「加湿器は水しか入れてないけど掃除する必要があるの?」
「何だか最近加湿器からイヤな臭いがするけど、掃除したことがない。」
乾燥する季節に室内や喉・肌の潤いを守ってくれる加湿器はとても便利。しかし実は汚れやすい家電でもあります。
掃除をしていない加湿器には水垢をエサとしてカビや菌が増殖。そんな加湿器を使い汚いミストが部屋中に放出され続けた結果、「加湿器病(加湿器肺炎)」を発症してしまう可能性もあるのです。
本記事では加湿器の掃除に使うことができる
- クエン酸
- 重曹
- オキシクリーン
それぞれの洗剤を使った掃除方法を写真つきで徹底解説!
掃除をしたあとに知っておきたい、加湿器の汚れ防止対策も紹介しています。さっそく加湿器を掃除して嫌な臭いや不安なく今年の冬を過ごしましょう!
加湿器の掃除をしない危険性
加湿器の掃除をせずに菌まみれのミストが発生すると「加湿器病」とよばれる「過敏性肺炎」や「レジオネラ肺炎」などを発症する可能性があります。
近年でも加湿器が原因での死亡事故が発生。特に体力のない新生児や高齢者などは注意が必要です。
- 1996年 東京の大学病院で新生児3名がレジオネラ症を発症し、1名死亡。
- 2007年 新潟で超音波加湿器が原因で男性が死亡。
- 2018年 大分の高齢施設で、超音波加湿器が原因のレジオネラ感染で高齢者が死亡。
※レジオネラ症とは
自然界(河川、湖水、温泉や土壌など)に生息している細菌である、レジオネラ属菌に感染して起こる肺炎。
レジオネラ属菌は60℃に5分間で殺菌されるため、水を加熱するタイプの加湿器は感染源になる可能性は低い。しかし超音波式の加湿器の場合は注意が必要。
加湿器掃除の前知識 加湿器が汚れる原因2つ
加湿器を使うと生乾き臭がしたり、加湿器の中の水が変色したことがありませんか?加湿器に入れる水は無色透明のためなかなか汚れと結びつきませんよね。
しかし水自体が実は加湿器の汚れの原因となっているのです。
水が原因で生まれる汚れは「水垢」と「雑菌やカビ」の2種類。それぞれの汚れを掃除しないとどのような被害が起こるかを知っておきましょう。
加湿器掃除の前知識 ■加湿器が汚れる原因1|水垢
水分が蒸発しても含まれているミネラルなどの成分だけは残り「水垢」となります。
出来てすぐの水垢は比較的簡単に落とせるのですが、掃除をせず蓄積するとどんどん頑固になり最終的に石灰化することも。
石灰化した水垢は落としにくいだけでなく、水垢ができる場所によっては「ミストの出方が悪くなる」など加湿器本来の役目を果たすことができなくなる可能性もあります。
加湿器掃除の前知識 ■加湿器が汚れる原因2|雑菌やカビ
カビや雑菌はどんなにキレイに掃除をしても、空気中のどこにでも存在します。
そして高温多湿の環境を好むため、水を温めて使う加湿器は菌たちにとって最高の場所。
当然、加湿器の掃除をしなければ黒カビやピンクぬめりなどが発生して汚れます。
洗剤別|加湿器の掃除方法3つ
- クエン酸
- 重曹
- オキシクリーン
上記の3つを使えば臭いやカビによる変色もキレイに掃除できます。
洗剤別|加湿器の掃除方法その1 ■①クエン酸を使って加湿器を掃除
汚れを落とすときは汚れと反対の性質で掃除をするのが基本です。加湿器の水垢はアルカリ性なので酸性のクエン酸で掃除しましょう。
クエン酸を使った加湿器の掃除に必要な物
- クエン酸:大さじ1杯
- 水かぬるま湯:1ℓ
- スポンジや歯ブラシ
- タオル
- ゴム手袋
クエン酸を使った加湿器の掃除方法5ステップ
①トレー・タンク・フィルターなど加湿器のパーツを外す。
②手荒れしないようにゴム手袋をして、洗面台やシンクなどに水かぬるま湯をためたら工業用のクエン酸を入れる。手で混ぜて溶かせばクエン酸水の完成。
③クエン酸水の中に①で外したパーツを入れ、1時間程度つけ置き。水垢がひどいときは2時間ほどつけ置きする。
④時間がたったら加湿器のパーツをクエン酸水から取り出し、水垢が残っていればスポンジや歯ブラシでこする。
⑤加湿器の水垢を掃除したら水やぬるま湯でしっかりすすぐ。クエン酸の成分が加湿器のフィルターに残っていると臭いの原因になるため、丁寧にすすぐのがポイント。
パーツを全てすすいだらタオルで水分を拭き取り、さらにしっかりと乾燥させる。乾いたらパーツを元に戻して終了。
洗剤別|加湿器の掃除方法その2 ■②重曹を使って加湿器を掃除
重曹なら加湿器に付いた皮脂汚れを落としたり菌の活動を抑えることができます。加湿器の外側は手垢で汚れており内側は菌が繁殖。
加湿器の内側に菌が繁殖するとピンク色に変色して不快なぬめり汚れになることもあるでしょう。
重曹を使えば加湿器に生えるカビもキレイに掃除できるので、クエン酸での掃除だけでなく重曹での掃除も必ず行いましょう。
重曹を使った加湿器の掃除に必要な物
- 重曹:50g
- 42℃~60℃くらいのお湯:1L
- 耐熱容器と歯ブラシ
- スプーンや菜箸
- スポンジ
- タオル
- ゴム手袋
重曹を使った加湿器の掃除方法6ステップ
- 加湿器のトレーやタンク、フィルターなどのパーツを外す。
- 耐熱容器に重曹とお湯を入れ、スプーンや菜箸などで混ぜて重曹を溶かす(重曹は水に溶けにくいので必ずお湯を使いましょう)。
- 重曹水に外した加湿器のパーツを入れ、30分~2時間ほどつけ置き。
- 時間が経過したらパーツを取り出し、汚れが残っていれば歯ブラシやスポンジでこする。
- 水やぬるま湯で加湿器のパーツをすすぐ。重曹の成分が残っていると乾いた後に白くなるため、しっかりすすぐのがポイント。
- タオルで水分を拭き取り、さらに乾燥させる。完全に乾いたらパーツを戻して終了。
洗剤別|加湿器の掃除方法その3 ■③オキシクリーンを使って加湿器を掃除
洗濯や掃除で活躍するオキシクリーンは加湿器の掃除にも使えます。重曹よりもアルカリ度が高いため、よりしっかりと菌を落としたり加湿器の臭いを取りたいときにおすすめの方法です。
また酸素の泡で加湿器の汚れを細部まで落とすという特徴も。
オキシクリーンで加湿器の掃除をする時はオキシ漬けにしますが、酸素の効果を高めて汚れを落とすために必ずお湯を使いましょう。また、1晩放置したとしても酸素の力を最大限発揮できるのは6時間までです。
オキシクリーンを使った加湿器の掃除に必要な物
- オキシクリーン:アメリカ版は備え付けのスプーン1杯、日本版は備え付けのスプーン4杯
- 42度~60度くらいのお湯:4L
- スポンジや歯ブラシ
- お玉など
- スポンジ
- タオル
- ゴム手袋
オキシクリーンを使った加湿器の掃除方法6ステップ
- 加湿器のトレーやタンク、フィルターなどのパーツを外す。
- 洗面台やシンクなどにお湯をためたらオキシクリーンを入れ、お玉などで混ぜてオキシ液を作る。手荒れしないようにゴム手袋をつけて作業する。
- 洗面台やシンクに外した加湿器のパーツを入れて、30分~6時間放置。
- 時間が経ったら加湿器のパーツを取り出し、汚れが残っていればスポンジや歯ブラシで擦る。
- 水やぬるま湯で加湿器のパーツをしっかりすすぐ。
- タオルで水分を拭き取りしっかり乾燥させる。外したパーツを元に戻して終了。
加湿器の頑固な水垢やカルキ汚れの掃除方法
加湿器の頑固な水垢やカルキ(石灰)汚れはクエン酸やメラミンスポンジで掃除をしましょう。『加湿器が汚れる原因』でも説明した通り、水に含まれている成分(塩素やミネラル)が原因で加湿器に水垢が発生します。
さらに、加湿器の掃除をしていない期間が長くなればなるほど水垢は層になり、石灰化するのも特徴です。石灰化した水垢は加湿器内部にこびり付いていますが、石灰化した水垢もアルカリ汚れで酸性のクエン酸を使えば落ちます。
また、メラミンスポンジもおすすめです。軽い水垢であれば食器用のスポンジで擦れば落ちますが、頑固な水垢の場合はなかなか落ちません。しかし、メラミンスポンジには研磨剤が含まれており、クエン酸水を含ませて石灰化した水垢を擦ると落ちます。
【掃除方法】
ぬるま湯でクエン酸水を作り加湿器のパーツを2時間くらいつけ置きした後、パーツを取り出しましょう。石灰化した水垢はメラミンスポンジや歯ブラシで擦って落とします。
加湿器の掃除にカビ取り剤を使わない理由
カビ掃除と言えば、カビ取り剤をイメージする方もいるのではないでしょうか? しかし加湿器に生えたカビを落とす時はカビ取り剤ではなく重曹で掃除をします。
カビ取り剤で加湿器のカビ掃除はできますが、水を蒸発させて部屋に使うことを考えるとおすすめしません。
加湿器にカビ取り剤の成分が残っていなければいいですが、もし残っていればカビ取り剤を吸い込み体に入れることになります。
実際に韓国では2001年から2011年の間に加湿器用殺菌剤に含まれる成分により大量に死者が出た「加湿器殺菌剤事件」という事件もありました。
重曹は自然由来の成分からできており誤って体内に入っても問題ありません。
【掃除方法】
重曹水に加湿器のパーツを30分~2時間くらいつけ置きします。カビが酷い場合は60度くらいのお湯で重曹水を作り、強アルカリ性にして掃除効果をアップさせましょう。そして、2時間待った後にスポンジや歯ブラシで擦ってカビを落とします。
加湿器のタンク掃除方法
加湿器のタンクに水を入れる時や捨てる時はタンクの外側に触れるため手垢が付きやすく、タンクの中は水分が原因でカビや雑菌が繁殖しやすいです。
加湿器のタンクは外側と内側を1度で掃除する場合と、タンクの外側だけ掃除する方法があります。タンクの外側だけなら毎日~数日に1回、重曹水で拭き掃除するだけで構いません。
【掃除方法:タンクの外側と内側】
加湿器のタンクをお湯で溶かした重曹水に入れたら、30分~2時間くらい放置しましょう。一方、オキシ液に加湿器のタンクを入れた場合は30分~6時間放置して汚れを落とします。
【掃除方法:タンクの外側のみ】
重曹水をスプレーボトルに入れてタオルに吹きかけ、加湿器のタンクの外側を拭き掃除しましょう。最後に水拭きをします。
超音波式加湿器の掃除方法の注意点
超音波式加湿器はマメなお手入れが必要で、掃除をする時はいくつか注意しないといけません。何故なら、超音波加湿器の特徴が関係しているからです。超音波式加湿器は加湿器内部に超音波を作る機械が内蔵されており、水を細かい粒子にして部屋に潤いを与えます。
また、超音波加湿器にはフィルターがなくタンクの水を全て放出するため、タンク内に菌が発生していれば潤いと一緒に菌も放出される仕組みです。では、超音波加湿器を清潔に保つために掃除の注意点をご紹介します。
【掃除方法】
超音波加湿器は毎日水を取り替えてタンク内の掃除をするのが基本です。水を入れ替える時はタンクに新しい水を少し入れて、フタをしたら振り汚れを落としましょう。次に、タンクの中をスポンジなどで擦って掃除をしたら乾拭きをします。
そして、1週間に1回は超音波加湿器のパーツを外し、クエン酸などで掃除をして完全に乾かしてからセットしましょう。
加湿器の掃除をラクにする予防対策3個
"できるだけ加湿器を汚さないための対策があれば知りたい!"と思っている方はいませんか? 加湿器は水を使うため水垢が付いたり菌が繁殖しやすいのは仕方ないですが、汚れを最小限に抑えたい方は多いはずです。早速、加湿器の汚れを防ぐ対策方法をご紹介します。
加湿器の掃除をラクにする予防対策|その1 ■①水は毎日取り換えるか1週間に1回取り換える
加湿器のタンクの水がなくなるまで新しい水に取り替えない方や、水が少なくなったら継ぎ足している方はいませんか?加湿器の汚れを予防するなら加湿器の水を定期的に取り替えましょう。タンクの水を取り替えないで使い続けていると菌が発生し、やがて菌が増殖して汚れが酷くなるだけです。
ただし、加湿器のタンクの水は毎日取り換えるタイプと、1週間に1回だけ取り換えればいいタイプがあります。
【毎日水を取り替える加湿器】
・超音波式
・気化式
・スチーム式
【1週間に1回だけ取り換える加湿器】
・ハイブリッド式
加湿器の掃除をラクにする予防対策|その2 ■②タンクには水道水を入れる
加湿器のタンクに水をためる時は水道水を入れることです。加湿器のパーツは水道水の成分で水垢が発生し酷くなると石灰化しますが、かと言ってミネラルウォーターの水を使うのはよくありません。ミネラルウォーターの水を加湿器のタンクにためると、水道水よりも菌が繁殖しやすくなります。
何故なら、ミネラルウォーターには消毒剤が含まれていないからです。水道水は塩素が含まれているため菌の発生や増殖するまでに時間がかかりますが、ミネラルウォーターの水は塩素が含まれていない分、水道水よりも早いスピードで菌が発生し増殖します。
加湿器の掃除をラクにする予防対策|その3 ■③パーツを定期的に掃除する
加湿器を使い続ければ当然パーツは水垢などで汚れていくため、定期的にパーツを掃除しましょう。定期的に加湿器のパーツを外して掃除をすれば、水垢の石灰化を防いだり菌の増殖を防ぐことができます。やはり、加湿器のパーツを掃除する頻度もタイプによって違うため以下の内容をご覧下さい。
【1ヶ月に1回掃除をする加湿器】
・気化式
・スチーム式
【1週間に1回掃除をする加湿器】
・超音波式
・ハイブリッド式
【毎日掃除をする加湿器:タンク内部のみ】
・超音波式
・気化式
・スチーム式
まとめ
部屋に潤いを与えるために使った加湿器が原因で、もしかしたら加湿器病を発症するかもしれません。加湿器は掃除をサボると菌が繁殖して健康を害する可能性があるため、定期的に掃除をすることが重要です。
加湿器をちゃんと掃除していれば菌を部屋中にバラまくこともなく、キレイなミストを放出できます。加湿器の衛生状態を保つためにも定期的に掃除をして、乾燥する季節を乗り切りましょう。ぜひ、加湿器の掃除方法など参考にして下さい!