ダニは、住居に繁殖する害虫として代表的な種類であり、ダニに刺されるとかゆみや湿疹を伴う場合があるため注意が必要です。
特に、湿度が高くなる梅雨の時期は大量に繁殖する可能性がありますが、近年の住宅環境は冬場でも室内の温度湿度が高いため1年中ダニが繁殖する可能性があります。
ダニによる健康被害を避けるためには、ダニの繁殖条件、死滅温度について確認しておくことが重要です。そこで、ダニ対策の具体的な方法について解説します。
ダニの繁殖条件と繁殖時期
ダニは、どれほど清潔にしている住宅でも必ず存在するため、100%死滅させることは難しいことが特徴です。しかし、ダニによるかゆみや湿疹といった健康被害がないのであれば、「ダニの駆除を徹底しなければならない」と神経質にならなくても良いといえます。
ただし、大量に繁殖すると健康被害やアレルギーを発症する場合があるため注意が必要です。ダニの繁殖条件は温度が25~28度、湿度が70~80%の環境であり、人のフケや髪、ほこりなどをエサにして繁殖します。
気温が高くなる梅雨が繁殖時期ですが、冬でも湿度と温度が高ければダニが繁殖する可能性があるでしょう。
ダニが死滅する温度・湿度
ダニは繁殖条件が整えば大量に発生しますが、乾燥した環境では数日程度で死滅することが特徴です。そのため、湿度を低い状態で維持するだけでもダニの大量繁殖は予防できます。
また、湿度60%の環境を嫌うので、屋外の湿度が低い時期、晴れの日に換気をするだけで繁殖は予防できるでしょう。梅雨といった湿度が高い季節にはエアコンの除湿機能や除湿機を活用して、湿度を下げる方法が有効です。
適度な湿度を維持するためには湿度計を置いて、60%以下であることをチェックし、湿度が上がった場合は湿度を下げるための工夫をすることを習慣化しましょう。
また、30分以上、55度以上の熱を与えることによって死滅することも特徴です。布団乾燥機やスチームアイロンといった、布製品を熱するためのアイテムを活用して、ダニを駆除する方法もあります。
ダニが与える人体への影響
ダニが与える人体への影響は、ダニに刺されることで皮膚に炎症を起こすことが挙げられます。ダニは様々な種類が存在しますが、ツメダニ、イエダニといった種類に刺されることによって、蚊に刺された時と同様に皮膚が腫れ、一定期間腫れた状態が継続することが特徴です。
免疫力が下がっている場合は、数ヶ月腫れた状態が治らない場合もあります。死滅したダニは人を刺さないものの、ダニの死骸や糞が大量に存在することでアトピーや喘息といったアレルギー症状を引き起こすリスクが高いです。
さらに、体長3mmと大きなサイズのマダニと呼ばれる種類には注意しなければなりません。公園や山中に生息していますが、ペットに付着したダニが自宅内に運ばれ、人間が刺されることによって命に関わるため十分に注意が必要です。
ダニの退治対策8選[場所別]
ダニが生息していても、しっかりと退治したうえで対策を行えば、人体に悪影響を与えるような被害の拡大は防げるでしょう。ダニは自宅の様々な場所に生息するため、全体を掃除することが重要です。そこで、特にダニが繁殖しやすい場所別に、ダニの退治方法と対策方法を紹介します。
■1. 部屋全体のダニ対策
部屋の中は、特に家具の下やカーテン、観葉植物や衣服、ぬいぐるみなど様々な場所にダニが生息しています。 基本的にホコリの中に生息しており、ホコリ1gに対しておよそ1,000匹のダニが生息しているのです。
そのため、日頃から掃除をしにくい場所や一切掃除をしていない物についてはダニが繁殖している可能性があります。 部屋の中で、特に注意したい細かなポイントのダニ退治・対策方法をチェックしておきましょう。
衣服やぬいぐるみ、シーツなど
ぬいぐるみ、衣服については、タンスや衣装ケースに収納していることが多いですが、タンスやケースの中にはダニが生息するホコリが蓄積していたりカビが発生していたりするため、衣替えの時期にはダニの死骸が大量に付着している可能性が高いです。
衣替えをした直後に衣服を着用すると、鼻水やくしゃみ、湿疹といったアレルギー症状が出る人もいます。長期間ケースに入れて保管している衣服やカバー、シーツ、ぬいぐるみなどは、乾燥機や、60度以上のお湯に浸して、乾いたら掃除機でダニのフンや死骸を除去しましょう。
次に、衣装ケースやタンスの中に蓄積したホコリを掃除機で吸い、乾燥剤を入れてダニの繁殖を予防してから衣服やぬいぐるみ、布団カバーなどをしまいます。
カーテンとカーテンレール
カーテンについては、ダニが繁殖する場所ではないと考える人が多いです。しかし、実際には結露が原因で湿気が溜まりカビが発生しやすく、さらに静電気でホコリが集まるのでダニが生息します。
カーテンは部屋の中や屋外のホコリ、汚れが付着しているため、掃除をする際には掃除機のブラシを使って汚れを除去する、もしくはハタキをかけるなどして清潔な状態を維持しましょう。
さらに、窓の周辺やカーテンレールの掃除も行うことが重要です。カーテンレールに付着した汚れはカーテンへ移り、ゴミやホコリが原因でカビの発生につながります。
まずは、カーテンを外してコインランドリーで洗い、乾いたら掃除機でダニの死骸を吸い取る方法が有効です。カーテンレールの水分を拭いて換気をして、ホコリをしっかり除去してからカーテンを取り付けましょう。
観葉植物
観葉植物については、葉っぱについている葉ダニを駆除し、ホコリを布で拭き取ることが大切です。観葉植物はダニが繁殖しやすい場所ですが、1週間に1回程度、カビやホコリが蓄積しないよう土の表面を掘ったり葉水を行えたりすれば、十分に対策を行えます。
■2. 布団のダニ対策
自宅の中で、最もダニが繁殖する場所は布団です。布団のダニの退治や対策として有効な方法は天日干しであるとされていました。実際には、天日干しをすれば布団の表面に生息するダニに効果はあるものの、奥で繁殖しているダニの退治・対策は行えません。
さらに、掃除機を使用してダニを吸い取るという方法もありますが、布団の繊維に絡まり十分にダニを吸い取れなかったり天日干し同様に奥に潜んでいるダニは吸いこめないといえます。布団のダニ対策として最も有効な方法は、高温で乾燥させることです。家庭用洗濯機で布団の乾燥はできないため、コインランドリーの大型の乾燥機を使用しましょう。
30分程度高温で乾燥させるだけでも、布団に生息するダニの多くを死滅させることが可能です。布団を乾燥機にかけるとダニの死骸が布団に付着したままになります。死骸であるため刺されることはないもののアレルギーの原因になるため、乾燥させた後は掃除機をかけることが重要です。
ダニ対策としては3ヶ月に1回の頻度で布団の乾燥と天日干しも行い、掃除機をかければ布団に付着しているダニは十分に退治できるでしょう。また、天日干しをした後に布団を叩かないように注意しましょう。ダニが布団の中で産卵していると、叩くことによって卵が飛び散るリスクがあります。
■3. ベッドのダニ対策
ベッドのダニ対策としては、マットレスの上にベットパットと呼ばれる汗を吸収するアイテムを取り付け、ベッドパットの上からベッドシーツをかけましょう。ベッドパッドもベッドシーツも洗えるため、ダニの死骸やフンが洗い流せるうえに、マットレスに皮脂や汗がつくことを予防してダニの繁殖予防にもつながります。
ダニ対策としてはベッドパッドを1週間に1度洗い、マットレスは月に1度掃除機をかけてから天日干しをしましょう。また、ベットの下は布団から出たホコリや糸くずが蓄積しやすいく、ホコリが積もることでダニが大量繁殖する可能性が高いです。
ベッドの下が引き出しになっている収納付きベッドはホコリや湿気が蓄積しやすく、ダニの発生につながるため、ベッドの下に収納が付いていても空にしておく方法が有効です。ベッド下の収納スペースを有効活用したいのであれば、使用頻度の高い物を収納すると良いでしょう。
オールシーズン着用する洋服や下着といった毎日使用する物であれば、こまめにべッドの収納を確認することになり掃除をすることにもつながります。
さらに、人間のフケはダニの餌になるので、枕の周辺にダニが大量繁殖することが特徴です。枕カバーは洗濯し、枕そのものは3日に1回程度は天日干しをしましょう。
■4. マットレスのダニ対策
マットレスは、布団と同じくダニが大量繁殖する場所であり、布団と同じ退治・対策方法が有効です。ただし、マットレスはコインランドリーの乾燥機を利用できず、簡単に干せないものであるため、一定期間に1度徹底したダニ対策を行うことは困難だといえます。そのため、マットレスは日頃からダニの退治と対策を行わなければなりません。
まずは、掛け布団を外して掃除機をかけましょう。ダニは人間の中やフケを餌にするので、枕元については特に入念に掃除を行うことが大切です。
さらに、天気が良い日は寝室の窓を開けて換気をし、マットレスを乾燥させます。時間に余裕がある場合にはマットレスを外して窓の近くに干すと乾燥させられるので、ダニ対策として有効です。
また、布団乾燥機を使用するのも良いでしょう。ダニは太陽熱に弱く、布団乾燥機で暖かい風を送りマットレスが含んでる湿気を除去する方法が有効だといえます。雨の日や曇りの日でも、天日干しと同じ、もしくはそれ以上の効果が期待できるので、自宅に布団乾燥機がない場合は購入を検討しましょう。
マットレスは同じ向きで使用していると同じ場所に熱気がこもり、部分的に汚れるので汚れた場所にダニが大量に繁殖します。マットレスを裏返したり左右を入れ替えたりすることによって部分的に汚れやフケが蓄積することを抑えて、ダニの繁殖予防に効果的です。マットレスは掃除を徹底したうえで、3ヶ月に1度の頻度で向きを変えましょう。
■5. 畳のダニ対策
畳はイ草と呼ばれる素材が使用されており、イ草は湿気を吸湿性があるので室内の湿度を維持することが特徴ですが、吸収した湿気は畳に蓄積しています。さらに、畳の目には食べかすやホコリなどダニの餌となるものが入り込み、ダニの繁殖しやすいことが特徴です。
畳のダニの退治対策としては、畳を外して紫外線を当てることが挙げられます。天気の良い日に畳を外し、窓の近くに干して乾燥させれば、ダニの繁殖を予防できるでしょう。
天日干しをした後は、掃除機をかけてダニの死骸を取り除きます。ダニの繁殖を予防するために毎日掃除機をかけ、1週間に1度はしっかりと絞った雑巾で拭き掃除をすることも重要です。
■6. カーペットのダニ対策
床の上に直接敷くカーペットは、ホコリや髪の毛、ゴミが蓄積し、湿気もこもるのでダニが繁殖しやすいことが特徴です。カーペットは布団と同様に高温で乾燥させるほどことが有効ですが、布団とは異なりコインランドリーの乾燥機は使用できない製品も多いでしょう。
コインランドリーの乾燥機を使えない場合には、スチームアイロンを使用します。焦げ付かないようにカーペットの上に湿らせたタオルを乗せ、カーペットの奥まで熱を伝えるために時間をかけてアイロンがけを行うことがポイントです。
最後にダニの死骸を取り除くために掃除機をかけて完了です。
■7. ソファのダニ対策
ダニは畳や布団に大量繁殖するという印象がありますが、布張りでできたソファーを使用している場合には注意しなければなりません。毎日使用するソファーは、食べカスやゴミが蓄積しており湿気もこもるため、カーペットや布団同様にダニが繁殖しやすいといえます。
ソファーのダニの退治・対策は、表面のカバーを外してカバーを洗い、カバーを戻す前にソファーに掃除機をかけるだけでも十分です。
多くのソファーはウレタンと呼ばれる素材でできており、布団に使用される綿とは異なり細部にダニが入り込むことはありません。そのため、カバーに付いているダニを取り除いてソファーそのもののホコリをきれいに掃除することで十分にダニを退治・対策できます。
ただし、布カバーを取り外せないソファーは、布団乾燥機を使ってダニを死滅させ、掃除機でダニの死骸を取り除きましょう。
布団乾燥機がない場合は、ドライヤーでも多少の効果は期待できます。また、アイロンもダニの退治や対策に有効ですが、スチームアイロンを使用するとソファーが濡れるので劣化する可能性が高いです。スチームアイロンを使用したい場合には、ソファーに耐水性があるかどうかを確認してから実施しましょう。
さらに、ソファーをしっかりと綺麗にしたい場合にはソファークリーニングと呼ばれるサービスを提供している業者もあるため、依頼をする方法も有効です。
■8.キッチンのダニ対策
キッチンには、コナダニと呼ばれるダニが繁殖する可能性が高いため注意が必要です。コナダニは、キッチンにある調味料や乾物、味噌やパン粉、お菓子といった常温で置かれている食品類に繁殖します。
また、食品をストックしている所は湿気が蓄積しやすく換気もされていないことによって、気温が高くなるコナダニが大量に繁殖することが特徴です。特に、ホットケーキミックスやお好み焼き粉を好むため、これらは冷暗所で保存しないことも対策の1つだといえるでしょう。
コナダニを退治するためには、市販されている燻煙タイプの駆除薬を使用するか、掃除機でダニを吸い取る方法が有効です。特に燻製タイプの駆除薬は非常に効果が高く、スピーディーにコナダニを退治できます。
駆除薬を使用する際には薬剤が付着しないよう、食材や家電にはビニール袋をかぶせて養生テープを貼り、剥がれないようにしてから使用することが大切です。ただし、小さな子どもやペット(魚類を含む)がいる家庭では駆除薬を使用できないため、床や引き出しの中は掃除機を使い、1度開封して常温で長期間保存していた食材は破棄することも検討しましょう。
掃除機を使用してダニを吸い取ったら、ゴミ箱にそのまま捨てずに別の袋に入れて口を閉じてからゴミ箱に捨て、死骸やフンが舞わないようにします。コナダニの対策としては、換気をして水分は放置しないこと、保存方法を再検討することです。
コナダニが繁殖しないよう、高温多湿といった状況を作らず、換気をしましょう。ほかにも、鍋や桶、皿を浸け置き洗いする際にも、不用意に長時間付けず、水を溜めた状態で放置しないことがポイントです。
食材のストックは密閉容器に入れる、もしくは冷蔵庫で保管して繁殖を予防します。輪ゴムやクリップで封をしていても、ダニは1mm未満の隙間から入り込むため注意が必要です。
洗濯機にダニはうつる?
環境再生保全機構が行った実験では、洗濯をしても7割のダニは生存していることが分かりました。加えて、残りの3割は洗濯槽の中に生息している可能性があるのです。さらに、洗濯をするだけでは死滅しないため、一緒に洗濯機に入れていた衣類やタオルにダニがうつる可能性もあります。
洗濯に塩素系の洗剤を使用しても、漂白剤を使用してもダニが死滅する可能性は低いでしょう。そのため、洗濯機に入れる前にダニを退治して死骸やフンを除去することが重要です。
ダニ対策おすすめグッズ3選
ダニ対策として、繁殖を予防するためのグッズを3つ紹介します。ダニを退治した後、繁殖を予防するためにも、自宅にない場合には購入を検討しましょう。
■2種類の忌避剤
忌避剤には、スプレータイプと置き型タイプの2種類があります。スプレータイプはハーブや人体に影響のない薬剤を原料としている、ダニの繁殖を予防するものです。布団やぬいぐるみ、カーペットにも使用でき、スプレーによって異なるものの1度スプレーすることで1ヶ月ほど効果が持続します。
置き型タイプの忌避剤はハーブを主成分としており、クローゼットといった収納スペースのダニ対策に効果的です。安全な成分のみ配合されているため、ペットや小さな子供がいる家庭でも安心して使用できます。
■ダニを寄せ付けない効果のあるマット・シート
ダニを退治し、寄せ付けないための成分が使用されているマットやシートが販売されています。シーツと布団の間、家具の隙間に置くだけで効果を得られます。畳はマットレスといった掃除をしにくい場所にも利用でき、使用した後はゴミ箱に捨てられるので手軽に活用できることがメリットです。
■布団乾燥機
ダニは乾燥と熱に弱いため、布団乾燥機をすることでしっかりと退治できます。さらに、ソファーやマットレスにも活用でき、曇りや雨の日でも天日干しと同等の効果があるため、ダニ対策を意識するのであれば購入を検討しましょう。
ダニの駆除を業者に依頼するときの費用相場
ダニの駆除を業者に依頼した際の料金は、部屋の広さや業者ごとに料金設定によって異なります。基本的には部屋の広さによって料金が設定されており、基本料金は10平米あたり1万5,000~2万円ほどが相場です。
基本料金よりも部屋が広いケースでは1平米あたりプラス2,000円といった追加料金を設定していることが一般的でしょう。
業者のなかには、2回目以降のダニの駆除を割引で行なっていたり、年間契約で定期的に駆除してくれたりといったサービスを提供している場合もあるため、対応してくれる内容やサービスをしっかりと確認しましょう。
まとめ
ダニを退治・駆除する場合には。最初にダニを死滅させたうえで、ダニのフンや死骸をしっかりと除去するという2つの手順が重要です。さらに、ダニが死滅した後に掃除機をかけるのでかけることがポイントだといえます。
ダニが繁殖しにくい清潔な状態を維持するためにも、湿度が高くなる梅雨の時期はもちろん、暖房で部屋の中が暖かくなる冬の時期にもしっかりと対策を行いましょう。