キッチンの掃除の中でもガスコンロの五徳はかなり面倒です。
五徳(ごとく)とは、ガスコンロや火鉢にあるヤカンや鍋などを置く台のことです。3本もしくは数本の金属でできた脚で、上に置くヤカンや鍋を支えます。火鉢に置くものは輪の状態のものに脚がついていましたが、現在の五徳は四角い枠から脚が出ているものもあります。
もう我が家の五徳は、何年もの焦げがこびりついてしまっているから綺麗にならないと、あきらめていないでしょうか。しかし、たとえ10年、20年と焦げがついてしまった五徳でも「重曹」で綺麗にすることができます。
ここでは、五徳の掃除方法についてご紹介していきます。
ガスコンロ「五徳」の掃除方法4ステップ
■1 五徳の素材の違いを知る
五徳は、大きく分けて「ホーロ製」か「ステンレス製」かに分かれます。
「ホーロ製」は昔からあるタイプで、黒い色をしています。熱に強いため何十年も持つので、大変丈夫なのが特徴です。市販のクレンザーや重曹などでお掃除ができます。
「ステンレス製」は、最近出てきたタイプです。色が黒ではなくシルバーだったら、ステンレス製の五徳です。黒のホーローよりも汚れが目立ってしまうため頻繁にお掃除が必要ですが、イオン系界面活性剤が入ったステンレス専用クリーナーでないと掃除ができません。
また、最近のステンレス製の五徳は、汚れないような特殊なコーティングがしてありますので、金属のタワシやブラシでゴシゴシと洗わないようにしてください。せっかくのコーティングが取れてしまいます。
今回は、多くの家庭で使われている黒い「ホーロー製」の五徳の掃除方法について見ていきましょう。
■2 五徳は重曹で煮て掃除する
五徳は「重曹」で煮て綺麗にするのが、一番手軽で早く済みます。強力な台所用洗剤もありますが、それよりも重曹で煮たほうが焦げつきがペロッと落ちるのです。実際に、掃除する手順を見て見ましょう。
(1)掃除前の五徳
掃除する前の五徳です。約20年ほど使用しています。クレンザーやナイロンタワシ、強力な洗剤などで一年に1度は洗ってきましたが、食べ物の焦げ付きなどが蓄積されて焦げだらけの状態です。
(2)鍋に五徳を入れたところ
鍋に五徳を入れます。アルミの鍋は”重曹がアルミを腐食させてしまう”ので、アルミ以外の鍋で煮洗いします。写真の場合はホーロー鍋です。
>底に傷を付けたくない場合はキッチンペーパーを下に敷きましょう。
(3)重曹で五徳を煮て掃除しているところ
汚れがひどくない場合は、1リットルの水に大さじ3杯程度の重曹で済みますが、この時は長年の汚れがひどかったので3リットルの水に、350グラムの重曹を使用しました。
※重曹の量は多いほど汚れが取れやすくなりますので、350〜500gを使うのがオススメです。
沸騰して10分も経過すると、写真のように汚れが浮き出て茶色くお湯が変わってきます。
■鍋が汚れてしまったら
五徳を煮洗いしたことでホーロー鍋の底が茶色く汚れてしまったので、クエン酸をふりかけて少量の水をかけると元通り白くなりました。重曹で落ちない汚れは、お酢やクエン酸といった酸性のもので洗うと落ちることが多いです。
(4)重曹の鍋から出した直後の五徳
沸騰してから10分後に出してみましたが、まだまだ焦げが取れなかったので、20分ほど煮た後に30分程度浸けたまま放置しました。鍋から出した直後の五徳なので、まだ右上の部分などに焦げがこびりついています。
(5)焦げ付きをプラスチック等で取った後の五徳
最後に残った焦げをこそぎとります。試してみるとわかりますが割り箸などで削るのは時間が掛かり高価も薄く想像以上に捗りませんので、ネットやホームセンターで購入できえるプラスチックのケレン棒「技・職人魂の親方棒」などを使うことをオススメします。
ケレン棒は使い捨てではなく繰り返し使用できる掃除用の棒です。コンロの汚れの他、換気扇のシロッコファン掃除、エアコンのフィン掃除など様々な用途に使用できますので1本あると便利です。
汚れ削ぎ取り 親方棒 1本
枠形の五徳は重曹で浸け置き
鍋に入らないくらい大きな五徳や、いくつもの五徳がくっついて枠になった五徳は、浴槽など広い場所でビニール袋に入れて重曹に浸け置きします。一晩浸け置いたほうがよく汚れが落ちるので、家族全員がお風呂に入り終わった後で作業を行います。
二重にしたビニール袋に五徳を入れ、多めの重曹を入れてお湯を入れます。浴槽では煮ることはできませんので、なるべく高温のお湯で重曹をとかしましょう。やけどしないように気をつけて、60度から80度のお湯に入れることができれば、五徳の焦げも落ちやすいです。
■3 しつこい五徳の焦げはカードでこすり取る
先程の実践写真にもありましたが、重曹に煮たり漬けてペロッと落ちる焦げもあれば、ふやけたけれどもまだ五徳くっついている焦げがあります。
まだ残った焦げを取るには先述のプラスチックのケレン棒や、いらなくなったポイントカード、使い捨てのプラスチックのスプーンなどでこすり取っていきましょう。軽い汚れであれば割り箸でも落ちますが、プラスチックのほうが硬いので汚れが早く落ちます。
金属タワシや金属のブラシを使いたくなってしまいますが、金属製のタワシやブラシは五徳に微細な傷をつけてしまいます。傷がついてしまうと、そこから汚れていきますので、金属製の掃除道具は使わないようにしましょう。
■4 五徳以外のガス台は洗剤で拭く
せっかくなのでガス台も綺麗にしましょう。ガス台の汚れは油汚れがほとんどなので、重曹スプレーなどアルカリ性の洗剤で落とせます。
五徳だけ綺麗になってもガス台の他の部分が汚いと、せっかく綺麗にしてもあまり目立たなくなってしまいます。ガス台の中でも五徳が一番汚れが落ちにくいので、他の部分は五徳に比べれば楽に掃除ができます。
焦げがひどい部分には、五徳と同じように重曹が効果的です。重曹に少量の水をまぜてペースト状にし、汚れが気になる部分に塗っておきましょう。乾きそうな時には水を足しながら、そのまま30分ほど放置します。
汚れがふやけた頃に、古くなった歯ブラシなどでみがいていきます。頑固な汚れには、プラスチックのカードやケレン棒を使いましょう。
ガス台がガラストップの場合は衝撃に弱いので、上から硬いものを落とすと割れてしまいます。また、傷つきやすいので、新しい洗剤や掃除道具を使用する時には、必ず端でテストしてから全体に使うようにしましょう。
五徳を掃除する時の注意
五徳は毎日、ガスの火に焼かれていてもびくともしない強さがあるので、雑に扱いがちです。しかし、洗う時には金属タワシや金属ブラシは、微細な部分に傷がついてしまいます。小さな傷がつくと、その部分に再び汚れがつきやすくなってしまうため、頻繁にお掃除をしなくてはいけなくなってしまうのです。
五徳の焦げ付きを落とす時には、金属製のタワシやブラシではなく、スポンジやプラスチック製のケレン棒、割り箸といった比較的柔らかい素材の道具を使うようにしましょう。
■ステンレス五徳のコーティングが取れて汚れが目立つ部分の掃除方法
ステンレス製の五徳は、製造する時に汚れないためのコーティングがしてあります。買ってしばらくはこのコーティング剤が効いていますので、濡れた布などで汚れを拭き取るだけで十分に綺麗になります。
しばらくしてステンレス製の五徳が汚れてきたら、ステンレス専用クリーナーで磨きましょう。金属製ブラシや金属製タワシで洗ってしまうと、ステンレスに細かい傷が無数についてしまって、そこが茶色く汚れてしまいます。
もしステンレスの五徳に傷ができて、その中に汚れが入って汚くなってしまったら、花王キッチンハイターなど、塩素系漂白剤を塗ることで茶色い汚れが白くなります。
五徳に着く汚れの種類
五徳の汚れは簡単に言うと
① 吹きこぼれなどで付着した食品
② 油と混ざって固まったホコリ
の2種類が有り、それらが混ざった物です。
①は鍋やヤカンで沸騰した時にでた煮汁などが五徳についてしまい、そのまま焦げてついてしまいます。食べ物なので焼ければ炭になってパラパラと落ちそうなものですが、吹きこぼれの中には粘着力の高いものや、油分を含んだものもあります。
そのため、ガスの火で燃えても五徳からポロッと落ちることは無いのです。
②は隣のコンロで調理している時の油汚れが飛んでき付着している事が多い汚れです。その油汚れにホコリが着くことで、汚れがどんどん大きくなって五徳にまとわりついてしまいます。
五徳を綺麗に保つコツ
重曹を足す時は、鍋のお湯が冷めてから
重曹で五徳を煮ても汚れが思ったよりも落ちないようであれば、重曹を更に足しましょう。重曹を多く使用したほうが、効き目も強力になるので早く汚れが落ちます。重曹は100円ショップで350〜500g入りでで売られています。長年の汚れが100円で落ちるのですから最初から1袋丸ごと使っても良いでしょう。
重曹を足す時には、必ず鍋の水が冷めてからにしましょう。熱い時に重曹を加えてしまうと、鍋がふきこぼれてしまうからです。
金属タワシや金属ブラシは使わない
五徳やガスコンロ周辺の汚れは、毎日さっと拭いておくだけで随分違ってきます。まとめてやろうと思うと、汚れも頑固になってしまいますので、1日の終わりにガスコンロ周辺を拭く習慣をつけましょう。
昔ながらのガス台は、汁受けと五徳を綺麗にしなくてはいけないので掃除も大変ですが、現在のコンロはガラストップなので汁受けがありません。新しいものほど汚れないような素材やコーティングがしてあり、掃除も楽になっています。
いよいよ五徳の汚れが落としきれなかったら、部品だけ買い換えるという方法もありますので、自宅のガスコンロメーカーのホームページで部品の値段をチェックしておきましょう。
■ステンレス製なら専用のステンレス磨きで五徳を掃除
ステンレス製の五徳は、専用のステンレス磨きでガス焼けや焦げ付きを取ります。各ガスコンロ会社では通販用のサイトがあり、専用のクリーナーを買うこともできます。
リンナイスタイル通販では、ピュアステンレス専用クリーナーを1本1,296円で販売しています。ガラストップクリーナーは918円です。リンナイスタイル通販は取り扱っている品目が多く、重曹やガス台が傷つかないスクレーパーなども販売されています。
クラブノーリツショップでは、ステンレス用のクリーナーは1本1,080円、ガラストップコンロ専用クリーナーは918円で販売しています。パロマプラス通販で販売されている専用クリーナーステンレス用は、チューブタイプになっていて1本1,296円です。ガラストップ専用クリーナーはコンパウンド式で1個1,296円となっています。
専用サイト以外でもステンレス専用のクリーナーは販売されていますので、お近くのドラッグストアも探してみてください。
五徳を買い換える方法
リンナイスタイル通販
リンナイスタイル通販のサイトでは、リンナイ製のキッチンの部品を1個から買うことができます。例えば、2口ガステーブル450-2FT-Lの五徳は、右のものも左のものも形は同じで、1つ1,080円になります。
グリル付2口ガスビルトインコンロの2ST-GC(RBG-20KS-B)の五徳は、形が枠になっており2,592円となっています。
リンナイスタイル通販のサイトは、写真を見て自宅と同じ五徳を探せるようになっています。ガス台同士は非常によく煮ていますので、間違って買わないようにしてください。
クラブノーリツショップ
クラブノーリツショップのサイトでは、ノーリツ製の部品を1個から買うことができます。例えば、75センチDP0139タイプガス台の五徳は、全面の枠タイプで10,800円となっています。枠ではない丸いタイプの五徳は、小バーナー用で972円、大バーナー用で1,512円です。
クラブノーリツショップは、最初に自分のガス台を写真と型番で探してから、各部品のページになります。五徳全体を購入する6個セット、4個セットというページと、単品のページがあるので注意してください。
パロマプラス通販
パロマプラス通販のサイトでも、パロマガスの部品を1個から買うことができます。例えば、IC-K310SB-1Rタイプのガス台の五徳は、972円となっています。IC-N30B-Lの五徳は756円です。パロマのサイトは型番がはっきりわかっていないと探せないので、自宅のガス台の正面や説明書を探して型番をメモしておきましょう。
まとめ
五徳には「ホーロー製」と「ステンレス製」があり、重曹で煮ることで汚れが落ちるのが黒い「ホーロー製」です。
シルバーの「ステンレス製」は、ステンレス専用クリーナーで掃除すると綺麗になります。
五徳を煮る時には、普通の汚れであれば1リットルの水に大さじ3杯ほどでも落ちますが、ひどい汚れの場合、煮ていて汚れが取れなければ水が冷めてから重曹を足しましょう。水が熱い時に重曹を入れてしまうと、吹きこぼれてしまうので大変危険ですので注意してください。
煮る時間は、沸騰してから10分ほどですが、あまり汚れが落ちないようであればさらに10分煮ます。そして、一晩そのまま放置してから翌日鍋から出すと、かなり焦げが取れやすくなっています。