多い方は毎週、少ない方でも1年に1度以上は、ご先祖さまの供養でお墓参りを行うと思います。さて、そんなお墓参りをする度に、墓石の汚れが気になる方もいるかもしれません。
「墓石は雨でキレイになるだろう」と思っていたものの、所々コケが生え老朽感を感じると、心の底からご先祖さまを供養しきれません。ここでは、墓石の掃除の仕方について、さまざまな角度からご紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
墓石汚れの原因
墓石をキレイな状態に保つためには、予防したり、汚れを落としたり、さまざまなアプローチが必要です。しかし、そもそもなんで墓石が汚れてしまうのか、という要因を知っておかないと掃除の仕方が理解できないかもしれません。
墓石には、大きく分けて二つの汚れがあります。まずひとつは、日々のたまっていく汚れによるものです。ホコリはもちろんですが、湿気りやすい墓石は苔やカビなどが発生しやすいと考えられます。さらに、花粉や塵、鳥のフンなど、これら汚れが日々蓄積していきます。
雨ざらし…というと、言い方がよくありませんが、空気中にはさまざまな汚れが含まれており、雨が振って洗い流されたと思いきや、その汚れだけが乾燥後、残ってしまうのです。
また、墓石は天然石材が原料となっているため、排気ガスや酸性雨などが日々墓石全体にダメージを与えていき、削れていったり、結果的に苔やカビなどが付着します。その雰囲気が良いという方もいますが、キレイな状態を保ちたい、という方であれば定期的なメンテナンスは必ず必要です。
では、早速そんな黒ずみやシミ、虹ヤケなど、さまざまな汚れの落とし方を紹介していきます。
墓石の掃除の仕方4つ
ここからは、墓石の掃除の仕方を4つ紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
■①重曹で墓石を掃除する
その洗浄力の高さと汎用性で話題の重曹。墓石の汚れを除去するのにも使える便利なアイテムです。重曹は、炭酸水素ナトリウムですのでアルカリ性。墓石の酸性の汚れは、アルカリ性の重曹が中和するというカタチで落とすことができます。
まず、重曹を水、またはぬるま湯で溶かします。墓石に使用する場合、重曹はキッチンに使用したりするよりやや濃いめでブレンドしてもいいでしょう。水分で薄めた重曹水を、100円均一などで売っているスプレーに詰めて完成です。
タオルと歯ブラシ、軍手、ゴム手袋などを用意して墓地に向かいましょう。
重曹水を墓石の汚れているところに吹きかけ、少々時間を起きます。汚れが浮き出してきた頃を見計らい、スポンジでしっかりと擦っていきます。もちろん、傷つけないように力は加減しなければいけません。
墓石の汚れは隙間、細かな部分に入り込みやすいため、こういったところは歯ブラシを使用するとキレイに汚れを除去することができます。
ある程度、全体的に汚れが落ちたことを確認したら、きれいな水で全体を洗い流しましょう。その後、タオルでしっかりと拭き取れば完了です。掃除用か薬用の重曹を利用するのが基本ですが、重曹は研磨作用があるため、墓石が傷つかなように注意して選びましょう。
■②高圧洗浄機で墓石を掃除する
墓石の汚れは、細かな部分にまで入り込んでしまうことがあります。雨風により、隙間にホコリなどが入り込んでしまい、さらにカビやシミになりやすいため、簡単には汚れを除去できないことがあります。
そんな時、高圧洗浄機を使うと墓石の汚れをキレイに落とすことができるので便利です。研磨作用のある洗浄剤を使うわけでもなく、高圧洗浄機は水圧で汚れを飛ばすものですので、墓石を傷つけずに細かなところまでキレイに掃除することができるので便利です。
墓石には黒ずみがつきやすく、さらにこびりつくと人間の力ではなかなか除去しにくくなります。また、お墓というと苔が出てしまうイメージがありますが、雨ざらしですので、こういった現象は避けることはできません。
また、墓石に刻まれている名前の部分などは特に汚れが溜まりやすく、除去しにくい状態になっています。だからこそ、高圧洗浄機のような水圧で汚れを飛ばすような器具を利用することが、最も早く掃除することができる方法と考えることができるのです。
高圧洗浄機は、家庭用と業務用がありますが、墓石掃除は家庭用で十分です。電気、またはガソリンを動力としているものが多いですが、墓地に電源があることは期待しにくいため、できるだけ充電式の高圧洗浄機を用意することにしましょう。
また、水を原料として発射することから、お寺の水をしっかりとストックしておくか、ご自宅から小さなタンクで持ってくることをおすすめします。
都度、水道のある場所を往復すると大変です。水圧で水が飛び散るため、周囲の人に迷惑がかからないこと、あまり迷惑にならない音量の高圧洗浄機を使うなど、キレイにはしやすいですが気を使うべき部分が多少あるので、注意しておきましょう。
■③メラミンスポンジで墓石を掃除する
墓石にこびりついた黒ずみ、苔、カビなどの汚れは軽いものであれば簡単に落とせますが、時間が経ってしまうとかなり強固なものとなってしまい、落としにくくなってしまいます。一般的なスポンジではなく、メラニンスポンジを利用すると良いでしょう。
硬い樹脂であるメラニンでできているスポンジであり、編み目状になっているので、この部分で汚れをかき出すように掃除することができます。
墓石は水をかけたり、雨が降ったりと、とりわけ水垢が溜まりやすい状況です。メラニンスポンジは、柔らかく、汚れも取りやすいスポンジのため、こういった水垢を除去するのには最適な道具と考えられるでしょう。
たわしなどでも効果はあるのですが、やはり墓石を傷つけてしまうリスクもあり、効果的とは言えません。一般的なメラニンスポンジであれば、安心して墓石掃除に利用することができるでしょう。ただし、研磨剤が入った洗剤を使ったり、特殊コーティングが施された部位にメラニンスポンジを利用するのは注意です。
墓石の中には、特殊コーティングされているものもあるため、どこでも無意識に利用する、ということだけは避けましょう。
■④たわしで墓石を掃除する
たわしで墓石を掃除する、というのは多くの方が行っている方法かもしれません。墓石についてしまった汚れは、柔らかなスポンジでは落ちにくいこともあり、たわしのような素材で削ることで除去したいと思う方は多いはずです。
ただし、注意したいのがたわしの硬さです。当然、墓石は天然石を使用しているので、傷つきやすい状態です。さらに、たわしでゴシゴシしても取れない汚れもありますし、傷がつくことでその場所に汚れが入り込みやすくなるので注意が必要です。
特に、数十年経った後の墓石の場合、汚れが目立つため強く削れば落ちるだろう、と力を入れてしまう方も少なくありません。建立後15年以上経った墓石に関して、酷い汚れがついていたら、たわしではない方法を検討する必要があるでしょう。
仮にたわしを使うのであれば、研磨作用のない洗剤などを使って優しくこすること。また、墓石用のたわしが販売されているので、専門のアイテムを利用して掃除した方が賢明でしょう。ぜひ、覚えておいてください。
墓石についたコケの取り方
前述した通り、墓石は雨ざらしになっていることが多く、コケがつきやすい状態にあります。このコケを取り除いてピカピカにしたい、と思っている方はしっかりと手順を守って除去していく必要があります。
「コケの雰囲気が好きだ」という方もいます。個人のお好みですので掃除するもしないも自由なのですが、コケは墓石の隙間に入り込んでしまうため、長年そのままにしておくと墓石が痛んでしまうことは覚えておきましょう。
さて、コケの掃除方法にうつります。まず、用意するのは軍手と墓石用洗剤、そして歯ブラシです。歯ブラシは、あまり硬過ぎない中程度のものを使いましょう。
手順としては、まず墓石についてしまったコケを軍手で取り除いていきます。手を汚したくない方は二重にしても良いでしょう。ある程度、手で取れてしまう状態のコケであれば、気にせずに手でとってしまった方が後々ラクチンです。
手で取れるコケの除去が終わったら、次に行うのは歯ブラシを使っての除去です。隙間や細かいところなど、水で濡らした歯ブラシで墓石を傷つけないように擦っていきます。この時点では、まだ無理に全体のコケを削ぎ落とす必要はありません。
あくまで、細かなところを除去するだけ、と覚えておきましょう。そして、最後に墓石用洗剤の登場です。やわらかく、研磨剤の入っていないスポンジなどに墓石用洗剤を染み込ませ、全体をキレイに拭いていきます。
数年に一度、となると高圧洗浄機などが必要になってくるかもしれませんが、定期的な除去であればこの方法で十分コケを落とすことができます。ぜひ、実践してみましょう。
墓石の文字の溝の掃除方法
墓石の掃除でもっとも面倒なのが、お名前が掘ってある文字の溝の掃除です。墓石にもよりますが、多くはしっかりと深い溝で掘られていることから、この部分には汚れやコケ、黒ずみなどが発生しやすいと考えられます。
まず、用意するのは使い古した歯ブラシです。新品でも良いですが、人間には使えなさそうな、毛先が跳ね上がっているものはキレイに汚れをかきだしやすいので便利です。わざわざ新品を用意するのではなく、自宅に使わない、使い古しの歯ブラシがあったら毛先をキレイにして、そちらを利用してみてください。
また、爪楊枝も案外活躍します。墓石に掘られている文字の溝部分には、クモの巣や細かな汚れのかたまり、コケなどがあります。これを指で取ったり歯ブラシの毛先で取ると大変。そんな時、爪楊枝の先部分を上手に使って丸めるように除去してしまえば、あっという間にキレイになるので大変便利でしょう。
では、早速墓石の掃除をしていきます。まず、軽くホコリなどの汚れを取るため、歯ブラシ、爪楊枝を使って一文字ずつ掃除をしていきましょう。
次に、墓石用洗剤や重曹スプレーなどを使います。そのまま、豪快に墓石の溝部分に当ててしまってもいいのですが、跳ね返りなどがあるため、タオルを使って跳ね返りを避けた方が快適でしょう。
最後に、しっかりと水分を残さず拭き取ればOK。面倒なイメージの墓石の文字の溝の掃除も、コツさえ掴めばあっという間にできるのでチャレンジしてみてください。
墓石掃除をアルバイトに委託する時の金額相場
墓石を掃除したいが、どうしても予定が合わない。そんな方もいるでしょう。また、体調が悪かったり、なかなか掃除する気力がおきないという方も。そんな時、墓石掃除を代行してくれるアルバイト委託ができるので利用してみても良いでしょう。
しかし、一体墓石掃除の代行はどのくらいの費用がかかるのでしょうか。簡単に相場をチェックしてみました。まず、墓石掃除の代行を行っているチェーン業者の相場ですが、1回の単発であれば8,000円前後の価格で行ってくれるようです。
ただ、その規模によって3万円以上する場合もあるため、どの程度の坪数の墓地か、ということを相談しておくことが必要でしょう。また、墓石掃除のアルバイトは、その交通費の実費を求められます。
当然、東京都内の業者に離島にある墓石掃除を頼み、交通費用はあちら負担…となれば、赤字になってしまいます。できるだけ安く、墓石掃除の代行をアルバイトに頼みたいのであれば、墓地に近いところにある代行業者を利用するにこしたことはない、ということです。
さて、墓石掃除のアルバイトは、1年に1回の単発だけでなく、数回行ってくれる年間サービスもあります。2回、3回と行ってくれるので、いつお墓参りにいっても気分良く、先祖供養を行うことができます。
大体、1回1万円程度だとして、年間契約の場合は2万円〜という相場になっているようです。一般的な掃除代行の場合、合掌してくれたり、写真を送ってきてくれたり、細かなサービスが行き届いています。
どうしてもご自分で墓石掃除は難しい、という方は代行でアルバイトに頼んでも良いかもしれません。
まとめ
ここでは、墓石掃除についてさまざまな角度からお伝えしてきました。墓石は、一家の大切な宝物です。雨ざらしになっていることから、汚れやすく、手入をしているご家庭とそうでないご家庭の差も見た目でわかってしまいます。
いつまでも墓石をきれにしていおくことも、ご先祖さまの供養に繋がります。ぜひ、定期的なお掃除を行いましょう。