高級感漂う本革のソファー。いつかは手に入れたい憧れの存在だったという方も多いはずです。(夢を叶えられた皆様おめでとうございます)さて、そんな夢の本革ソファーを手に入れた後、しっかりと手入れされておりますか?
「本革は丈夫だしその劣化も味わい…」という考え方も素敵ですが、『大切にエージングされていく革のソファ』と『ただただ朽ちていく革のソファ』では大きく違います。また革は大切に育てれば長く使用できる製品です。革ソファのポテンシャルを考えるのであれば、手入れをし大切にエージングを重ねなければ、ボロボロになっていくでしょう。
ここでは、革ソファーの手入れ方法について紹介します。カビも取れてしまう、そんなテクニックもお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
革のソファーが汚れる原因4つ
さて、そもそも革のソファが汚れてしまう理由とは何なのでしょうか。ソファを手入れする際、知っておくと役に立つので覚えておきましょう。
■① ほこり
まず、革ソファが汚れてしまう第一の原因は『ほこり』です。どんなにキレイにしていても、人間が住んでいる場所でほこりが立たないことはありません。そのため『本来であれば毎日革ソファを乾いた柔らかい布で乾拭きしてあげること』が重要になってきます。ほこりは目に見えるところはもちろん隙間にたまりやすく、また湿気を保持してしまいます。放置しておけばカビの発生にも繋がってしまいます。
特に、ヒダがあるデザインのものや、分解式になっているものなど、隙間が多いソファーは用注意。毎日の掃除というのは大変かもしれませんが、できるだけ気がついた時にほこりを除去することをおすすめします。
また面倒に思える毎日の乾拭きは『嬉しい特典付き』です。本革製品は長年の摩耗によって美しい光沢をまといます。革の種類により最終的な輝きは異なりますが、どのような表情に成長するかは革製品を所有する一つの大きな楽しみです。
■② 皮膚
「よっこらしょ…」と、本革のソファに腰掛けるのは気分がいいものです。ご自身はもちろん、お子さまが座る事もあるでしょう。しかし、ここで注意したいのが人間の皮膚です。当然ですが、どこかしら革表面に皮膚が触れており、その摩擦や皮脂などで革がダメージを受けるのです。
人間の皮膚からは、前述したような汗はもちろん、皮脂、さらには何かを触った汚れなどが多く付着しています。お子さまであれば、ポテトチップスを触った後や、屋外で何か触ってきた後にソファに座って遊ぶこともあるでしょう。
そういったことを繰り返していると、徐々にソファの表面が変色していったり、乾燥しやすくなってしまうのです。皮膚を触れない、ということは不可能なため、メンテナンスが必要になってくるわけです。
■③ 汗
先ほどお伝えした『汗による劣化』について、またその汚れの要因について考えましょう。汗や皮脂
など『私たち人間の皮膚から放出される体液』がソファについてしまうと、その箇所の革の表面の保護膜が徐々に溶けていってしまいます。
人間の汗には二種類ありますが、あまり臭くない一般的なニオイの汗は弱酸性です。弱酸性とはいえ、多少酸性に傾いているため、そういった汗が長きに渡ってソファの保護膜にダメージを与えていれば、結果的に劣化して汚れてしまうわけです。
もちろん、革のソファによっては色シミなども発生することがあります。特に夏場、常に冷房をかけているわけではないご家庭の場合、蒸し暑い状態でソファに座っていると、一夏で汚れてしまう可能性があるので注意しましょう。
■④ 食べ物などの汚れ
シンプルな理由ですが、食べ物などの汚れは革を汚してしまいます。革以外の素材、例えばフェイクファーなどの場合、汚れにくい加工が施されていたり、素材自体にシミがつかないようになっていたり、食べ物の汚れに関してあまり気にしなくて良いものもあります。
しかし、本革の場合、保護膜などの加工が施されていたとしても、やはり食べ物の汚れが付着すると奥に染み込んでいってしまい、最終的に落とすことができない汚れとなってしまう可能性があるのです。
ジュースや赤ワイン、油を含んだラーメンの汁など、これらが付着したままで放置してしまうと、どうしてもシミとなり、時間が経つほど取れなくなってしまいます。さらに、ポテトチップスなどの油分がある食事を放置したり、隙間にこぼしてしまった場合など、これを放置しておくと別の問題にも発展してしまいます。仮に食べ物をこぼしてしまったら、即時対処をすることをオススメします。
革のソファーの手入れ方法5ステップ
ここからは、実際に革のソファの手入れ方法を順を追って説明していきます。ぜひ、覚えておきましょう。
■① 掃除機でソファーのゴミや汚れを取る
ソファの手入れを行う場合、まずはソファにたまっているホコリやチリなどを掃除するところから始めましょう。弱粘性のコロコロなど、ホコリや髪の毛を絡め取るようなものもOKですが、万遍なく掃除するには数量が必要ですし、場合によっては革表面を傷つけてしまうので、できれば掃除機がおすすめです。
ソファのほこりやゴミを取る際には、見える部分だけではなく、隙間などの掃除をするように心掛けます。分解することができるソファの方は、それらを面倒かもしれませんが一度全てバラバラにして、隅々までしっかりと掃除機をかけましょう。前述していますが、ホコリをはじめ、食べ物のカスなどはダニなどの餌になりやすく、放置していることで、家中にダニが発生しまう要因となることがあります。
分解したソファのパーツの隅々まで、しっかりと掃除機をかけましょう。この時、注意したいのがブラシ付のアタッチメントを使うということ。そのまま掃除機のヘッドを使ってしまうと、ソファの材質によっては傷んでしまうため、注意しなければいけません。
アタッチメントが無い場合はまず、柔らかなブラシなどを使ってほこりをかきだし、一箇所に集めて掃除機で吸い込むという方法で大丈夫です。月に1回、できれば2回程度を目安に行ってください。特に夏場は月に2回行いたい所です。
■② 濡れタオルでソファーを拭く
汚れを掃除機で吸い取ったら、次は全体をしっかりと拭いていく作業です。見た目にあまり変わらないと思っていても、私たち人間の皮脂などで結構革ソファは汚れています。
おすすめは、タオルを濡らししっかりとかた絞りし、それを使って全体を拭いていく方法です。それだけでも、十分に汚れを落とすことはできるのですが、より徹底して手入れしたい方は中性洗剤を薄めて、それに浸けて絞ったタオルを使うのもOKです。
できれば、ぬるま湯に中性洗剤を溶かし、それをタオルにしっかりと染み込ませてください。冷たい水よりも、汚れを落としやすくなります。拭き方ですが、叩くようにすると汚れが浮き出してくるので分かりやすいでしょう。表面にうっすら水気が残るようであれば、乾いた布で必ず乾拭きしましょう。革は水が大変苦手です。
■③ 革用レザークリーナーでソファーの汚れを落とす
革製品には、レザークリーナーという専用のクリーナーがあります。ソファだけでなく、さまざまな革製品に応用することができますが、これを使うことでしっかりと汚れを落とすことができます。ただし、革の種類によっては利用できるるものと、そうでないものがあるので事前に必ず確認しておきましょう。
使い方はとても簡単でスポンジに革用レザークリーナーをつけて、たっぷり泡立てて汚れた場所を直接拭きましょう。イメージとしては、顔を洗っている時のように、くるくると円をかくように行うとベスト。力を入れすぎると、逆にシミなどの原因になってしまうため、あくまで優しく、しかししっかりと…が基本です。
もし、どうしても自宅の革ソファの種類が分からないようだったら、専門店などのスタッフに聞いて選んでもらう、というのもアリです。汚れがしっかりと落とせるので、ぜひ利用してほしいアイテムです。また汚れを叩いて汚れを浮き出させるタイプのクリーナーもあります。
■④ 革用保護クリームをソファー全体に塗る
ここまでやれば、ある程度は汚れは落ちているのですが、革ソファの手入れはまだまだやることがあります。それが、革用保護クリームをソファー全体に塗る、という工程です。革ソファは、しっかりと表面を保護してあげないと、極度の乾燥状態になってしまう場合もあります。
後述しますが、人間と一緒で乾燥が酷くなるとダメージを受けやすく、さらにひび割れの要因にもなりかねません。先ほどのクリーナーが完全に乾いたところを見計らい、乾いている布などに保護クリームをつけて、まんべんなく全体に擦り込んでいってください。塗り残しが無いように、順を追ってしっかりと塗っていくことをおすすめします。後は、乾くの待つだけです。
■⑤ 仕上げにソファーを乾拭きする
さて、ここまでやれば革ソファの基本的なお手入れは終わりですが、最後に柔らかい布や柔らかいタオルを使い、ソファー全体を乾拭きしましょう。保護クリームが乾ききった後でも、ホコリがついていたり、まだ余分な油分などが残っている場合があります。
それらを取り除くためにも、最後にしっかりと乾拭きしておく一手間を取るだけでも、革ソファの寿命が伸びることでしょう。また皺の間やスキマに『馬の毛のブラシ』をかけるとより完璧です。
重曹で革のソファーのカビ取り
『普段から革ソファを手入れしている』または『まだまだ購入されたばかり』という方以外で、「長年手入れをせずに“カビ”が発生してしまった」という方は少なくないでしょう。ソファにカビが生えてしまうと取り除くのは厄介ですし、完全に除去する事は難しいです。
しかしこのカビは重曹で見た目としてはかなり綺麗に取り除くことができるので、ぜひ覚えておきましょう。
さて、このソファに発生するカビなのですが、先ほどご紹介した保護クリームなども関連しています。部屋内の湿度が高い場合、クリームの油分、また皮脂、食べ物の油分などがカビの餌になりうるからです。一度、カビがソファに発生すると除去するのが大変ですし、軽く除去しただけだとまた発生してしまう恐れもあります。
そこで、おすすめしたいのが、重曹で革のソファーのカビ取り。重曹パウダーを作成し、革に付着したカビを取り除きましょう。重曹はドラッグストアや100均一、スーパーなどでも手に入れることができます。
※この方法はスエードやコードバンなどの素材の革ソファの場合、シミや傷みの原因になります。自宅の革製品がどのような種類なのか、まずそれを把握しておくことが重要ですので注意しましょう。
まず、重曹と水を、3:1の割合で混ぜてペーストを作り、気になるところに塗り、一晩置きます。翌日、乾いた雑巾、またはハケなどで重曹を取り除きます。その後、ぬるま湯をつけて絞った雑巾でキレイに、丁寧に拭き取ります。その後、乾拭きをして、革用の保護クリームを濡れば完了です。
革のソファーを手入れする頻度
革ソファの手入れ方法をいくつか紹介してきました。実際、ここまでじっくりと手入れするとなるとかなり大変ではありますが、できれば2ヶ月に1度、少なくとも年に4回季節の変わり目には行いたいところです。またそのソファーを長く大切に使いたいのであれば、乾拭きは週に1度は行いたいところです。
ただし、革ソファを長持ちさせるのであれば忘れてはいけないのが、買ってからすぐの処理。革のソファーを手入れする頻度はその人の普段のライフスタイルにもよりきりとお伝えしたのですが、基本長持ちさせるためには、“買ったらすぐに最初のケア”を行う方法が賢い選択です。
購入したばかりの革ソファは新品とはいえ倉庫にあった物、店頭にあった物です。ホコリなどをかぶったり乾燥した状態であった可能性もあります。まずは軽くでいいのでホコリを取り除き、その後しっかりと保護クリームを塗って革表面を保護しておきましょう。
もし新品の革ソファが既に乾燥状態にあったのなら、最初にこの処理をするしないだけでもその後の品質は大きく変わってきます。ぜひ、忘れずに行いましょう。
革のソファーを手入れしないと起こるダメージ
「手入れをしないと、革がダメになる」こんなことをお伝えしているわけですが、何がどうダメになってしまうのか?もう少し詳しくご説明いたします。
黒ずみ
人間の皮膚からでる油や汗、食品の油など、こういったものが革に染み込んでいくと、黒ずみになってしまいます。真っ黒な革ソファであれば別ですが、茶色や、薄めの色合いの革製品だと黒ずみがなかなか落ちてくれません。
■人間の油によるエージングについて
革財布などが『手から出る油によって良い感じにエージングされる』というのを聞きませんでしょうか?これは正しい情報で、となれば革ソファにも手の脂は悪いものではないわけですが、革財布と革ソファでは面積が違います。
面積の大きい革ソファを手の脂でまんべん無くエージングさせるのは至難の技と言えるでしょう。
■ひび割れ
革製品のソファでもっとも起きやすい劣化が、ひび割れです。革がひび割れ…というのは想像つかないかもしれませんが、酷使し続けていると皮脂やさまざまな要因によって革が乾燥していき、割れが発生してしまう事があります。
当然、一度ひび割れてしまえば修復は修理となりますので金額がかかります。また程度にもよりますが、基本的には完全に直る事はありません。常に乾燥させないよう、手入れを怠らないことが大切です。
■色あせ
色あせの原因は日光や熱、汚れなどです。革ソファを直射日光が当たる場所に配置したり、ストーブなど熱源の近くにおいたり、また飲み物や食べのこしカスなども大敵です。半分はキレイなのに、半分は色が褪せてしまったなど、見た目にもあまり良くないのですので、注意してください。
革のソファーを手入れする時の注意
革ソファを手入れする際の注意点をまとめてみました。
■①ソファーの革の素材を調べる
何度かお伝えしていますが、革ソファとひとことで言っても、その革の種類はさまざまです。『ツヤのある革素材』であれば、ここで紹介した革の手入れを順を追っていけば問題ありません。
しかし『スエード』や『ヌバック』、さらに『起毛系の革素材』の場合、通常の革用お手入れグッズ(革用レザークリーナーであったり、革用保護クリーム)を使用すると逆に劣化してしまう場合もあります。シミになったり、固まってしまいトラブルとなったり、へたったりと、せっかくの手入れが逆効果になってしまいます。
革ソファは、その革の種類によってお手入れが変わってくるので、必ずお手持ちの革素材を一度チェックしてから手入れをするようにしましょう。
■②代替え品には要注意(ハンドクリーム、牛乳、靴クリームなど)
ネットなどで『革用のクリームを買わなくても、さまざまもので代用できる』という情報を見かけます。が基本的には要注意です。
<牛乳>
『牛乳を薄めて拭くと良い』と言うような情報も散見しますが、革表面が硬くなり、ひび割れに繋がる恐れがあるので注意です。また臭いの元や雑菌の原因にもなり得るでしょう。
<ハンドクリーム>
さらに、ハンドクリームは油分によるシミがどんどん濃くなっていくことがあります。
<靴クリーム>
靴クリームは一見、革ソファーに代用できそうなのですが、必要以上にスベリがよくなってしまうため、使い心地が著しく悪くなることがあります。
革ソファには革ソファのお手入れ方法を使うこと。これが、大前提です。まして大切なものであればなおさらでしょう。
革のソファーを手入れする時に必要なグッズ4つ
最後に、革のソファーを手入れする際に必要なグッズを紹介しておきます。
■①革用レザークリーナー
革用レザークリーナーは、革ソファーの手入れには必須アイテムと言っていいでしょう。さまざまなグッズが出ていますが、おすすめは『カリモクのレザーマスター』です。少々値ははりますが、家具メーカーであるカリモクが開発した安心な商品です。
革の内側に見えない通気性膜を形成するため、革の保護膜などを通り抜けた汗や油脂であっても、革製品に直接入り込むことを防御してくれます。革のソファーを長持ちさせるため、また良いエージングを楽しみたい方は、こういった機能性の革用レザークリーナーを利用すると良いでしょう。
■②革用保護クリーム
革用保護クリームは、革の表面を保護するクリーム。前述したカリモクのレザーマスターのように、革本来の内側を守るクリーナーの上、表面からの保護膜の役割をしっかりと担ってくれます。
革ソファーを購入後は綺麗ですが、まずこちらを必ず塗っておきましょう。
■③やわらかいタオル(濡れ拭き用)
※ここで言う『濡れ拭き』は『硬絞りした状態』を指します。
ほこりやゴミなどを取った後、濡れ拭き用タオルでふく必要があります。清潔な状態で、なおかつ革が傷つきにくい、やわらかなタイプがおすすめ。力を入れて拭くと傷ついてしまうようなものではないタイプを選んでおきましょう。一度濡れ拭き用と決めたタオルは『濡れ拭き専用タオル』にしましょう。
■④やわらかいタオル(クリーム拭き取り用)
最後、保護クリームなどを塗った後にしっかりとそれらを拭き取ることができるタオルも必要です。
適当な布を使う場合は使わなくなったTシャツなど『やわらかい布』を選びましょう。麻などの硬い布は革を傷つけてしまう可能性があります。また万全をきすのであれば保護クリームを皺の間やスキマに残さないために馬毛ブラシを併用するのがオススメです。
まとめ
革ソファーの手入れ方法について紹介しました。革ソファは高価なアイテムであり、家族団欒の時間の主役になりうる存在です。だからこそ清潔な状態をキープし、なおかつ味のあるエージングを楽しみたいところです。
今回、ここで紹介した手入れ方法を参考に、自宅の大切な革ソファーを手入れしてみましょう。