シルクを水につけてしまう前に、気をつけて欲しいポイントをまとめています。
シルクは洗濯が難しいとよく言われます。もしも夏場や暑い部屋などでシルクの服を着て、汗をかいたらどうしたら良いのでしょう?シルクは大変デリケートで、強い洗剤を使うと光沢が無くなってゴワゴワしてしまいます。水につけただけでも、色がにじんでしまうシルク製品もあります。
それでも、食べ物のシミや汗など、シルク製品を洗いたい時がありますよね。ここでは、高級なシルク素材の洗濯方法について調べてみました。
シルクを自宅で洗濯する方法7ステップ
■1 まずシルクの【洗濯表示】をチェック
自分の持っているシルク製品が洗えるかどうかは、【洗濯表示】を見て調べましょう。服の裏や、スカーフの端などについているタグに、記号がいくつか描かれているものがありますが、それが【洗濯表示】です。
最近は、ウオッツシャブルシルクという洗えるシルク製品も販売されていますが、全てのシルク製品が洗えるわけではないので注意してください。
もしも、濯表示で洗えないシルク製品であれば、自宅での洗濯はあきらめてクリーニング店にお願いしましょう洗。シルクは木綿やポリエステルのように、汚れたら気軽に洗える生地ではありません。洗濯機で洗うことや、水に濡れることは基本的にしてはいけない生地です。
洗濯できるシルクでも、洗濯機ではなく手洗いしたほうが光沢としなやかさをキープできますよ。
シルクの洗濯表示の例
水を使って、洗濯機や手洗いで洗濯できるという印です。
水を使って、手洗いで洗濯できるという印です。洗濯機での洗濯はできません。
水を使っての洗濯はできません。クリーニング店でのドライクリーニングは、可能な場合がありますので他の表示を参照してください。
ドライクリーニングができるという印です。パークロロエチレンや石油系溶剤を使って、通常のドライクリーニング処理ができます。
石油系溶剤を使ってのドライクリーニングが可能です。クリーニング店への指示ですので、どのクリーニング店に持っていってもクリーニングしてもらえます。
ドライクリーニングできないという印です。この記号が書かれている場合、水を使ってのクリーニングもできない場合が多く、洗濯はあきらめなくてはいけません。
洗濯表示とは?
洋服を買った後、初めて着る時にはタグがついていると邪魔なので切りたくなってしまいますが、実はタグには大切な情報が記されています。洗濯方法が書かれているものなので、これが無いとクリーニング店のスタッフでさえ正しい洗濯方法がわからないのです。
洗濯表示は日本だけでなく、ヨーロッパやアメリカ、カナダ、中国など世界各国で使われている「繊維製品をどのように洗濯するか」を描いた記号のことです。国によって多少の違いはありますが、徐々に国際的に同じ記号を使う方向に進んでいます。
日本も国際規格に向けて、2016年12月から新しいものに変わっています。
新しい洗濯表示も、それ以前の洗濯表示も、図だけでは何を示しているのかよく理解できません。そのため洋服メーカーや洗剤会社では、新旧の洗濯表示を、わかりやすくまとめているサイトを作っています。スマートフォンのアプリでも洗濯表示を調べることができるので参考にしてください。
○【パソコン用ページ】無印良品
https://www.muji.net/mt/contact/img/laundrysymbols201612.pdf
○【パソコン用ページ】三陽商会
http://www.sanyo-shokai.co.jp/brand/img/washing/comparison.pdf
また、洗濯表示を検索できるスマートフォンアプリもあります。
○【スマートフォン用】洗濯表示アプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=exciton.jp.laundrysymbol&hl=ja
Android用の洗濯表示検索アプリです。
新洗濯表示も、旧洗濯表示もどちらも見ることができます。
○【スマートフォン用】これ洗える?
https://itunes.apple.com/jp/app/%E3%81%93%E3%82%8C%E6%B4%97%E3%81%88%E3%82%8B/id858102421?mt=8
iPhone用の洗濯表示検索アプリです。洗剤や薬品で知られているライオンの公式アプリで、自分のお気に入りの服を登録することもできます。
■2 シルク製品の端の部分で洗濯できるかテスト
洗える洗濯表示がついているシルクでも、水に濡れると色が落ちてしまったり、縮んでしまう場合があります。特に海外で購入したシルク製品は、色止めが弱い場合があるので要注意です。
シルク製品に特殊なコーティングなどがされていると、水に濡れることでコーティング材が溶けて輪ジミになってしまう危険もあります。シルク製品の洗濯で失敗しないためにも、最初に目立たない端の部分を水に濡らして、洗濯できるかどうかテストしてください。
<テストの方法>
テスト方法は、目立たない所に水を垂らします。そして、5分ほど経過したら布で優しく叩きましょう。布のほうにシルク製品の色がついてきたり、色がにじんで色の薄い部分にシミになるようであれば、水を使っての洗濯は危険です。
家庭での洗濯はあきらめてクリーニング店に洗濯を依頼してください。
■3 ぬるま湯にシルクを洗うための洗剤を溶かす
たっぷりの水で、シルク製品を洗う洗濯液を作りましょう。水温は20度から30度位が適温です。お風呂の残り湯だと、皮脂汚れがシルク製品についてしまう恐れがありますので、綺麗な水で洗ってください。また、あまり冷たすぎる水でも、よく汚れが落ちません。
シルクを洗う時は、水の中を泳がせるようにします。その際に、シルク製品が洗濯桶に当ってしまうと毛羽立ってしまったり、毛玉ができてしまうので、洗濯水は多めに作っておきましょう。
■4 シルクは優しく手洗いが基本
シルク製品は、手洗いが基本です。どのシルク製品も水が苦手なので、シルクの洗濯は短時間勝負です。サッと洗って、すぐにすすいでください。
洗濯液ができたら、両手でシルク製品を持って洗濯液の中につけながら左右に振ります。その時に、シルク製品が洗い桶にこすれてしまうと毛玉が出来てしまいますので、たっぷりとした洗濯液の中でシルク製品を泳がせるような気持ちで洗ってください。
<洗えるシルク「ウオッツシャブルシルク」について>
また、最近は洗えるシルク製品、「ウオッツシャブルシルク」も販売されています。水で洗ってもゴワゴワしないようシルク繊維に工夫がされており、洗濯後も美しい光沢が保たれる新しいシルク製品です。洗えるシルクだからと言って、雑に扱って良いわけではありません。
シルク製品であることに変わりはないので、洗濯ネットに入れて、おしゃれ着洗い用中性洗剤で優しく洗いましょう。洗濯コースはドライコースにします。
「ウオッツシャブルシルク」も、できれば手洗いしたほうが品質を長い間保てますよ。
■5 シルクは手早くすすぐ
すすぎ洗いは、たっぷりの水を洗面器や洗い桶にためて、洗い終わったシルク製品を入れます。水温は冷たすぎず、熱くない20度から30度くらいがベストです。すすぎ洗いの前に、一度絞りたくなってしまいますが、シルク製品はひねったりゴシゴシこすったりする刺激に大変弱いので止めましょう。
繊維の中の洗剤成分が落ちれば良いので、水に入れて優しく泳がせれば十分です。それを2、3回程度繰り返してください。シルクは水が苦手なので、手早く行うのがコツです。
洗濯機でシルク製品をすすぎ洗いをする場合は、水流は一番弱い設定で短時間で行います。シルク製品を洗濯機で洗う場合と同様に、裏返しにして洗濯ネットに入れましょう。
■6 タオルでシルクを挟んで水を切る
シルクは繊細な素材なので、脱水機で水を切ったり、雑巾やタオルのようにぎゅっと絞ったりすると型崩れしてしまいます。シルクは摩擦にとても弱いので、ひねると毛玉ができたり毛羽立ったりしてしまうのです。
シルクの脱水で一番おすすめの方法が、大きなタオルでシルク製品を挟んで水を切るやり方です。タオルで挟んだ後も、絞ったりしないようにしてください。
■7 シルクの衣類はネットで平干し
シルク製品を乾燥させる時には、生地が傷んで質が劣化してしまいますので乾燥機は使えません。手洗いをしたら、平らなネットの上で乾燥させます。
シルクは綿よりも吸水性があり、水をよく含むので洗濯した時は重くなってしまいます。そのため、ハンガーにかけたり洗濯バサミで吊るしたりすると、1カ所だけに負荷がかかって型くずれしてしまいます。「平干し用のランドリーネット」を使って、シルク製品を乾燥させるようにしましょう。
また、シルクは紫外線を吸収しやすい素材です。そのため日光にシルク製品を長時間当ててしまうと、黄色く色が変わってしまいます。シルクを乾かす時には、必ず日陰で干すようにしてください。
シルクを洗う時の注意
■シルクは「乾燥機」は禁止
シルクを洗濯する時は、【絶対に乾燥機には入れない】でください。シルクは乾燥機に入れてしまうと、繊維が毛羽立ってしまったり毛玉ができたりします。元の高級感のある光沢は戻ってきません。シルク特有の柔らかさも無くなってゴワゴワしてしまいます。
■シルクは「普通の洗濯洗剤」や「柔軟剤」はNG
シルクは、蚕の糸から作られた天然のデリケート素材です。強い洗剤を使ってしまうと、シルクのタンパク質成分まで汚れと一緒に落ちてしまいます。普通の洗濯用洗剤でシルクを洗ったら、ゴワゴワで柔らかさも光沢も無くなってしまうので注意しましょう。
一度壊れたタンパク質は元に戻らないので、シルクを洗濯するなら【おしゃれ着洗い用中性洗剤】にしてください。
また、柔軟剤や酸素系漂白剤なども、シルク製品にとっては強い刺激となってしまうので使用しないでください。
シルクの洗濯を失敗するとどうなる?
シルクの服や製品の洗濯に失敗すると、どうなってしまうのでしょうか?
一言で言うと、縮んで型くずれして、色落ちするので、結局は着られなくなってしまいます。洗濯の失敗のオンパレードになってしまうのです。そして、シルクの選択を失敗した場合は、後からクリーニング店に洗濯のやり直しを頼んでも修正できないことがほとんどです。
例えば、シルク製品は高級素材なので、金糸や銀糸など特別な糸を使用している場合があります。製法によっては水で洗濯することで、シルク繊維がほぐれてしまい、全体に金や銀が粉のように散乱する可能性があるのです。
また、シルクは一般的には洗わない生地なので洗うと色移りすることも多い生地です。白い部分に赤や青い色が滲んでしまうなどの失敗もよく聞きます。色移りは、水につけただけでわかりますので、シルクを水で洗う場合は端の部分でテストしてから洗ってください。
男性がやりがちな失敗としては、食べ物の汚れがネクタイについたので、あわてて水につけてしまうケースです。シルク製品の中でも、ネクタイはとても型くずれしやすいものです。特にネクタイは形が左右対称で剣先が中央にきていないと、だらしなく見えてしまいます。
出張先でネクタイが汚れてしまったら、洗わずに新しいものを買ったほうが慌てずに済みますね。
シルクのアイロンのかけ方
シルクをアイロンがけする時は、濡れた状態で行ったほうが失敗しません。脱水し終わって生乾きの状態の時に、【裏側】からあて布をしてアイロンがけをします。アイロンの温度は低音にセットします。
乾いた状態のシルク製品にどうしてもアイロンがけしなくてはいけない場合は、湿らせてからアイロンをかけます。しかしシルクは非常に水に弱いので、ずっと乾燥していたシルク製品に、いきなり霧吹きなどで水をかけてしまうと縮んでで型くずれする恐れがあります。
タンスやクローゼットでずっとしまっておいたシルク製品がシワになってしまった場合は、クリーニングに出したほうが懸命です。シルクは木綿のようには扱えないデリケート素材なので、アイロンがけに自信が無ければプロのクリーニングに頼みましょう。
シルクを洗濯する時に必要なグッズ
■おしゃれ着洗い用中性洗剤
シルクを家庭で洗濯する時には、特別に「おしゃれ着洗い用中性洗剤」で洗濯をします。
シルクは人間の肌や髪の毛と同じ(タンパク質)でできています。普段洗濯で使っているような弱アルカリ性洗剤は、皮脂汚れを落とすように作られているので(タンパク質)は分解して溶かします。
そのため、普通の洗濯用洗剤のような弱アルカリ性洗剤や、重曹や緑マジックリンのようなアルカリ性洗剤を使ってしまうと、シルクを構成している(タンパク質)が分解されて品質が劣化してしまうのです。
旅先などでシルクを急に洗わなくてはいけなくなった場合は、シャンプーで洗うことができます。シルクも毛髪も同じ(タンパク質)からできているので、シルクを守りながら洗ってくれるからです。
■平干し用ネット
シルクの生地でできたものはデリケートな素材なので、ネットに平らにして干します。
シルクの服は、完全に乾燥した後はハンガーにかけて吊るしておくことができますが、濡れている時には水の重さが加わるので重くなっています。シルクは糸の繊維の中に水分がたまりやすいので、乾燥中に折れたりハンガーにひっかけたりしていると、それだけで跡がついてしまう恐れがあるので要注意。
そのため、洗濯バサミや物干し竿に吊るして干すと、1カ所にだけ負担がかかってしまうので型くずれする恐れがあるのです。
また、絹は日光に当たると黄色く変色する蛍光がありますので、日陰で干すようにしてください。一度黄色く変色した絹は、元に戻すことはできないので注意しましょう。
まとめ
今回は、高級素材の代表選手とも言えるシルク、絹製品の洗い方について調査しました。羊毛やカシミヤなど、おしゃれ着洗い用中性洗剤で洗える生地はいくつかありますが、の中でも特にデリケートなのがシルクですそ。
シルクを洗うには、水温や洗剤、洗い方や乾燥方法、アイロンのかけ方など、一つ一つ気にしなくてはいけないことがあります。洗う時に、シルクどうしがすれてしまうだけで、毛羽立ったり光沢がくすんでしまうこともあります。
安易に洗濯してしまうと、縮んだり型くずれしたり、色がにじんでしまったりと、二度と着られなくなってしまいます。普段から、おしゃれ着洗い用中性洗剤での洗濯に慣れていれば心配ありませんが、もしシルクの洗濯に自信が無ければ、クリーニング店でのドライクリーニングをおすすめします。
買ってすぐのシルク製品でまだあまり着ていないものや、高額な和服小物なども、自宅で洗濯するよりもクリーニング店でプロに洗濯をお願いしましょう。
最近のシルクの生地には、洗えるシルクも登場しています。頻繁に洗濯したい場合には、ウオッツシャブルシルク製品の購入をおすすめします。