シロアリは見えないところでお家の内部にダメージを与えます。この記事では、お家にシロアリが住み着いているかを知るためのチェックポイントや、正しい駆除の方法、シロアリを寄せ付けない家づくりについて考えてみました。今日からできることもあるので、ぜひ実践してみてくださいね。
シロアリを駆除するための5つの知識
シロアリを駆除するにはいくつかの方法がありますが、その前にシロアリについて知っておかないと対策を講じられませんね。ここでは、シロアリについて知っておきたい5つのことをご紹介しています。
■① 「シロアリ」を知ろう
「シロアリ」とひとくちに言っても、家に被害を与えるシロアリは複数の種類が存在します。
日本のほぼ全土に生息するヤマトシロアリ、九州・四国の沿岸部・西日本の太平洋側に生息するイエシロアリ、北米から侵入したアメリカカンザイシロアリの3種類が主なものです。北海道の一部を除いたほぼ全ての地域に、なんらかのシロアリが生息しているというわけですね。
特にイエシロアリは、この中でも一番被害が激しい種類と言われています。性格は凶暴で、コロニーの個体数も100万匹以上と膨大な数です。
イエシロアリを見つけたら、事態は急を要すると思って良いでしょう。
■② シロアリの被害はこんなにこわい
シロアリは家の建材を食い荒らしてしまうと言いますが、具体的にはどういった被害があるのでしょうか。まず、一番恐ろしいのは家の基礎や柱に致命的なダメージを与えてしまうということです。基礎へのダメージは、家の安全性に直結します。これにより耐震性能が低下し、地震が起きた時に倒壊する危険性が大幅に高くなります。
また、シロアリは木材を食べるだけでなく、コンクリートや断熱材、ケーブル等も食べてしまいます。ケーブルの断線による火災が発生する可能性も高くなります。
また、食べる木材は建材だけにとどまりません。家具や畳等の植物由来の製品も食い荒らしてしまうのです。
シロアリの被害は住環境を著しく悪化させるだけでなく、家そのものの安全性にも深く関わっています。シロアリ駆除は単なる「害虫駆除」ではなく、暮らし全体を守るために必要不可欠な防御と言えるでしょう。
■③ あなたの家は大丈夫?知っておきたいチェックポイント
シロアリは、基本的には柱や建材に潜んで家を中から食い荒らしてゆきます。そのため、外から見ると状態がわかりにくいものですが、自分でも「シロアリがいるのかいないのか」をある程度推測できるチェックポイントがあります。
・最近、近所でシロアリの被害があった
・床下や基礎、壁際に色の違う筋道のようなものができている
・小さな黒っぽい羽根のようなものが落ちている
・壁際に木くずが落ちている
・俵型の小さな黒い糞のようなものが散らばっている
・床が鳴ったり、足で踏むと浮くような感触がある
・柱を叩くと場所によって音が違ったり、軽い感じの音がする
以上のポイントに1つでも思い当たるものがあれば、家にシロアリが生息している可能性が濃厚です。玄関や水まわり周辺、家具の後ろ等を重点的にチェックしてみましょう。
■④ 被害に遭いやすい立地ってあるの?
家の構造とは関係なく、シロアリの被害に遭いやすい立地というものが、残念ながら存在します。
・日光が当たりにくい
・風通しが悪く、空気が滞留しやすい
・湿度が高い
こういった立地にある家は要注意です。水田地帯を開拓して作られた住宅地や、近くにため池があるような土地もシロアリが繁殖しやすい環境です。シロアリは直射日光や外気に非常に弱い生き物です。風や日光がさえぎられやすい環境を好むということですね。
■⑤ 自分で駆除する方法
シロアリ駆除剤等を使って、シロアリを自分たちで退治することもできます。蟻道が見えていたり羽アリが出現している場合は、自分たちである程度は駆除できるでしょう。上手くいけば、業者に依頼するよりもかなり安価に処置することができます。
薬剤を噴霧する
ホームセンター等に販売されているシロアリ駆除剤を使って、蟻道を辿りながら殺虫剤で駆除していく方法です。上手くいけば業者に依頼するより安価に駆除することができますが、コロニーを根こそぎ駆除するのはかなり難しいでしょう。
シロアリは床下等の人目につかない狭いところで繁殖しています。そういったところに潜って長時間の作業をするのは、とても大変なことです。また、生き残った固体が分散して新たなコロニーを作ることで、被害が拡大する可能性もあります。駆除後の経過観察と予防が非常に重要だと言えるでしょう。
基本的には少しでも不安がある場合は、専門業者への依頼を考えることをおすすめします。
掃除機で吸う
成長した羽アリが出てくるポイントを見つけて、一気に紙パック式の掃除機で吸い取る方法です。吸い取ったパックを捨てるだけなのでお手軽に駆除できますが、家の中にはまだ大量のシロアリが残っています。あくまで対症療法でしかないのが問題です。
羽アリがいる=シロアリがいるということに気づける貴重な機会ではあるので、早急に根絶する策を考える必要があります。
駆除を業者に頼んだ場合のお値段は?
シロアリの根絶にはプロの業者の力を借りることが非常に効果的です。しかし、値段の見当がつかないと依頼するのも躊躇してしまいますね。ここでは、駆除を業者に依頼したときの金額の相場や料金算定の方法についてご紹介しています。
■シロアリ駆除費用の目安
シロアリの駆除費用は、一般的に家の広さによって決まります。
相場としては、坪単価5,000円~9,000円、もしくは1㎡あたり1,500円~3,000円前後のところが多いようです。この相場から大幅に外れている場合は、トラブルの原因になる可能性がありますので、避けたほうが無難でしょう。
シロアリ駆除は、長期的な対策が必要になることがほとんどです。メンテナンスやアフターサービスが充実しており、調査に信頼がおける業者を選ぶようにしましょう。身近な人たちからの口コミを活用するのもおすすめです。
■一般的な住宅で依頼した場合
シロアリ駆除の費用は「坪数×料金」でおおまかに計算することができます。この坪数は延べ床面積ではなく、あくまで建坪であることに注意しましょう。
<20坪の住宅の場合>
20坪の住宅のシロアリ駆除を、坪単価6,000円の業者に依頼するとしたら「20(坪)×6000(円)=120,000円」が基本的な料金ということになります。ここにさまざまな補修費用等が加算されることもあります。
坪ではなく㎡単価を提示する業者もあるので、坪単価と㎡単価を両方試算してから調査を依頼することをおすすめします。1坪=約3.3㎡と覚えておくと良いでしょう。
■駆除業者ってどういうことをするの?
プロのシロアリ駆除業者は、どのような施工をするのでしょうか?一般的な流れはこのようになっています。
・調査と見積もり
住まいの構造や周辺環境等、シロアリがどこに生息しているのか、その被害状況等を詳細に調査して、必要な処置と費用を算出します。
・施工
建材にシロアリ駆除の薬剤を注入したり、蟻害を受けた箇所を補修します。また、床下や基礎部分に吸湿・防カビシートを敷き込む等して、被害の再発を防ぐ処置もします。
・定期メンテナンス
必要に応じて数年後に点検を行い、シロアリの被害が再発していないかを確認します。
プロの使う薬剤は、一般に販売されている駆除剤よりもはるかに強力です。また、床下の基礎部分まで潜って薬剤を注入するのは、専門の業者でないと難しいでしょう。家の安全に直結する部分ですから、床下の駆除は信頼できるプロの駆除業者にお任せすることをおすすめします。
シロアリ駆除の注意点
シロアリ駆除は、コロニーまで根絶させることが非常に重要なポイントです。ここでは、シロアリを駆除する時に気を付けたいポイントについて考えてみたいと思います。
■自分で駆除する時の注意点
自分で駆除する方法を先にご紹介しましたが、シロアリが家にコロニーを作っていた場合、それらをご自身で根絶することは非常に困難です。自分でできるのはあくまで応急処置で、家から完全にシロアリを駆除するのは業者にお任せすると考えるのがベストです。
特に臆病で分散しやすい性格を持つヤマトシロアリは、逃げ出した数匹からでも再度コロニーを形成することが知られています。そうなると、今度は家の違う場所が蟻害に遭ってしまう可能性もあります。
また、駆除剤のなかにはアレルギー反応を起こすものもあります。小さなお子さんやご高齢の方がお住まいの場合は、取り扱いがとても難しくなってしまいます。
少しでも不安がある場合は、自分で処置せずに業者に調査を依頼することをおすすめします。
■業者に依頼する時の注意点
悪徳シロアリ駆除業者による被害は、ハウスメンテナンス関連のトラブルの中でも、かなり件数が多いものです。ありもしない被害をでっち上げて、高額な料金を請求するケースが数多く報道されています。
トラブルを未然に防ぐためには、まず料金の相場を知っておく必要があります。調査の前でも料金表の提示を要求することは可能です。料金体系が明瞭な業者を選ぶようにしましょう。調査を複数業者に依頼するのも効果的です。
また、どこにどのような被害が発生しており、どのような処置が必要なのかをきちんと説明できるかもチェックしましょう。特に基礎等の見えない箇所は、モニター等で調査の様子を確認できる業者もあります。少しでも不明瞭な点がないか、注意深く観察しましょう。
額だけにこだわらず、人柄やアフターサービスもよく確認して選ぶことをおすすめします。
シロアリを増やさないコツ
■シロアリが棲みにくい家を作る
シロアリ駆除は、業者に依頼するとそれなりの費用がかかります。せっかく駆除したのですから、再発を予防してシロアリが近寄れないような家づくりをしたいですよね。そのために気を付けたいことが3つあります。
① 家の周囲に要らない木材を放置していないか
シロアリの大好物は、湿気を含んだ木材です。家の周辺にシロアリの食料を置いてしまっては、自ら招き入れているようなものですよね。不要な木材や枯れ木は処分してしまいましょう。また、木の柵やラティス等もシロアリに狙われやすいものです。その場合は、防蟻剤を塗布しておくのがおすすめです。
また、床下もよく確認してみましょう。不要な建材等が放置されていませんか?こういったものも全て片づけて、シロアリにとって魅力のない家にしてしまいましょう。
② 家の風通しを良くする
シロアリは、暖かく湿度の高い環境を好みます。窓やドアは定期的に開け放って、空気を循環させて湿度を下げるようにしましょう。クローゼットや押し入れ、作り付けの戸棚も同じように風を通すようにしたいですね。
窓のない部屋には換気扇をつけることを検討するのも効果的ですが、扇風機やサーキュレーターを使うと簡単に空気の入れ替えができます。
湿気をためず風通しを良くすることで、シロアリが生息しにくい環境を作ることが重要です。
③ 植木は定期的に剪定する
植木が生い茂って地面まで日光が当たりづらい環境は、シロアリを引き寄せやすくなります。植木は定期的に剪定して、庭の草もこまめに抜いておくようにしましょう。シロアリはマツを好むことで知られています。盆栽や植木で人気の高い樹木ですが、植木ごと食い荒らされる場合もあるので、庭に植える際は環境に注意することをおすすめします。
■定期的なメンテナンスが効果的
業者によるシロアリ駆除は、巣を根こそぎ絶やせることがほとんどです。しかし、周辺のお家がシロアリの巣になっている場合、防蟻剤の効果が切れるとまた巣を作りに来てしまうことがあります。再度の被害を防ぐため、定期的なメンテナンスを行うことは非常に有効です。
メンテナンスのサイクルは状況によって1年~5年と異なりますが、防蟻剤の効果を目安にして定期的に調査をお願いすると良いでしょう。
業者によっては、駆除後の定期調査もプランに入っているところもあります。業者を選ぶ参考にしてみてくださいね。
まとめ
シロアリは、家全体の安全性や耐震性を大きく損ねる厄介な存在です。異変に気付いたら、先延ばしにせずにすぐに対策を取りましょう。また、毎日のちょっとしたひと手間でシロアリを寄せ付けない家づくりが出来ますので、今日からすぐに実行したいですね。