浴室の鏡についている水垢は、お風呂用洗剤で洗った位では全く歯が立ちません。洗った後、水垢が落ちたような気がしても、鏡が乾くと再び元のようなウロコ状の汚れが目立ってきてしまいます。
耐水性サンドペーパーや陶器用研磨パッドといった硬いもので磨けば水垢は削れますが、鏡まで削れてしまうので傷だらけになるので使えません。
水垢が落ちなくて困っていたら、酸性の洗剤を使ってみると水垢が溶けて掃除しやすくなります。
ここでは酸性の洗剤の選び方と、浴室の鏡を洗う時のコツをご紹介しましょう。
浴室の鏡が汚れる原因
浴槽の鏡が汚れる原因は、「水道水の中にあるミネラル分」と水やお湯で落としきれなかった「石鹸カス」、そして「皮脂汚れ」です。これらの原因がミックスされたものが(水垢)もしくは(湯垢)と呼ばれています。
厳密には、水の中のミネラル分の汚れだけなら(水垢)で、それに石鹸カスや皮脂汚れが加わったものを(湯垢)と言いますが、ここではどちらも(水垢)と呼ぶことにしましょう。
水垢は体に悪いのか?!
水垢は、水に含まれるカルシウムやマグネシウム、珪素(ケイソ)などのミネラル分でできています。水分が蒸発することによって、これらのミネラル成分だけが残り、鏡や浴槽に白い水垢の跡ができているのです。
これらのミネラル分は、市販のミネラルウォーターにも入っています。
例えば「ペリエ」には100ml中、カルシウムが15.5mg、マグネシウムが0.68mg含まれていますし、「クリスタルガイザー」には100ml中、カルシウムが0.64mg、マグネシウムが0.54mg、含まれています。
このように水垢は水道水だけでなく、市販のミネラルウォーターにも入っているもので身体にも良いものです。しかし浴室の鏡や浴槽に水滴跡として残ってしまうと、落ちにくく厄介な汚れになってしまいます。
水垢は地域によって差がある?!
浴室の鏡に水垢がつきやすいかどうかは、住んでいる地域によって差があります。関西方面より関東方面のほうが水垢ができやすいとよく言われていますが、土地の地形によって違うので一概には言えません。
山や川からの自然のミネラル分が多い地域は水垢ができやすく、ミネラル分が少ない地域は水垢はできにくくなっています。
自分の住んでいる都道府県の水道のミネラル分が知りたい時には、公益社団法人日本水道協会が発表している「水道水質データベース」を見ると数字が掲載されていますので見てみましょう。
例えば、愛知県や山形県、島根県、宮城県、広島県は平均硬度が29ml以下なので他の都道府県よりも水垢はできにくい状態です。逆に、沖縄県や千葉県、埼玉県、熊本県は平均硬度が70ml以上なので、他の都道府県よりも水垢はできやすい状態です。
硬水で水垢ができやすく、シャワーヘッドがよく目詰まりしたり、髪を洗ってもバサバサになったりする地域では、「軟水器」を設置する家庭もあります。
浴室にある鏡の水垢を落とす5ステップ
■1 酸性の洗剤を探す
水道水からできたミネラル分は「アルカリ性」なので、「酸性」の洗剤で落としていきます。「アルカリ性」の汚れに「アルカリ性」の洗剤を使っても、全く落ちないので注意してください。
酸性の洗剤と言えば、クエン酸やお酢、サンポールなどがよく知られており、アルカリ性の洗剤と言えば、重曹やマジックリン、塩素系漂白剤、カビキラーやハイターがよく使われています。
洗剤が酸性なのかアルカリ性なのかは、洗剤のボトルの説明書に書いてあります。酸性の洗剤とアルカリ性の洗剤をミックスして使用すると有毒なガスが出ますので、混ぜないよう注意してください。
家庭用品品質表示法では、pH(ペーハー)が3.0未満を「酸性」、3.0以上6.0未満を「弱酸性」、6.0以上8.0以下を「中性」、8.0以上11.0以下を「弱アルカリ性」、11.0以上を「アルカリ性」と呼んでいます。
クエン酸
鏡の水垢取りには、100円ショップで手軽に入手できる「クエン酸」を使ってみましょう。安いからといって洗剤として弱いわけではありません。
「クエン酸」はpHが2から3なので酸性洗剤の中では、かなり酸性度の高いものです。また、食用酢はpH2.5からpH3、レモンはpH2からpH2.5なので、これらの食品も水垢取りに使うことができます。しかし洗剤を使うよりも金額が高くなりますので、性能的にも値段的にもクエン酸が良いでしょう。
クエン酸スプレーは、水100mlに対しクエン酸は小さじ1杯から3杯入れます。濃度が濃いほうが、早く水垢を落とすことができます。鏡全体にたっぷりスプレーしたらキッチンで使用するラップを上からかけてクエン酸水が下に垂れてしまわないようにします。30分から数時間はそのまま放置してください。
ラップして30分経過したら一部分めくって、水垢が落ちるくらい柔らかくなったかどうか、こすってみましょう。まだ落ちないようなら、再び30分間放置します。水垢が柔らかくなってきたら、鏡を傷つけないように柔らかいスポンジでこすっていきます。
クエン酸スプレーは作り置きには適していませんので、作ったその日に使い切りましょう。
サンポール
家庭用洗剤の中で、一番酸性が強いのがトイレ用洗剤の「サンポール」です。清掃業のプロ用薬品であればサンポール以上に酸が強いものもありますが、一般では入手できない劇薬になります。サンポールはpHが1からpH2なので、クエン酸よりも強力です。浴室の鏡の水垢を落とすには、十分な酸性度ですね。
サンポールを鏡にふりかけたら、その上からキッチンラップで覆います。そしてクエン酸で掃除する時と同じ要領で30分から数時間放置してください。水垢は石のように硬いので、短時間では酸に溶けていきません。買い物に行く前や寝る前に、鏡に洗剤をふりかけておくと良いでしょう。
茂木和哉
社長が自分の名前を商品名にした洗剤「茂木和哉(もてぎかずや)」は、テレビでも取り上げられるなど頑固な水垢を落としてくれると評判です。洗剤「茂木和哉」は楽天市場でも120件以上、Amazonでも410件以上の口コミがある人気商品です。
成分は、「研磨剤」と「スルファミン酸」「グリコール系溶剤」です。水垢を落とす強力な酸性薬品「スルファミン酸」で水垢を溶かして、「研磨剤」でこすった時に水垢を削り落としてくれる仕組みになっています。
「スルファミン酸」が入っているので水垢の溶け具合は強力ですが、鏡によっては「研磨剤」で傷がついてしまいますので最初は目立たない所でテストしてから使ってください。
カルシュワ
茂木和哉のきれい研究所のプロ用ショップでは、「瞬間炭酸カルシウム溶かし液 カルシュワ」という水垢用洗剤が販売されています。業務用なので4リットル入りのみの販売ですが、清掃のプロの間では、お風呂場の水垢だけでなくトイレのしつこい尿石落としにも使われています。
カルシュワの中には、「メシル酸」「硝酸」「塩酸」という強力な酸性薬品が3種類ミックスされているので、手早く浴槽の鏡を綺麗にしてくれるのです。その分、酸性洗剤として刺激が大変に強いため、法人と個人事業主にしか販売できませんので注意してください。
赤鬼
カルシュワ同様に、茂木和哉のきれい研究所のプロ用ショップで販売されている、温泉用スケール洗浄剤です。温泉の頑固な水垢、湯垢もおとしてくれる位強力な洗剤なので、浴槽の鏡の水垢もスッキリ綺麗になります。
成分は、「塩酸」「リン酸」「クエン酸」「酸性フッ化アンモニウム」「非イオン界面活性剤」で、プロでも、マスクやゴーグルをして十分に換気を良くしてから使用する酸性洗剤です。非常に刺激が強いので、酸性薬品の扱い方がわかるプロだけに販売されています。
瞬間水垢クリーナー
瞬間水垢クリーナーも、茂木和哉のきれい研究所のプロ用ショップで販売されています。入っている成分は、「スルファミン酸」「リン酸」「クエン酸」「中性フッ化アンモニウム」「酸性フッ化アンモニウム」「両性界面活性剤」「防錆剤」です。
他の洗剤との違いは、水垢をよく落としてくれると注目の「スルファミン酸」です。「スルファミン酸」は、人工甘味料を作る時に使われている薬品で、酸性度が強いのが特徴です。
「瞬間水垢クリーナー」はプロ用洗剤なので一般用ではありませんが、「スルファミン酸」が入っている一般でも買える洗剤としては、アズマ工業の「お風呂掃除 アズマジック」や トーヤク株
式会社の「水あか取り」、ヤングビーナス薬品工業株式会社の「バスきらっと」などがあります。
■2 ラップやペーパーで浴室の鏡をパックする
酸性の洗剤を入手したら、使用する前に身支度をしましょう。
酸性のものは目に入るとしみますし、洗剤によっては皮膚にダメージを与えてしまいます。マスクとゴーグル、三角巾などで体を保護して、お風呂場の換気扇をつけてから洗剤を使うようにしてください。
もし鏡が外せるタイプであれば、外して横にしたほうが洗剤が水垢に馴染みやすく、掃除もしやすいです。外せないタイプだったり、長年の経年変化で壁から外しにくくなっていたら、無理に外す必要はありません。
洗剤をまんべんなく塗り、キッチンラップかキッチンペーパーで洗剤が蒸発しないようにパックします。乾燥させないように30分間放置しますが、時々様子を見て、乾いてきたら洗剤を追加してください。
放置する時間は水垢の付き具合によりますが、最低でも30分、頑固な水垢には一晩放置しても良いでしょう。
■3 歯ブラシやスポンジで浴室の鏡をこすり洗い
水垢が、こすって落ちる位に溶けてきたら、柔らかいスポンジで鏡を優しくこすり洗いします。ついつい水垢落としに気を取られて、強いスポンジでゴシゴシしたくなりますが、ダイヤモンドパッドや、メラミンスポンジは鏡の表面に細かい傷がつくので止めましょう。
クレンザーや硬いスポンジは、一瞬水垢が落ちて綺麗になったように見えますが、水垢と一緒に鏡も削っています。乾くと鏡が曇ったようになったり、水垢が次にたまるのが早くなったりしますので注意が必要です。
■4 浴室の鏡を水洗い
洗剤が鏡に残ってしまわないように、十分水やお湯をかけて鏡を水洗いします。壁から外した場合は、鏡の裏側を磨きすぎないようにしましょう。鏡の裏の塗料が削れると、鏡でなく透明なガラスになってしまったり、鏡の反射にムラが生じたりします。
浴室の鏡を洗う酸性の洗剤は、水垢を落としますがお風呂場や鏡に刺激を与えてしまい、素材を早くダメにします。洗剤が残ると、お風呂場の他の場所が傷んでしまいますので十分な水で洗い流してください。
■5 浴室の鏡の水滴を拭く
水垢を掃除することも大切ですが、水垢を作らないように予防することも大切です。水滴がかかったら、スクィージで水を拭ったり、ファイバークロスで拭いたりしましょう。家族皆で、毎日お風呂から出る時に、鏡の水滴をぬぐうようにしましょう。
浴室全体が湿っていると、どうしても鏡に水滴がついてしまいますので、お風呂場全体の乾燥も大切です。家族全員がお風呂から出たら、窓を開けたり換気扇を回したりしましょう。熱気を外に出して、鏡に水滴がつかないようにしてください。
↓動画でわかる!プロが教える「鏡のウロコ取り」も是非参考にしてください↓
浴室の鏡を綺麗に保つ方法
白くて硬い水垢ができてから鏡を掃除すると、落とすのに大変時間がかかってしまいます。ウロコ状の汚れがつかないうちに、毎週1回、鏡を洗う日を決めましょう。お風呂用の洗剤は中性なので、クエン酸など酸性の洗剤で洗ってください。
まとめ
今回は、お風呂の鏡のウロコ取りについて調べてみました。
酸性の洗剤で洗うことで水垢が取れるので、洗剤を選ぶ時は酸性度が強いものを選ぶようにしましょう。洗剤をつけて、すぐこすっても水垢は頑固なので落ちません。最低でも30分はラップでパックして放置してください。
フィルムを加工した鏡や、特殊なコーティングがしてある鏡は、洗剤をつけたり磨いたりすることで傷がついてしまう場合があります。浴槽の鏡の材質が何でできているか調べてから、洗剤やスポンジを使うようにしてください。説明書がもう無い場合でも、販売している会社のホームページをチェックすると材質がわかります。購入したメーカーもわからない時には、目立たない部分に洗剤をつけたり、こすったりしてテストしてください。
鏡のウロコ取り掃除をしても、どうしても風呂場の鏡が綺麗にならなかったら鏡を交換するのも1つの方法です。水垢を長年付着させていると、ガラスの成分である珪素(ケイソ)と水道水の中に入っている水垢の珪素が結合してしまい落ちなくなってしまうからです。そうならないように、定期的に浴室の鏡を酸性の洗剤で洗うようにしてください。