ニットは洗濯が難しい素材です。お湯で縮むし、冷たすぎる水もニットにダメージを与えてしまいます。
扱いの難しいニットですが、いちいちクリーニングに出していては費用もだいぶかかってしまいます。プロのクリーニングと全く同じとまではいかなくても、家でニットが洗えると良いですよね。
ここでは、縮まないネットの洗い方について紹介しています。
ニットを洗濯する8つの手順
■1 ニットを洗濯する時に必要なものを準備する
最低限必要なものは
・ニットが入る大きさの洗濯桶
・おしゃれ着用洗剤
・30度以下のぬるいお湯
この3つです。
■2 ニットの洗濯表示をチェック
初めてニットを洗濯機に入れる服は、洗濯表示をチェックするのを忘れないようにしましょう。洗濯表示は服の内側のタグに描かれている場合が多いのですが、海外で作られた服の場合は何も表示が無いケースもあります。
洗えるニットの洗濯表示
洗濯できるマークです。
手洗いで洗濯できるマークです。
■3 ニットを洗う前にサイズを測る
ニットの洗濯は、縮むのが怖いですよね。「ニットの洗濯=縮む」というのが頭にあるので、あまり縮まなくても小さくなったような気がしているのかもしれません。
本当に縮んだかどうか、ニットを洗う前にサイズを測っておきましょう。
<採寸について>
セーターの場合、採寸するのは
① 右の肩と左の肩の間の肩幅
② 肩から袖までの腕の長さ
③ 背骨側の首の付け根から、服の一番スソまで
④ 袖口の直径
の4ヶ所を測っておけば良いでしょう。
もし、縮んでいるようであればアイロンの蒸気をあてながら、ゆっくり叩いて伸ばしてみましょう。
引っ張ると一部分だけが伸びて、ニットのバランスが崩れてしまうので注意してください。
■4 ニットのシミや汚れは前処理をする
ニットを手洗いや洗濯機で洗う前に、特に汚れのひどい場所やシミができている部分は、先に洗濯用洗剤をつけて洗っておきましょう。本番の洗濯で使用する洗剤でもかまいませんし、前処理用の洗剤でも良いでしょう。
・襟
・袖口
・ポケットの入り口
といった場所は、皮脂汚れや汗、化粧品などのせいで、ニットの他の部分よりも汚れる可能性があります。前処理しておかないと、ただ普通に洗っただけではキレイになりまんので、一手間かけてあらいましょう。
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■5 ニットは毛玉ができるので、洗濯機よりも手洗いで
ニットは洗濯機のドライモードで洗うことができますが、やはりデリケートな素材なので本来であれば手洗い推奨です。手で優しく洗うのと、洗濯ネットにいれて洗濯機で洗うのでは、やはり痛み具合も違ってきます。
手で洗う場合は、水の中に洗剤を入れて最初に泡立てます。使用する水は、30度以下にしてください。お風呂位の温度でも、ニットは縮んでしまいます。
また、手が凍るように冷たい温度でもニットにダメージを与えてしまいます。手をつけて、普通の状態でいられる温度に調節しましょう。
ニットを入れてからだと洗剤を泡立てにくいので、前もって手でバシャバシャして泡を作っておきます。そして、その中にニットを入れて、約30回の押し洗いをしてください。ゆっくり押して、洗濯物が浮いてきたら再び押します。
ニット同士をゴシゴシ擦り合わせてしまうと、毛玉ができたりフェルトのようになって縮んで硬くなってしまいますので気をつけてください。
■6 ニットをどうしても洗濯機で洗う場合はネットに入れて
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毛玉ができないように裏返しにしてたたむ
ニットを洗濯機で洗う場合は、洗濯ネットに入れて洗いましょう。そして、洗う時のモードは「ドライモード」がオススメです。「ドライモード」は、激しい水流でガシガシ洗うのではなく、洗剤が入った水の中を泳がせるイメージです。
ニットを洗濯ネットに入れる方法は諸説ありますが、毛玉ができないように裏返しにしてたたんでネットに入れるのがオススメです。表にしたままニットを洗濯すると、洗濯ネットとニットの服が擦れてしまって毛糸がボソボソになったり毛玉ができやすくなるので大切なセーターやカーディガンは表裏を逆にするようにしましょう。
伸びやすい袖、襟は内側に折り込んでおく
ニットでも特に伸びたり縮んだりするのが気になる箇所は、襟や袖口ですよね。袖口や襟が、波を打ったようにヘロヘロになっているニットは格好良くありません。ダメージを与えないために、伸びやすい袖口や襟は内側に折り込んでおくと良いでしょう。
■7 ニットは洗濯機での強い脱水はNG
ニットを洗濯した時は、基本的に脱水はかけないようにしましょう。どうしても、という場合は30秒程度ならかまいません。洗濯機の脱水に入れると、強い力でグルグル回るので、ニットの一部分が伸びてしまったり型くずれしたりしやすいのです。
手で洗った場合も、洗濯機で洗った場合も、ニットは大きめのタオルで挟んで水分を取るのが一般的です。絞ったりせずに、優しく水分をタオルで取っていきましょう。
■8 ニットは日かげで平干し
ニットの乾燥は、日なたではなく日かげが基本です。布団のように太陽で日光消毒したいところですが、強い太陽の日差しで色が変色してしまう場合があるからです。
乾かす時にハンガーに吊り下げたり、物干し竿に両腕を通したりすると、水分を含んだ毛糸は重いのでニットが伸びてしまいます。ニットは平干し用のネットの上に干すと、型崩れせずに乾燥させることができます。
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ニットが縮んだ時のケア方法2つ
ニットが縮んでしまった場合、あきらめずに2つの方法を試してみましょう。
・アイロンの蒸気で伸ばす
・髪用のトリートメント剤を溶かした水につける
という方法です。
■①アイロンの蒸気で伸ばす
ニット全体は縮んでいなくても、首の襟の部分や袖口の部分が、部分的に伸びて波を打っている場合があります。
袖口やスソ、襟がヘロヘロになっていたらかっこ悪いですよね。そのような場合は、アイロンをニットから1センチくらい離して、スチーム蒸気をかけます。あまりかけすぎると、ニットは熱に弱いので、また縮んでしまいますので要注意です。
ニットが縮んでいる状態の時は、繊維と繊維が絡まってしまっています。これを蒸気で温めてやり、からまりを解くのです。アイロンを直接かけることではありませんので、近づけすぎないようにしましょう。
蒸気を当てたら、すぐアイロンをどかしてニットを手で軽くたたきましょう。気持ちがあせるあまり、ニットを引っ張ってしまうと形が崩れてしまいます。ゆっくり、気長に叩いて伸ばしていきますが、なかなかニットが伸びないと思ったら、霧吹きで水をスプレーしてからアイロンを近づけるようにしてみましょう。
■②髪のトリートメントを溶かした水につける
洗濯して縮んだセーターは、毛のキューティクルのような「スケール」(セレーション)が、立ち上がってお互いにからみあっている状態です。からみあっている状態を直してあげることで、ニットは元通りになります。
髪の毛用のトリートメント剤やリンスを使って、からまっている「スケール」をほどいていきましょう。毛をトリートメント剤でサラサラにすることで、繊維同士のからまりが解けていきます。
まずは、トリートメント剤やリンスを、30度以下のぬるま湯か水に溶かします。トリートメント剤は水に溶けにくいので、一旦お湯で溶かした後に30度以下になるまで冷やして使うと良いでしょう。このトリートメント水に、ニットを1分ほどつけます。
全体的に繊維の奥まで、しみわたるように浸しましょう。
1分したら、大きなタオルでニットの水分を取っていきます。まだ縮んでいるようであれば、ニットの両側を大きなタオルで挟んで叩くようにして縮んだ部分を伸ばします。アイロンの時と同様に、ぐいぐい引っ張ってしまうと型崩れするので、引っ張るのではなく優しく叩くようにしてください。
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ニットを洗うと縮む理由3つ
ニットが縮む場合、「水分」「こすれ、スレ」「温度」のいずれかの理由があると言われています。
1つの理由だけでも縮んでしまいますので、熱いお湯の中で他の洗濯物と擦れてしまった、というように条件が重なると余計に悲惨な状態になってしまいますので注意しましょう。
①水分 <繊維が立ち上がって絡まってしまう>
毛糸は髪の毛のキューティクルのように、小さなウロコがたくさん重なってできています。毛糸のキューティクルのようなものは「スケール」または「セレーション」と呼ばれていて、水を吸うと立ち上がるようになっています。そして立ち上がったスケールどうしがお互いに絡み合い、ニット全体が縮んでしまうのです。
②こすれ、スレ <毛玉ができる>
ズボンの股の部分や、腕の袖口など、よくスレる部分は毛玉ができやすいものです。特に濡れた毛糸の場合、スレてしまうとフェルトのようになって硬くなり縮んでしまいます。まだ被害が少ない段階であれば、髪の毛に使用するトリートメントを溶かした水につけることで修復可能です。
しかし、しっかりフェルト状にかたまってしまったものは復旧できません。ニットを洗う時には、ゴシゴシとこすり洗いしてしまうと、フェルト状になって縮むので気をつけましょう。
③温度 <水温が高すぎたり低すぎる>
ニットは羊の毛や他の動物の毛でできています。哺乳類の毛なので、着た時の身体の温度で一番良い状態になるような仕組みになっています。羊毛や獣毛は熱を加えると、キュッと縮んでしまいますのでお風呂の残り湯などに漬けるのは厳禁です。
また、アクリルなど化繊でできているニットの場合は、熱を加えることで長さが伸びてしまいます。ニットの素材が何であっても、温度には十分気をつけてください。冷たすぎる水温もニットにダメージを与えてしまいます。
ニットは冷たすぎず、熱すぎない温度で洗ってください。
ニットの洗濯をクリーニングに頼んだ時の相場
■白洋舎
クリーニングの老舗「白洋舎」に洗濯を頼んだ場合は、セーター、カーディガン、チョッキだと店に持ち込みの場合で550円、集配だと600円です。セーター、カーディガン、チョッキでも高級ブランドの品物であったり、素材がデリケートなものは持ち込みで1,050円、集配で1,150円になります。
また、手編みのニットや装飾が凝っているものは、通常料金で持ち込みで1,000円、集配で1,100円になります。手編みのニットや装飾が凝っているものでも、高級ブランド品や、素材がデリケートなものは持ち込みで1,900円、集配で2,100円です。
■リネット
宅配クリーニング大手の「リネット」の場合、 セーターの通常料金が440円で、 より丁寧に仕上げるデラックス仕上げの場合は940円になります。セーターの素材の30%以上がカシミヤやアンゴラ、シルク、麻、モヘア、アルパカといった素材の場合はそれらにプラス480円の料金がかかります。
カーディガンの通常料金は580円で、より丁寧に仕上げるデラックス仕上げの場合は1,080円になります。カーディガンの場合もセーターと同じく、素材の30%以上がカシミヤやアンゴラ、シルク、麻、モヘア、アルパカといった素材の場合はそれらにプラス480円の料金がかかります。
まとめ
今回は、ニットの洗い方について調べてみました。
ニットというのは「編む」という英語ですが、日本語ではセーターや手袋、マフラーの総称として使われています。ニットはセーターだけのことではなく、他の毛糸でできた製品のことも示しています。
ニットを洗う場合は、デリケートなので手洗いが一番良い洗い方です。しかし忙しい等で家でニットが洗濯できない場合は、洗濯ネット入れて「ドライコース」で洗ってください。
クリーニング店でのドライクリーニングは水ではなく、特殊な石油などで作られているため、クリーニング店での仕上がりは家庭での洗濯と全く質が違います。それでも、おしゃれ着用中性洗剤で洗うことで、ニットにダメージを与えることなく洗濯することができます。
もしもニットが縮んでしまったら今回解説したように、アイロンの蒸気を当てたり、髪用のトリートメントに浸したりすると直る場合があります。じっくりあせらず形を整えてみましょう。
お気に入りのニットをいつでも綺麗に気持ちよく着られるよう、自宅での洗濯方法のコツをつかめると良いですね。