海外では治安や水質の問題でなかなか普及しない温水洗浄便座ですが、日本ではきれい好きな国民性も手伝って、温水洗浄便座の普及率は約80%にまで達しています。今やウォシュレットは私たちの生活で欠かせないもののひとつと言うことができます。
ところでみなさんは、ウォシュレットのノズルの汚れをチェックしたことはありますか? 実はこのトイレのノズル、ちょっと見ないうちに尿石や黒ずみ汚れがこびりついている要注意な部分なんです!
トイレのノズルを掃除する5ステップを知り、いつでも気持ち良く使える温水洗浄便座を目指しましょう!
ウォシュレット掃除を放置すると起こること
トイレの汚れを放置しておくときっと酷いことになるんだろうと大体予測はつきますが、では具体的にどのような状態になってしまうのでしょうか。トイレの汚れを放置した行く末についてみていきましょう。
■1.どんどん頑固で落ちにくい汚れに…
トイレの汚れには3つの種類があります。これらの汚れはいずれも放置しておくとでどんどん頑固に、どんどん落ちにくくなっていきますので注意が必要です。
では、トイレ汚れには具体的にどのような汚れがあるのでしょうか。トイレ汚れの種類について紹介していきましょう。
① 尿石汚れ(黄ばみ汚れ)
尿石汚れとは、その名前に「石」がついているため想像に容易いかとは思いますが、トイレの天敵とも言えるとても頑固な汚れです。ちょうど歯ブラシで簡単に落とせない歯の歯石と同じように、尿石汚れも磨いただけでは簡単に落とせません。
体内から排出された尿には、身体から排出されたカルシウムが含まれており、空気や水の成分とくっついて石のように変化します。毎回トイレを流しているつもりでも、おもわぬところに飛び跳ねて付着した尿のしぶきが時間をかけて頑固な尿石汚れとなってしまうのです。
② 黒ずみ汚れ
主にトイレの水が溜まっている部分に見かけることのある、黒い線。これがトイレの黒ずみ汚れです。このトイレの黒ずみ汚れは、ホコリやカビなどの微生物が原因。水垢汚れと混じることでさらに落ちにくい頑固な汚れへと進化してしまいます。
また、トイレの黒ずみ汚れの原因には、もうひとつの可能性もあります。それは、「鉄分」。水道水には水道管が錆びることによって多くの鉄分が含まれていることがあり、鉄分が水垢汚れに混じって酸化し、黒ずみ汚れとなってしまいます。
③ 水垢汚れ
水垢汚れとは、水道水に含まれるミネラル分が乾いて固まったもの。水回り特有の汚れです。使用するたびに濡れたり乾いたりしているうちに、空気中の酸素や二酸化炭素がミネラル分と結合して頑固な水垢汚れへと変貌していきます。
トイレの中では蛇口の部分や手洗い器付きタンクの部分によくでき、色は白くてザラザラしています。長い間放置して白く固まってしまった頑固な水垢汚れは、こすってもこすってもなかなか落ちない厄介な汚れへと変化し、わたしたちを困らせるのです。
■2.臭いトイレへと大変身!
トイレの汚れを放置しておくと、ついにみなさんが知っている、あの手の行き届いていない公衆トイレのツーンとした、くさ~い臭いを放ち出します。
このくさ~い臭いの正体は、尿や尿石などに雑菌が繁殖したことが原因のアンモニア臭。放置しておくことで尿や尿石の成分が腐敗し、バクテリアが増殖、結果としてくさ~いトイレへと大変身してしまうのです。湿度の高い夏場や梅雨時期には特に要注意ですよ。
■3.ウォシュレットのノズルににカビが発生することも
① ウォシュレットのノズルって?
海外では治安や水質の問題でなかなか普及しない温水洗浄便座ですが、日本ではきれい好きな国民性も手伝って、約80パーセントのご家庭で「ウォシュレット」や「シャワートイレ」などの温水洗浄便座が使用されています。この温水洗浄便座で温水が出てくるところが、「ノズル」です。
実はこのノズル、ちょっと見ないうちに黒ずみ汚れが…なんていうこともある要注意な部分なんです!
② ノズルの汚れの正体
それではなぜトイレのノズルは汚れてしまうのでしょうか。ノズルの黒ずみ汚れの正体は、「水垢」と「カビ」。おしりを洗浄しているときに跳ね返った汚水がノズルに付着したり、立ち小便をしているときに跳ね返った汚水がノズルに付着したりするのが繰り返されて汚れが蓄積し、水垢が付着してカビが発生してしまうのです。
③ トイレのノズルはカビや大腸菌の温床!
トイレのノズルは掃除をしないとカビや大腸菌の温床です。なぜなら、温水タンク内の水温が36度~38度に保たれることで塩素が蒸発し、菌が繁殖しやすい環境を作り上げてしまうため。温水洗浄便座ならではの特徴が、カビや大腸菌などの有害な細菌の温床を作り上げてしまっているのですね。
④ デリケートな部分に当てると危険?
トイレのノズルにカビが発生すると聞いてぞっとした方も多いと思います。温水洗浄便座はデリケートな部分に当てて使用するものですから、不安になって当然です。
実は、温水洗浄便座が原因で病気になったという報告は現在ありません(安心しても良いかどうかは悩ましいところですが…)。しかし、ウォシュレットは本来、「きれいにしてくれるもの」ですよね。
「きれいにしてくれるもの」が汚れていると、いくら大丈夫と言われても、どうしても気になってしまいませんか?
ウォシュレットのノズル掃除手順5STEP
それでは早速、トイレのノズル掃除をするための手順をみていきましょう。トイレのノズル掃除は5つの手順で行います。
■STEP1.ノズルを出す
温水洗浄便座には、ノズルが出てくるタイプと出てこないタイプがあります。ご使用の温水洗浄便座が、ノズルが出てくるタイプでしたら、説明書で確認しながら正しい方法でノズルを出しましょう。「ノズルお掃除機能」が備わっている温水洗浄便座であれば、そのスイッチボタンを押せばOK。
もしご使用の温水洗浄便座が、ノズルが出てこないタイプでしたら、ノズルの先端部分にある突起を手前に引っ張り出してノズルを引き出します。このとき、ゴム手袋などを着用するのを忘れずに。
ノズルを引っ張り出しても中に引っ込んでしまう場合は、温水洗浄便座の洗浄ボタンを押し、ノズルが出てきた瞬間にコンセントを引っこ抜くことでノズルが出た状態で止めることができます。
■STEP2.水拭きする
柔らかい布を使ってノズルを水拭きしましょう。汚れが少ない場合はこの作業だけで十分きれいになるはずです。このとき、力を入れ過ぎてしまうとノズルが折れてしまいますので注意が必要。あくまでもやさしく拭きとりましょう。
歯ブラシは細部にまで届きやすく、ノズル掃除でも役立ちます。ただし、歯ブラシでゴシゴシこすってしまうとノズルに小さなキズがつき、そのキズに汚れが溜まりやすくなってしまい、逆効果。歯ブラシを利用してノズルの掃除をする場合は、ブラシの柔らかいものを選び、やさしくこするようにしてくださいね。
■STEP3.落ちない汚れは洗剤を使用
もし汚れがひどくて水拭きだけでは落ちないという場合は、洗剤を使用するのがおすすめ。洗剤は、市販されているノズル専用のクリーナーを使用するか、トイレ用中性洗剤を薄めて使用しましょう。ここでも汚れが落ちないからといって力の入れ過ぎは禁物。無理に引っ張ったり、回したりするのもNGです。
■STEP4.それでも落ちない頑固汚れには洗剤を塗布して放置!
洗剤を使っても落ちなかった汚れには、洗剤を塗布して「放置する」のが効果的。洗剤を汚れにしっかりと浸透させることで、落としやすくなります。10分程度放置しておくのが理想的ですが、10分経たないうちにノズルが戻ってしまう機種もありますので、設定を確認してから行いましょう。
■STEP5.ノズルを元に戻す
最後に、ノズルを元に戻してお掃除完了です。説明書を確認しながら正しい方法でノズルを収納してあげてくださいね。
ウォシュレット付きトイレのお手入れ方法
どんな場所の掃除でも、普段からきちんとお手入れしておくことで、お掃除が楽になります。もちろんトイレのノズル掃除も例に漏れません。普段からきちんとお手入れをし、お掃除のときの負担を減らしましょう。
■1.とにかく放置しない!
ノズル掃除の負担を減らすには、とにかく放置しないこが大切。どんな汚れでも、放置することでより頑固で落ちにくい汚れに進化してしまうのです。頑固な汚れになってしまう前に、こまめなケアを心がけましょう。
ただ、機能なしのものに比べれば綺麗を維持してるとは思いますので、まずは定期的に目視のチェックは行った方が良いでしょう。
お掃除機能付だから放置。これが一番危険です!
■2.トイレ掃除用のシートを利用してささっとお手入れ
普段から簡単・手軽にノズルをお掃除する方法としてあげられるのが、トイレ掃除用のシートを利用したお掃除。手軽なトイレ掃除用シートなら、ウォシュレット使用後や日常的な掃除のタイミングでささっとお手入れすることが可能です。
■3.1週間に1度程度のお掃除が理想
さて、では一体どのくらいのペースでノズルのお掃除をしておけば良いのでしょうか。2014年ライオンの調査では、ノズルのお掃除を日常的に行っているという方は温水洗浄便座保有者の約45%。つまり、約半数の方がノズルのお掃除を日常的には行わず、月に1度や半年に1度などの気合いを入れたお掃除のときにしか行っていないとの結果が出ています。
これではこまめにケアをしているとは言い難い状態です。
トイレのノズル掃除のペースは、「1週間に1度程度」が理想。このペースを守ることで、ノズルに頑固な汚れが付着してしまうのを防ぎ、いつでも清潔なノズルを保つことができますよ。
■4.「ノズル周辺」や「脱臭フィルター」のケアも忘れずに
ノズルのお掃除をするとき、「ノズル周辺」にも注意が必要。普段は収納されているノズルと比較すると、ノズル周辺の方が汚れの危険にさらされています。ノズル周辺は洗剤を含ませたトイレットペーパーやトイレ掃除用のシートを使用してささっと拭き取り、日頃からこまめにケアをするようにしておきましょう。
また、ウォシュレットには「脱臭フィルター」がついてる製品がほとんどです。
脱臭フィルターは取り外しができないタイプものと、エアコンのフィルターのように取り外しができるタイプのものがありますが、どちらにしても臭いや汚れが溜まりやすい部分なので、定期的にチェックして清潔に保ちましょう。
参考:TOTOウォシュレット脱臭フィルター
ウォシュレットの右奥にスイッチがあり、そのスイッチを押しながら便座を手前に引くとウォシュレットが外れますので裏から覗くと脱臭フィルターがついているのを確認できると思います。
取り付ける時もカチッと音がするまでしっかりはめましょう。
便座が元の位置に戻っていないとウォシュレットのセーフティが働いてどの動作も受け付けない状態になります。
トイレの着脱スイッチ。
ウォシュレットを外すことによって、隠れた汚れを掃除することができます。
写真提供:おそうじ本舗八王子南店 様
あると便利なお掃除グッズ
さて、日頃から心がけておきたいノズルのお掃除。ノズルのお掃除をするのにあると便利なお掃除グッズを紹介していきます。
■1.ノズル専用クリーナー
ノズル専用クリーナーがあれば、お手入れ楽チン。使い方も簡単で、ノズルを出して、ノズル専用クリーナーをシュッと吹きかけて数分放置するだけです。ノズルに塗布した洗浄液は、自動洗浄される機種がほとんど。ノズルに触れることなく簡単にお掃除を完了させることができちゃいますよ。
■2.中性洗剤
ノズル専用クリーナーじゃなくても、中性洗剤があれば大丈夫。ノズルは中性洗剤を使ってきれいにお掃除できます。ここで注意したいのは、酸性洗剤ではなく、中性洗剤を使用すること。
水垢や尿の汚れに効果的な酸性の洗剤を使用したくなりますが、温水洗浄便座の多くはプラスチック製です。酸性洗剤はプラスチックに使用することはできません。プラスチック部分が割れてしまい、怪我や感電、火災の原因となることがありますので注意が必要です。
ウォシュレットのノズルの表面は汚れがつきにくい加工がしてあります。 擦りすぎたり、その加工に対し悪影響の薬剤を使ってしまうと加工が剥がれ、以後汚れが付きやすくなってしまいます。
塩素系漂白剤であるカビ取り剤を使用する場合、サンポールなどの酸性洗剤と混ざらないよう注意が必要です。
■3.クエン酸スプレー
ノズルから出てくるお水はデリケートな部分に当てるものだから洗剤の成分が気になる…という方には、クエン酸スプレーを使用するのがおすすめです。
●クエン酸スプレーの作り方
水200ccに対して小さじ1/2のクエン酸を軽く混ぜ、スプレーボトルに入れて完成です。
クエン酸は汚れを落としてくれる以外にも、菌の繁殖を抑える効果があったり、消臭効果があったりと、トイレのノズル掃除以外でも大活躍。ナチュラルクリーニングでノズル掃除を行いたい方はぜひ利用してみてくださいね。
■4.ゴム手袋
巷ではトイレ掃除は素手で行う方が開運効果がある…なんて言われているようですが、これはやめておいた方が無難。手には自分でも気がつかない小さな傷できていることがあります。その上、トイレにはおびただしい数の雑菌やウイルスが存在しています。
トイレのノズルだけに限らず、トイレの掃除をするときは必ずゴム手袋を着用するようにしましょう。ゴム手袋の使いまわしが衛生面上気になる場合は、使い捨てのゴム手袋を使用すると良いですよ。
■5.綿棒や割り箸
トイレのノズルの収納口などの手の届かない細かな部分の汚れには、綿棒や割り箸を使用すると良いでしょう。綿棒や割り箸に布を巻き、洗剤を含ませて汚れを拭き取ることで隅々まできれいにすることができますよ。
まとめ
ノズルだけに限らず、トイレの汚れは放置すれば放置するほどお掃除が大変になってしまいます。あまりひどくなってしまった汚れは、専門の業者に依頼をしても良いかもしれませんね。日頃からできる小さなケアを心掛け、いつでもきれいな温水洗浄便座をゲットしましょう!