カラスの被害に頭を悩ませている方も多いと思います。ゴミを荒らしたりせっかく実った農作物を突ついてダメにしたり。群れで行動するためそのフンの被害も困りもの。頭の良い動物で罠を見破ることができるため「なかなか対策が上手くいかない。何をやってもまた戻ってくる」そんな悩みも多く聞かれます。
この記事では我がもの顔で町を飛び回るカラスの天敵を紹介。また賢いカラスにも有効な駆除方法と、その効果を持続させるためのカラスの弱点も紹介します。カラスの苦手を知れば追い払うための対策も立てやすくなります。ぜひ参考にして下さい。
カラスの天敵の鳥や生き物
真っ黒な体に大きなクチバシ。町で見かけるスズメやハトなどと比べて大型ということもあり、一見無敵そうに見えます。しかしそんなカラスも、実は自然界においては他の生き物から狙われていることも。カラスの天敵となる4つの生き物を紹介します。
■①オオタカ
カラスにとっての天敵は猛禽類。オオタカは猛禽類の中でも大型の鳥です。
なぜカラスが猛禽類を嫌うのか?それは猛禽類がカラスのことをエサとして見ているから。
猛禽類は陸上における生態系ピラミッドの頂点にいる動物で、圧倒的な強さを誇り他の動物を捕食する習性があります。そして最大の特徴は、狩りに特科した鋭い爪と強い力で掴むことのできる足指。オオタカに襲われたカラスはクチバシを使い対抗することもありますが、鋭い爪による攻撃にはなかなか反撃できません。一度オオタカの爪で捉えられると、力尽きるまで押さえつけられることが多いのです。
オオタカが群れずに1匹やツガイで行動するのに対し、カラスは集団で行動します。オオタカに対しても集団で襲いかかりそうですが、大抵の場合は仲間を呼び集める前に狩りの天才であるオオタカに仕留められることに。カラスとしては「自分をエサだと思っているオオタカには絶対に見つかりたくない」というレベルの天敵です。
■②フクロウ
カラスとフクロウの相性の悪さは昔から知られており、昔話として残るほど。フクロウはオオタカと同じ猛禽類なので、カラスを捕食対象にしています 。
ご存知の通りフクロウは夜行性の鳥でカラスは昼行性です。活動する時間帯が違うため2匹が出会うことは無さそうに見えますが、実はそんなこともないのです。カラスは非常に早起きで、深夜0時くらいから活動するものも。とりわけ夜間にゴミ収集のある地区などでは、多くのカラスがゴミの出される時間に合わせて行動しています。
夜行性のフクロウの体は夜に狩りをするのに非常に都合よくできており、暗い中でも視界に頼らず狩りをすることが可能。またフクロウの羽は夜の静けさの中でも羽ばたきの音を極限まで抑えることができます。深夜の時間帯、ゴミに夢中になっているところをフクロウに狙われてしまうとカラスに勝ち目はありません。
■③トビ
トビも猛禽類の一種です。しかしオオタカやフクロウのようにカラスを捕食対象としているわけではありません。ではなぜトビがカラスの天敵となるのでしょうか?
その理由はトビのエサ。オオタカやフクロウは肉食のため自分で狩りをしてエサを調達するのに対して、トビは雑食。狩りはほとんど行いません。彼らのエサはもっぱら動物の死骸など。そのためトビは「自然界の掃除屋」と呼ばれることもあります。
トビが食べるのは動物の死骸だけでなく、生ゴミなどもエサにします。そのため必然的にカラスとエサ場が重なりますね。エサ場争いでケンカとなると、猛禽類であるトビにカラスは惨敗。どちらも縄張り意識が強くエサ場を共有するということはできないので、カラスは退場せざるを得ません。「同じエサ場を求める自分たちより強い存在」としてトビはカラスの天敵なのです。
■④スズメバチ
ときには人間の命を奪うこともあるスズメバチ。どう猛な彼らはカラスの天敵にもなりうるのではないかと言われています。注目するべきはスズメバチが反応する色。天敵であるクマの毛の色を認識していて、本能的に黒いものを狙ってくるという説があります。
カラスは全身が黒なので、スズメバチにとってはカラスの全身が攻撃の的でしょう。またスズメバチには動くものを敵とみなして攻撃するという性質があります。カラスはその強い警戒心からあまりじっとしていることはなく、常にキョロキョロと首を動かしていることが多いです。
つまり「真っ黒で常に動いている」カラスはスズメバチにとっては敵と認識せざるを得ない存在。「作物にハチが群がっているときはカラスが寄って来ない」と言う農家の方もいらっしゃるようで、カラスも自分がスズメバチの攻撃の的になることを本能的に感じ取っているのかもしれませんね
天敵を見つけた時のカラスの鳴き声
カラスは集団で行動するため、集合・相手の確認・警戒など様々な場面で鳴き声を使用してコミュニケーションをとります。集団内コミュニケーションに使う鳴き方は40種類を越えていると言われており、まだまだ解明されていない部分も多いのが事実。
カラスは縄張り意識が非常に強く、自分たちの縄張りを守るために鳴き声を利用します。
侵入してきた他の動物への威嚇、追い払った後の勝利の声などの時は「カアアーカアアー」と普段より少し短い鳴き方。
それに比べて天敵に遭遇したときや子育て中に巣に近寄られた時など、非常に強い警戒心を抱いた時は「ガアガアガア」と濁った音で強く短く鳴きます。この声で鳴いた後は敵の近くを飛ぶなどの威嚇行動に出ることも。
基本的にカラスは人間を恐れていますが、繁殖期である3〜7月は気が立っていて巣に目を向けた人間を攻撃してくることもあります。最初は止まっている木や電線をつついたり枝などを落としてくるといったような攻撃ですが、巣を壊されそうだと思うと低空飛行で頭上を飛び回ることも。「ガアガア」と鳴くカラスが近くにいる時は注意が必要です。繁殖期は特に、こちらの視線が分からないように帽子を被ったり日傘をさすなどの対策をしましょう。
カラスの弱点は?駆除方法を解説
賢い鳥で、せっかく仕掛けたワナでも見破ってしまうところが非常に厄介。やみくもにワナを仕掛けるのではなく、カラスの弱点を押さえたうえで駆除方法を実施することを心がけましょう。
■①テグスを張る
カラスは羽に何かが当たることを極端に嫌います。なぜなら羽が傷つき飛べなくなるというのはカラスにとって死を意味するから。その習性を利用してテグスのような見えにくい糸を張り巡らすことで「見えないものに引っかかる痛みと警戒心」をカラスに植え付けることができます。
ポイントはカラスに糸が張られていると見破られないようにすること。カラスは非常に視覚が発達していて、釣り糸やミシン糸など見えやすい糸だと見破ることができます。おすすめは極細で黒や透明のテグス。光の加減で見えたり見えなかったりするためカラスでも見つけにくいでしょう。
せっかくテグスを張ってもすり抜けることができると、頭の良いカラスは「これは大丈夫だ」と認識してしまいます。一定間隔で張るよりもカラスが飛んでくる方向を中心に高さや向きを変えて張ると効果的です。
■②カラス避けを「工夫して」設置する
警戒心の強いカラスが持つのは見慣れないものには近寄らないという性質。そのためカラス避けの置き物を設置することでカラスを寄り付かなくさせることができます。簡単にできる方法ですが注意点も。置き物に慣れて「これは害が無い」と認識するとまた前のように寄ってきます。
カラス避けを設置した後2,3日間平穏なのは、カラスが見慣れないものを警戒して遠くから様子を伺っているから。カラス避けを嫌がり遠ざかったわけではないのです。カカシにカラスが止まっているような光景を見たことがある人もいるかもしれません。
このような状況を避けるには、カラスが慣れる頃に置き物に細工をしたり形を変える・置く位置を変えるなどして人間の手を加えること。「人が手を加えている」「人が頻繁に訪れている」とカラスに認識させることができれば成功です。頭の良いカラスは「この場所は人間が頻繁に出入りしているから危険だ」と考え仲間にもそれを伝えることで次第に寄り付かなくなっていきます。
■③カラスから視覚を奪う
カラスは視神経が哺乳類よりも格段に発達していて、虹もカラスには14色に見えていると言われている一方、むしろ嗅覚はあまり発達しておらず臭いで識別することは苦手です。
この性質を利用してゴミの中身を見えないように目隠ししてしまえば、中身の分からないカラスは荒らすことが出来なくなります。
オススメは新聞紙で目隠しをする方法。生ゴミはそのまま捨てず、必ず新聞紙で包んでからゴミ袋に入れましょう。また、カラスは赤っぽい色を生ゴミと認識しているので、他のゴミでも似たような色であればクチバシで突ついて確かめます。普通のゴミも新聞紙で目隠しをして中身が分からないようにして捨ててください。エサが無いと分かればさっさと他のエサ場を探しに行きます。
家庭にある新聞紙で手軽にでき、カラスと接触する必要もありません。また新聞紙には臭いを防ぐ効果もあるためゴミが回収されるまでの臭い予防にも効果的です。ゴミを荒らされて困っている場合は試してみてください。
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まとめ
都市部ではゴミを荒らし農村では作物へ被害を及ぼすカラス。賢い鳥なので対策に苦労することも多いです。しかし実は警戒心が非常に強く、単独行動はまず行いません。仲間とナワバリを共有し自分たちに危険が無いか常に気にしているような鳥なので、カラスの弱点を知り効果的に対策を行うことで追い払うことも可能です。
1度でもワナにかかると「あの場所は危険だ」という情報も仲間内で共有します。またエサが無ければむやみに人間の生活圏に近づくことも無くなります。
できる対策を効果的に行うことで、カラスによる被害を少しでも少なくしましょう。