒下や屋根裏、庭の生け垣のほか、床下や戸袋の中に巣を作ることもあります。
■アシナガバチ
スズメバチやミツバチは、丸くコロコロとした形をしていますが、アシナガバチは足も身体も長く、細長い形をしています。
スズメバチのような獰猛性は無いものの、知らずにアシナガバチの巣の横を歩いてしまうと執拗に追ってきます。
4月から6月頃に、女王蜂が一匹で巣を作りはじめます。作った巣に女王蜂が子どもを産んで、7月から8月頃には働き蜂が誕生して活動するようになります。
新女王蜂以外は、10月中頃までに全て死滅します。
アシナガバチも、前年に作った巣を再利用することはありません。
巣の形
シャワーヘッドのような、お椀を逆さにしたような形をしていて、スズメバチの巣のように閉じておらず巣の中が外から丸見えの形になっています。
巣の色は全体的に灰色で、大きくてもサイズは15センチ程です。
庭やベランダ、エアコンの室外機と壁の間、戸袋、倉庫の使っていない箱の中、屋根瓦の隙間といった場所に巣をよく作ります。
人間が生活している環境にうまく入り込んで巣作りをするので、庭や倉庫などに狭い場所を作らないようにしましょう。
■ミツバチ
スズメバチやアシナガバチのように攻撃的ではないので、刺激をしない限り人を刺しません。
4月から6月に新女王蜂が誕生すると、それまでの女王蜂と働き蜂が昔の巣を新女王蜂に譲るために巣を出ていきます。
巣を出た女王蜂と働き蜂は、新しい巣を作るまで数万匹が1カ所にかたまって移動します。
ミツバチはスズメバチやアシナガバチと違い、同じ巣をずっと使い続けます。
巣の形
「巣板」と呼ばれるプレート状のものが、いくつも連なっている形をしています。
作り始めはプレートが白で、だんだんとオレンジ色に変化していきます。プレートの中は六角形の穴がたくさんあいています。
大きなものになると、プレートの横幅が1メートルにもなります。
庭の生け垣や植え込み、屋根裏、木の穴や、岩と岩の間といった比較的閉じた空間に巣を作ることが多いハチです。
良い条件であれば、木の枝や軒下に作ることもあります。
4 蜂が巣を作りやすい場所
雨や風を避けられる場所に巣を作ることが多く、屋根と屋根が合わさる一番上の部分の軒下や、屋根裏の通気口がある部分、換気扇の通風口、床下や雨戸の戸袋の中、木の穴の中といった場所に作られます。
何だか巣を作られたみたいだと思ってチェックしに行く時も、棒でつついたり、枝をゆらしたり、巣の近くで騒いだりするとハチを刺激してしまいますので注意してください。
5 蜂の駆除で用意するグッズ
■防護服
養蜂用 蜂防護服 フェイスネット付上下服 手袋 3点セット
ハチに刺されないように、頭からつま先まで防護服を着ましょう。
顔の部分は、ヘルメットのようにアクリルでできているものと、メッシュの網でできているものがあります。
どちらも、蜂が入ってくるような開口部を作らないようになっているかがポイントになります。
■革手袋
TRUSCO 牛床革手袋袖長タイプフリーサイズ JT-5L
軍手では蜂に刺された時に針が貫通してしまう恐れがありますので、必ず革の手袋を用意しましょう。防護服と手袋の間に隙間ができてしまわないように、手袋の裾が長めになっているものがオススメです。
■白い長靴
弘進ゴム 作業靴/安全靴 ゾナG3 各色
ハチは黒い色や暗い色に攻撃してくる習性があるので、長靴は黒ではなく白いものを用意しましょう。長靴を用意する時間が無かったら、靴の上から白い布カバーをするのも良いでしょう。靴のカバーは、ハシゴにのぼる時は危ないのでオススメしませんが、地面に足をついている時であれば黒い長靴をはくよりも蜂が足元に寄ってきません。
■冷却材
ロッテ ヒヤロン 12コ入
ハチの巣の駆除は蒸し暑い時期に行うことが多いので、熱中症対策のため必ず防護服の中に冷却材を入れておきましょう。すぐ駆除できると思っていても、案外と時間がかかるものですし、一度駆除作業を始めてしまうと途中脱ぐのも大変です。また一度脱いで一休みすると、もう一度防護服を着るのは大変億劫になってしまいます。
■毒吸引器
ヘッセル ポイズンリムーバー(応急用毒吸取り器) デンマーク製
ハチに刺されてしまった場合、口で毒を出すと、その毒が口の中に回ってしまいます。万が一にそなえて、毒吸引器を用意しておきましょう。ドラッグストアなどで販売されている毒吸引器は、片手で扱うことができるものがほとんどですので、万が一刺されてしまった時でも自分ひとりで対処できます。
6 高い場所の蜂の巣は「高所スプレー噴霧用器具」で!
屋根裏や、二階や三階部分の軒下に作られてしまった蜂の巣は、窓を開けても届かない場合があります。ハシゴを使用しても良いのですが、高い所に慣れていないと、ハチが襲って来たときにあわててしまい大変に危険です。
そういった時のために、ハチ退治用のスプレーを高い場所に噴霧できる「エアゾール延長用器具」があります。
器具によって、3メートル半程度伸びるものから、5メートル以上伸びるものまで様々な種類があるので、自分の家にあわせた長さを購入しましょう。延長キットをつけているとは言え、ハチが攻撃して来る可能性がありますので防護服を着て作業をすることをオススメします。
エアゾール延長キッド エアロング 高所スプレー器 5.4m
まとめ
自分で蜂の巣を駆除する時には、自分の身を守るため、さまざまな道具が必要なことがわかりました。なるべく遠くから蜂駆除用のスプレーをかけないと、怒り狂ったハチに襲われてしまいますので、スプレーを選ぶ時には遠くまで届くものを選ぶと良いでしょう。
そして、遠くまで薬品を噴射できるスプレーは、数秒噴射するとすぐに中身が空になってしまいます。
殺虫剤はなるべく多くそろえておくのがポイントです。巣は駆除しても、戻る巣がどこに行ったのかウロつく蜂も残っています。そういった蜂に刺されないためにも、殺虫剤はしばらく庭や家に置いておきましょう。
その蜂、本当に危険? むしろ怖がってパニックになってしまうことの方が危険かも…。
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