リビングやベッドルームの掃除と比べて、お風呂掃除は重労働です。水を使うし、腰を曲げる動作も多いし大変ですよね。特に冬の寒い時期は、早く終わらせないと風邪を引いてしまいます。
お風呂の洗剤を使っても、床の黒ずみや浴槽の白い水垢は簡単には落ちません。タイル目地の奥深くまで黒カビ菌が入り込み、スポンジでこすった程度ではびくともしないので、あきらめてしまいそうですよね。
お風呂の汚れが落ちないのは、いつも同じ掃除方法をしているからなんです。
酸性とアルカリ性の洗剤を的確に使い分けることで、汚れ落ちは格段に変わってきます。何でもかんでも強力な洗剤さえ振りかければ綺麗になる、というわけではありません。
汚れの「色」別に、最適な風呂床の掃除方法をご紹介します。
お風呂の床の汚れの原因
お風呂の床の汚れは、酸性とアルカリ性の汚れがあります。
石鹸カスや皮脂汚れは酸性の汚れなので、アルカリ性の洗剤で落とします。アルカリ性の洗剤は、重曹や緑色のマジックリン、塩素系漂白剤があります。酸性の汚れは酸性の洗剤では落ちません。
水垢はアルカリ性の汚れなので、酸性の洗剤で落とします。酸性の洗剤は、クエン酸やサンポールがあります。アルカリ性の汚れはアルカリ性の洗剤では落ちません。
お風呂用の洗剤は中性の製品が多く、手や素材には優しいのですが、汚れを落とすという面ではアルカリ性洗剤や酸性洗剤には及びません。毎日の掃除はお風呂用中性洗剤で、しっかり掃除したい時にはアルカリ性と酸性との洗剤でお掃除してください。
お風呂場の汚れには、水垢と石鹸カス、皮脂汚れがミックスされています。今週は酸性の洗剤で水垢落とし、来週はアルカリ性のの洗剤で皮脂汚れ落とし、といったお掃除計画を立てると良いでしょう。
お風呂の床の材質を確認!スポンジでみがいて大丈夫?
お掃除前にお風呂の素材を調べましょう。掃除方法によっては強い洗剤でコート剤が剥がれたり、傷がついてしまうこともあります。新しく建てたばかりのお風呂は、防水加工や汚れ防止コート剤が塗ってあるので、メラミンスポンジやダイヤモンドパッドで磨くと傷がついてしまいます。
床の素材にあったお掃除方法は、メーカーのホームページや使用説明書にかかれていますので、お掃除前にチェックしてください。
■樹脂床材 のお風呂の床
お風呂の床で最も一般的な素材が、樹脂床材です。各メーカーとも汚れにくい素材や、カビが発生しにくい素材を工夫しています。
お風呂に入った時に滑ってしまわないよう滑り止め加工をしている床素材は、汚れがたまりやすいのでこまめな床掃除が必要です。最適な掃除方法は、施工したメーカーのホームページで説明書をチェックしてください。
■カラリ床 のお風呂の床
TOTOが黒カビが出ないよう工夫したお風呂の床が「カラリ床」です。水が表面張力で水滴になると、長い間床に水が残ってカビの発生源となってしまいます。カラリ床は翌朝には乾くように、床の素材を改良しているのです。
さすがのカラリ床でも、上に汚れがつくと効果を発揮できません。柔らかい毛先のブラシで、表面の汚れをこすって取り除きましょう。浴室用クリームクレンザーや、浴室用中性洗剤を使ってお掃除できます。
■タイル床材 のお風呂の床
タイルは樹脂素材の床よりも施工時の価格は高くなりますが、デザインが豊富なのが魅力です。タイルが大判になればなるほど、掃除がしやすくなります。
タイルの表面は汚れが落ちやすいのですが、タイルとタイルの間の目地がカビやすいのが難点です。日頃から50度以上のお湯を1ヶ所につき5秒以上あてて、カビ予防につとめましょう。
■大理石 のお風呂の床
モース硬度という石の硬さの目安があります。0から10まであり、一番硬い10はダイヤモンドです。大理石はモース硬度3から4なので、モース硬度5のガラスよりも柔らかい素材です。
大理石は石だから硬いタワシでガシガシこすっても大丈夫だろうと考えがちですが、お掃除道具は柔らかいものを選びましょう。スチールたわしで磨くと傷をつけてしまいます。スチールたわしはモース硬度が6もあり、ガラスよりも硬いので大理石磨きには向いていませんので注意してください。
大理石はサンポールやクエン酸など、酸性の洗剤をつけると白く変色してしまいます。大理石独特のツヤも無くなってしまいますので注意してください。変色してしまった場合は、コンパウンドなどで削りながら磨くしか方法はありません。
■木製床材 のお風呂の床
檜風呂など木にこだわったお風呂では、床に木を使っています。大変高価なお風呂ですが、自然の木の香りでリラックス効果満点です。
木製床材はお風呂を施工した時に、防カビ加工や防水コーティングをしています。お風呂を設置してすぐは木から出る天然の成分や、コーティング剤が効いていますので、強い洗剤や硬いスチールたわしなどで洗うのは逆効果です。
黒カビを生やさないよう風通しを良くすることと、コーティングが剥がれたり、天然成分が無くなったりしないように、キッチンで使用するパームやシュロで作ったタワシで水洗いしてください。自然の繊維で作ったデッキブラシも、木との愛称抜群です。
お風呂の床掃除のコツ5つ
■1 お風呂の床の【黒ずんだ皮脂汚れ】を掃除する
お風呂の床の黒ずみの原因は、皮脂汚れや黒カビです。足の汚れが床に残ると黒カビのエサになります。お風呂の床は滑らないように凸凹しているので、細かい溝に汚れがたまりやすいのです。
浴槽の床掃除の定番洗剤は、重曹パックです。重曹を床全体にふりかけて、流れてしまわない程度の水をスプレーし、その上からラップをして長時間放置します。重曹スプレーだけでは濃度が薄く、黒ずみを分解するまでのパワーがありませんので、ペースト状になるくらい、たっぷりの重曹を床にふりかけましょう。
重曹の代わりに、緑色のマジックリンも汚れが落ちます。バスマジックリンは中性ですが、緑色のマジックリンはアルカリ性なので、皮脂汚れがよく落ちるのです。
意外なものだと、ラベルはがしスプレーを床にスプレーすると床の黒ずみが落ちます。ラベルはがしは、頑固な粘着力のあるシールも取れるので、汚れを取ってくれます。揮発性が高いものが多いので、ラップはせずに換気を良くしてから使用してください。
■2 お風呂の床の【白い水垢】を掃除する
お風呂の床が白く汚れていたら、それは石鹸カスか水垢です。まだ床にこびりついていない石鹸カスであれば、床をスポンジで水洗いするだけでとれますが、水垢と石鹸カスがミックスすると頑固な湯垢になってしまいます。
水垢は、水に含まれるカルシウムやマグネシウム、珪素(ケイソ)などのミネラル分でできています。水分が蒸発することによって、これらのミネラル成分だけが残り、鏡や浴槽に白い水垢の跡ができているのです。
水垢はアルカリ性の汚れなので、サンポールやクエン酸といった酸性の洗剤で落とします。サンポールはトイレ用洗剤ですが、一般用に販売されている酸性洗剤では酸性度がpH1からpH2と大変強力です。これ以上強い酸性洗剤になると、劇薬に近くなるため一般用洗剤では販売されていません。
クエン酸は酸性度がpH2から3で、サンポールよりは酸性度合いが低くなりますが、界面活性剤が入っていないので身体に優しい洗剤になります。
水垢は石のように硬くなっているので、酸性の洗剤をちょっとスプレーした程度では何も変化しません。時間が許す限り、数時間でも一晩でもラップでパックして、長時間放置して水垢を溶かしてからこすり洗いしましょう。
■3 【重曹クエン酸パック】で頑固なお風呂の床の汚れを掃除
汚れがひどい場所には、「重曹クエン酸パック」で時間をかけて放置しましょう。
重曹とクエン酸で作る炭酸パックは、毛穴の黒ずみを取ってくれる美容パックとして注目されていますが、お風呂場の床掃除にも応用できるんです。
重曹を水垢や黒ずみなど、汚れがひどい部分に撒きます。表面が真っ白になるほど多めに重曹を撒いたほうが、汚れ落ちは良くなります。
重曹を撒いた上から、クエン酸スプレーをします。シュワシュワと泡が出ている時に、キッチンラップでパックをしてください。重曹のアルカリと、クエン酸の酸のダブル洗浄で、頑固な汚れを分解します。
重曹が発泡している間が汚れを分解している時間なので、30分経過したらどの位汚れが落ちたかチェックしましょう。まだ汚れているようなら、全体を水で流して再び重曹クエン酸パックを行います。
■4 お風呂の床の【ピンク汚れ、赤カビ、黒カビ】を掃除
お風呂場で見るピンク色の汚れは、これから黒カビが生えますというサインです。
ピンク色の汚れは正式には「ロドトルラ・ルブラ」という名前の赤い色の酵母で、赤カビとも呼ばれています。バクテリアの分泌物によってピンク色になり、そのままにしておくと黒カビが発生します。ロドトルラの段階であれば、スポンジでの水洗いや重曹スプレーで簡単に取れますので、お風呂場で見つけた時に見つけた人が掃除するようにしてください。
黒カビは菌を殺すだけなら、50度以上のお湯でできます。カビが生えている床に50度のお湯であれば1カ所につき90秒、60度のお湯であれば一瞬でカビ菌が消滅してくれます。お湯を使う時は火傷しないように気をつけて使いましょう。
黒カビ菌は死滅しても、黒い色は残ってしまいますので、色を白くするために塩素系漂白剤やカビ取り剤を使います。塩素系漂白剤やカビ取り剤もカビ菌を退治してくれますが、お湯で菌を死滅させてから使ったほうが薬品の使用量が少なくて済みます。
■5 お風呂の床の【黄ばみ】はオキシクリーンで!
白いプラスチック樹脂でできた床は、樹脂の化学変化で黄ばんでくることがあります。オキシクリーンなど酸素系漂白剤をつけて、日光に当てるかブラックライトを当てると黄ばみが取れます。この方法は持ち運びできるプラスチック製品であれば日光に当てることも可能ですが、お風呂の床には実用的ではありませんよね。
お風呂掃除の専門家は、過酸化水素水と漂白活性化剤でプラスチックの黄ばみを落とします。これらの薬品は劇薬のため、一般用には販売されていません。そのため、白いお風呂の床が黄ばんできてしまったら、専門家に掃除を依頼しましょう。
お風呂の床を洗うグッズ4選
お風呂の床の素材によっては、硬いプラスチック素材でできたブラシや、メラミンスポンジ、クレンザーなどで掃除すると傷がつく場合があります。また、大理石が酸に弱いといったように、洗剤によっては素材にダメージを与えるものがあるので、目立たない部分でテストしてから全体を掃除してください。
■①キッチン用ラップ
お風呂の床掃除でも、キッチンラップが活躍します。
洗剤は床にスプレーした直後よりも、少し時間が経ってからこすったほうが効果的です。時間が経てば経つほど、汚れを分解して床から浮かせてくれるので、水垢のように硬い汚れの場合は30分以上は放置したいですね。
洗剤が床素材に染み込んで色がついてしまったり、性質が変化してしまう危険性が無ければ、洗剤をかけて一晩放置しておくと汚れが浮いて掃除が簡単になりますよ。
■②キッチンペーパー
キッチンペーパーは吸水力があるので、洗剤を長時間留めておきたい掃除で活躍してくれます。
キッチンラップでパックするだけでは洗剤の量が十分では無い時に、洗剤をスプレーして、その上にキッチンペーパーを敷き、再び洗剤をスプレーしてからラップでパックしてみましょう。
キッチンペーパーだけでなく、ティッシュペーパーに洗剤を含ませて放置しておくのも同じ効果がありますが、ティッシュペーパーは水に触れると破れやすいので後片付けが大変になります。破れにくく作ってあるキッチンペーパーのほうが使いやすいですよ。
■③マイクロファイバークロス
マイクロファイバークロスは洗剤を使わなくても、水拭きだけでも浴室の床を綺麗にしてくれます。しばらく使っていると細かい繊維が抜けていくので、汚れ落ちが悪くなります。ネット通販やホームセンターで安いマイクロファイバークロスが販売されているので、汚れたら捨てる感覚で使いましょう。
■④マスク、ゴーグル、手袋など自分を保護するグッズ
お風呂掃除は、カビ取りの塩素系漂白剤や、水垢取りの酸性洗剤を使います。塩素系漂白剤は強いアルカリ性を、酸性洗剤は強い酸でできていますので、吸い込んでしまったり、目に入ったりしないようマスク、ゴーグル、手袋を着用しましょう。
お風呂掃除は水場なので薄着でお掃除したくなりますが、肌に刺激の強い洗剤がつくと荒れてしまいます。夏場でもめんどくさがらず、肌を露出しない服装でお掃除してください。
カビを取る塩素系漂白剤は、服の色まで白く漂白してしまいますので、お掃除の時に着る服は色が取れても良いものにしましょう。
お風呂掃除の床掃除の頻度は?
お風呂の床掃除は、毎日している人と週に1回している人が多く見られます。
毎日のお風呂の床の掃除は、お風呂から出る前に石鹸の泡をしっかり流している人が多いです。洗剤を使うのではなく、身体を洗った石鹸カスを残り湯で流すことで、汚れが床につくのを防ぐことができるのです。
週に1回のお掃除は、お風呂から出る時に洗剤をスプレーして、さっとスポンジや柄付きブラシでお風呂の床を綺麗にしている人が多いようです。お風呂から出る時であれば、身体に洗剤がかかってしまっても洗い流せるので簡単ですよね。
お風呂の掃除を業者にたのむ場合の金額相場の比較一覧表
お風呂の床掃除を業者に頼む時には、床をどの程度掃除してくれるか前もって打合せをしておきましょう。壁や天井は掃除をしても、床までは掃除してくれない業者もありますので、事前の話し合いが大切です。
また、プロならではの徹底的な掃除をしてくれるのか、ハウスクリーニングで家族が忙しい時に代理で掃除をしてくれる程度の仕上がりなのかも聞いておく必要があります。
忽滑谷邦忠 | 小瀬 大志 | 佐々木 猛 | |
---|---|---|---|
1ヶ所の金額 | 8,300円 | 18,000円 | 25,000円 |
カビ防止コート | なし | 2,800円追加 | 4,000円追加 |
鏡コーティング | なし | 2,500円追加 | 4,000円追加 |
作業時間目安 | 120分 | 240分 | 120分 |
ハウスクリーニング士の資格 | なし | なし | 有り |
天然エコ洗剤 | なし | 相談 | 使用 |
エプロン内高圧洗浄 | なし | 3,500円追加 | なし |
照明掃除 | 簡易清掃 | 簡易清掃 | ○ |
換気扇掃除 | 簡易清掃 | 簡易清掃 | ○ |
エプロン掃除 | ○ | ○ | ○ |
カビ取り | 簡易清掃 | 簡易清掃 | ○ |
鏡のウロコ取り | ○ | ○ | ○ |
浴槽洗浄 | ○ | ○ | ○ |
駐車場代 | お客様負担 | お客様負担 | お客様負担 |
地域 |
埼玉 東京 |
千葉 東京 神奈川 |
埼玉 千葉 東京 神奈川 |
写真提供:おそうじ本舗 八王子南店 様
プロのタイル汚れ掃除(Before)
写真提供:おそうじ本舗 八王子南店 様
プロのタイル汚れ掃除(After)
まとめ
お風呂の床は、酸性の汚れはアルカリ性の洗剤で、アルカリ性の汚れは酸性の洗剤で掃除すると良く落ちることがわかりました。お風呂用洗剤は中性なので、アルカリ性の重曹や酸性のクエン酸を100円ショップで購入しましょう。
黒ずみや黒カビ、赤いカビは重曹や塩素系漂白剤で、白い水垢はクエン酸やサンポールで落ちます。黄ばみは酸素系漂白剤と日光もしくはブラックライトで改善されますが、掃除のプロに強い薬品で掃除してもらったほうがしっかり綺麗になります。
酸性の薬品とアルカリ性の薬品を使う時は、同時に使わないようにしましょう。重曹とクエン酸のように弱い薬品であれば、発泡を汚れ落としに使えますが、塩素系漂白剤のように強い洗剤と酸をまぜると悪性のガスが発生するのです。
お風呂の床の素材は、踏んだ時に滑らないようにすべり止め加工がしてあるものもあります。掃除方法によってはコーティング加工がとれてしまうこともありますので、強い薬品や硬いスポンジやブラシを使う時には、目立たない隅の方でテストしてから全体に使ってください。