鼻血を出したり、ケガをしたりと、うっかり血が服や布団についてしまうことがありますよね。
大切な服を血液で汚してしまった時など、もう着られない、ダメだとあきらめていないでしょうか?
実はスッキリキレイに落とすコツがあるんです。
気温の変化が激しい時に、のぼせて鼻血を出してしまうことがありますが、白い制服やワイシャツに鼻血がつくと、目立ちますし見た目にもショッキングですよね。
そんな時、水で洗えば良いのでしょうか?お湯で洗えば良いのでしょうか?
また、子どもが歯が抜け替わる時に、グラグラする歯が気になって布団カバーや枕カバーをかじってしまうと、血液と唾液の輪ジミが広範囲に広がってしまうことも。
血液を落とすのに使っていた洗剤は、「中性」「酸性」「アルカリ性」のどれだったでしょうか?
実は洗剤のペーハー値によって、血液が落ちるかどうかが決まってくるのです。
普通の洗濯方法では、血液はキレイには落ちません。
いくら中性の洗剤に浸け置き洗いしても、血液ヨゴレは落ちないのです。
ここでは、血液のシミを洗濯する方法について調べてみました。
洗剤や洗い方を変えるだけで、効果バツグンですよ。
血液のシミの洗濯方法
■基本は【直後】に【洗濯】
血液ヨゴレを落とす基本は、血がついたらすぐに洗うことです。
血液は、身体の中にある時には固まりませんが、一旦身体の外に出ると固まる性質があります。
そのため、血がついた服や枕カバーをそのままにしておくと、パリパリになってしまいますよね。
朝起きた時に、子どもが鼻血を出して枕カバーに血がついていたら、即洗濯が正解です。
朝、どうしても洗濯する時間が無かったら、洗面器に水をためて漬けておくだけでも違ってきますよ。
できれば、洗剤を入れたぬるま湯につけておくとベストです。
■50度以上のお湯は逆効果
血液ヨゴレを落とす場合、お風呂位の温度以下のぬるま湯がオススメです。
よく血液ヨゴレは血が固まるので「冷たい水」で、と書かれていますが、ぬるま湯程度では血液は固まりません。
血液が固まる温度は50度から60度と言われていますので、お風呂くらいの温度でも固まらないのです。
私達が手をつけても普通でいられるお湯の温度であれば、血液の主成分であるタンパク質はまだ固まりません。
タンパク質は50度から60度以上になると立体構造が変化して、固まってしまう性質があります。
例えば、タマゴはお風呂の温度であゆで玉子にはなりませんが、60度上になると固まってくるのはタンパク質が変化するからなのです。
血がついてしまったら、お風呂の残り湯でも良いので、なるべく早く洗いましょう。
つけ置き洗いする前に「洗濯表示」をチェック
血液がついてしまった布を水やお湯で洗う前に、洗濯表示をチェックしておきましょう。
水がたまったオケにバツ「X」が描いてあると、家庭での洗濯はできません。
洗濯表示の新旧対比表の例
無印良品
https://www.muji.net/mt/contact/img/laundrysymbols201612.pdf
三陽商会
http://www.sanyo-shokai.co.jp/brand/img/washing/comparison.pdf
洗濯できるか特に注意するべきもの
海外で購入した服などで、洗濯表示が無いものもありますよね。
そのようなものの場合、以下の素材であれば家庭での洗濯はやめて、クリーニング店やシミ抜き専門店で血液ジミを取ってもらったほうが良いでしょう。
・皮製品
・毛皮
・ベルベット
・シルク
・レーヨン
・キュプラ
・着物(洗える浴衣もあるので、和服が全てNGというわけではありません。)
・ちりめんやエンボス加工しているもの
・コートやネクタイなど、服の中に芯地が入っているもの
また、洗える素材でも今までに一度も洗ったことがないものであれば、【色落ち】しないか気をつけましょう。
柄物の場合、色が無地の場所に染みてしまうかもしれません。
目立たない端の部分を水につけてテストすると、色落ちするかどうか調べることができます。
血液を落とす洗剤8選
■1 大根おろし
血液のヨゴレは、大根おろしで落とせます。
これは化学的根拠があるので、おまじないではありません。
まず、少量でかまわないので、大根をおろします。
大根の汁さえあれば良いので、おろし金が無かったら刻んだり潰したりして使えば大丈夫です。
そして、すりおろした大根をガーゼに入れて、汁を血液につけるようにしてポンポンと優しくたたきます。
キッチンペーパーやティッシュだと、紙がほぐれて布についてゴミになってしまうので、ガーゼが無ければ薄手のハンカチでかまいません。
数回たたくだけで血液ヨゴレが、かなり落ちますよ。
血液の主な成分はタンパク質です。
大根には「アミラーゼ」(もしくは「ジアスターゼ」とも言う。)という、タンパク質を分解する酵素が入っているのです。
大根の「アミラーゼ」は、血液に限らずタンパク質を分解してくれますから、例えば服についたタマゴの黄身のヨゴレや、牛乳のシミなども落としてくれますよ。
「アミラーゼ」(もしくは「ジアスターゼ」)は、胃や腸の消化を助けてくれる働きがあるので、胃薬としても使われているのです。
■2 粉末の酸素系漂白剤
やさしい 酸素系漂白剤 750g
赤黒くなってしまった血液ヨゴレを落とすには、漂白剤を使いましょう。
ここで注意しなくてはいけないのが、漂白剤には「塩素系」と「酸素系」、「還元型」があるということです。
白い生地の場合、花王ハイターのような「塩素系」のアルカリ性漂白剤や、花王ハイドロハイターのような「還元型」の弱アルカリ性漂白剤は使用できます。
しかし色柄物の場合、「塩素系」や「還元系」の漂白剤を使用してしまうと、血液だけでなく色まで落ちてしまいますので使用できません。
色柄物の場合は「酸素系」の漂白剤を使用します。
「酸素系」の漂白剤には、(液体)タイプと(粉末)タイプがありますよね。
実はそれぞれ性質が違っていて、(液体)タイプの酸素系漂白剤は【弱酸性】で、(粉末)タイプの酸素系漂白剤は【弱アルカリ性】なのです。
血液ヨゴレは、アルカリ性の洗剤のほうが落ちるので、漂白剤を使用する場合は【粉末の酸素系漂白剤】がベストです。
■3 マジックリン
マジックリン ハンディスプレー 400ml
マジックリンもアルカリ性洗剤なので、血液を落としてくれます。
注意しなくてはいけないのが、マジックリンにもアルカリ性洗剤のものと、アルカリ性でないものがあるということです。
・アルカリ性
マジックリン
マジックリン ハンディスプレー
・弱アルカリ
ワイドマジックリン
キッチンマジックリン
ガラスマジックリン
・中性(血液ヨゴレには向いていません)
フローリングマジックリン つや出しスプレー
バスマジックリンシリーズ
トイレマジックリンシリーズ
緑色の液体の定番のマジックリンであれば、血液ヨゴレにもオススメです。
その次にオススメは、ワイドマジックリンや、キッチンマジックリン、ガラスマジックリンです。
それ以外のマジックリンは、血液のヨゴレ落としには向いていませんので注意してください。
なぜアルカリ性の洗剤が良い?
アルカリ性の洗剤は、血液の中にある遊離脂肪酸に反応して、石鹸のような物質になります。
石鹸に変化すると、もう血液ヨゴレではなくなるので、洗剤のようにヨゴレを落とす働きをしてくれます。
アルカリ性が弱い洗剤ほど、血液ヨゴレを落とすのは大変になってしまいます。
生地を傷めないためにも、アルカリ性洗剤で手早く洗ってしまいましょう。
■4 アンモニア
アンモニア水 100ml
アンモニアというと、オシッコやトイレのイメージですが、実は虫刺されの薬として使用されたり、触媒として冷凍技術の一つとして使われていたこともありました。
アンモニアの中には「アンモニウム」が入っており、これが血液の主成分であるタンパク質を分解してくれるのです。
使い方は、おちょこ1杯ほどの水にアンモニア水を1滴加えます。
おちょこが無ければ、漂白剤などのキャップを使っても良いでしょう。
そして、綿棒を浸して、血液ヨゴレの場所に塗っていきます。
スカートなどの場合、反対側にヨゴレが移ってしまわないように、タオルなどをはさんでおきましょう。
アンモニア水は、血液のほか、ワインや紅茶などのシミも取ってくれます。
安いので1本家庭にあると便利ですよ。
アンモニアを使う時には、刺激臭が強いので直接においを嗅がないようにしてくださいね。
■5 セスキ炭酸ソーダ
アルカリウォッシュ 1kg(セスキ炭酸ソーダ)
エコ洗剤としても知られているセスキ炭酸ソーダですが、「アルカリウォッシュ」という製品名でも知られています。
重曹よりもパワーのある【アルカリ性】の洗剤なので、血液ヨゴレもよく落ちるのです。
生理用品に布ナプキンがありますが、その洗剤としてもセスキ炭酸ソーダは使われています。
セスキ炭酸ソーダは、洗浄力があって、手荒れもしにくく、界面活性剤は入っていないので環境にも身体にも優しい洗剤なのです。
布ナプキンの場合は、セスキ炭酸ソーダを溶かしたぬるま湯か水に2時間ほど浸しておくと血液が除去できます。
他の血液ヨゴレも、2時間程度ひたしておくことで落とすことができますよ。
■6 オキシクリーン
オキシクリーン(1.5kg)
インスタグラムで話題になっているのが、「オキシクリーン」を使った洗濯です。
汚れのひどいものから、シミまで、何でも落ちる万能洗剤として話題になっているので、パッケージを見たことがあるかもしれません。
販売されているオキシクリーンは2種類あって、日本語版のものは界面活性剤や香料が入っていません。
コストコなどで販売されてる海外版のものは、界面活性剤の青い粒や香料が入っています。
日本版のオキシクリーンも、海外版のオキシクリーンも、弱アルカリ性の洗剤です。
成分としては、酸素系の過炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムでできています。
アルカリ性のため、血液ヨゴレを落としてくれるのです。
■7 オキシドール
【第3類医薬品】オキシドール 100ml
オキシドールは、ケガをした時の消毒や洗浄に使いますよね。
オキシドールは「過酸化水素水」を、人体の消毒用に薄めたものなのです。
その「過酸化水素」は、液体酸素系漂白剤の主原料でもあります。
よりアルカリ性の強い「粉末の酸素系漂白剤」よりは落ちは良くありませんが、周囲に何もない時に役に立ちますよ。
綿棒にオキシドールを湿らせて、血液ヨゴレの部分をたたいていきましょう。
値段も安いので、1本常備しておくことをオススメします。
■8 血液汚れ落とし用洗剤
サラサーティ ランジェリー用洗剤
女性用のランジェリー用洗剤も、アルカリ性や弱アルカリ性なので、血液汚れを落としてくれます。
洗剤として選ぶのであれば、弱アルカリ性のものよりもアルカリ性のもののほうが、血液がよく落ちます。
ランジェリー用洗剤は、生地をソフトに洗ってくれるので、マジックリンでは生地を痛めてしまわないか心配な時に使うと良いでしょう。
クリーニング店に血液汚れを頼んだ場合の相場
家庭で洗濯できない生地の場合や、さまざまな生地がミックスされて作られた服など、自分で血液ヨゴレが落とせないものは、クリーニング店でシミ抜きをしてもらいましょう。
クリーニング店によっては、ワイシャツやブラウスといったクリーニングは行っていても、シミ抜きはしていない所もあります。
「白洋舎」や「ホワイト急便」「リネット」といったクリーニング会社はシミ抜きしています。
それ以外にも、もよりのクリーニング店が血液ジミを落としてくれるか問い合わせてみましょう。
■シミ抜きの料金例
シミ抜きは、シミの主原料となっている成分や、シミが広がった範囲、布の材質などによって料金が変わってきます。
ブラウスとダウンジャケットでは、全体をクリーニングをする手間も違ってくるからです。
ほんの一滴といったようなわずかなシミの範囲であれば、数百円程度ですが、襟全体となると2,000円から3,000円程度になります。
肩や袖、脇といった場所であれば1,000円程度の場合もあります。
時間が経ってしまった血液のヨゴレは、プロでも完全に落とせない場合がありますので、現物を見てもらいながら相談してみましょう。
シミ抜き専門店で血液を洗濯してもらう
■不入流(いらずりゅう)の染み抜き
「不入流」とは、クリーニングの染み抜きの流派の名前です。
高知県に本部があって、全国に「不入流」の染み抜き方法を学んだ技術者がいます。
「匠聖(しょうせい)」「師聖(しせい)」「師範(しはん)」になるには、それぞれ厳しい試験があり、2016年現在、匠聖と呼ばれている「不入流」の染み抜き方法の最上位にいる技術者は5人しかいません。
その下の「師聖(しせい)」でも39人しかおらず、極めるのが難しい技術でもあるのです。
「不入流」と自分が住んでいる土地の名前で、インターネット検索すると、技術者の名前や店名がヒットする場合もあります。
東京八王子 宅配染み抜きクリーニング「不入流 染み抜き屋」
宅配なので、全国規模で靉嘔してくれる染み抜き屋さんです。
こちらでは、衣類の種類によて染み抜きの料金(クリーニング代込み)が設定されています。
何でついたシミかは関係なく、料金は一律です。
料金は、2017年8月現在、ワイシャツは1,500円、セーターは2,000円、スカートは2,000円、コートは4,000円となっています。
ホームページに詳細な料金表が掲載されているので、気になる場合はチェックしてみましょう。
■染み抜き化学研究所
札幌市にある会社で、こちらも全国規模で宅配で染み抜きを受け付けています。
シミが取れなければ1円も料金は取りませんという程、染み抜きにこだわりを持っています。
血液ヨゴレは、小さいシミであれば3,000円から5,000円、大きい範囲の場合は5,000円から8,000円にになります。
クリーニング店でも落ちなかった血液ジミは、染み抜き専門店に頼んでみると良いですよ。
まとめ
今回は、血液ヨゴレの落とし方について調査しました。
血液で汚れてしまった服や布を綺麗にするには、「アルカリ性」の洗剤を使うということがわかりました。
血液を洗う時には、洗剤であれば何を使用しても良いというわけではありません。
洗剤には、中性のものと、酸性のもの、弱酸性、アルカリ性、弱アルカリ性のものがあるので、洗剤の成分表示欄をよくチェックしてから使用するようにしましょう。
家庭用洗剤には中性洗剤が多いので、気をつけてください。
また、意外な物に「大根おろし」がありました。
テレビのクイズ番組や情報番組などでもよく取り上げられていますので、一度試してみると良いでしょう。
どの洗剤を使用する時も、いきなりドバっと汚れた場所にかけてしまうと、血液汚れだけでなく生地全体を痛めてしまうことがあります。
ガーゼや綿棒に、洗剤を少量含ませて、トントンとたたくようにしたり、薄く塗るようにしたりして、生地を痛めないかテストしてからシミ全体に染み込ませるようにしましょう。