お風呂で亡くなった場合の対処法
入浴中のヒートショック・熱中症・転倒事故など、お風呂で亡くなってしまうケースはよくあります。ここでは、その場合に自分でできる対処法を紹介していきます。
■警察・救急車に連絡する
お風呂で亡くなった場合、最優先で行うべきは意識の有無の確認です。意識が無い場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
もし悪臭や音信不通、近隣からの通報などで孤独死が発覚したという場合は、警察に連絡して死因を確認してもらう必要があります。
自宅で亡くなった場合は、現場検証によって事件性の有無を確認する必要があるためです。
現場検証や検視が終わり、立ち入りの許可が出たら特殊清掃業者に依頼して清掃・消毒をしてもらうことがおすすめです。お風呂場で人が亡くなったことによる悪臭は、通常のクリーニング業者では対応できません。
■お風呂の窓を閉じる・換気扇を止める
お風呂で亡くなった場合、浴室内に立ち入る余裕があれば、お風呂の窓が閉まっているか確認しましょう。
わずかなすき間でも、窓が開いていると臭いが近隣に広がってしまうので閉じましょう。
換気扇が動いていても部屋や近隣に臭いが広がってしまうので、換気扇を早めに止めることも大切です。
■お風呂の保温機能を止める
お風呂に保温機能がついていたら、保温機能をオフにすることも大切です。
お風呂に自動保温機能がついていると、遺体の損傷が進んでしまいます。警察や救急車が来るまで少しでも被害を食い止めるため、保温機能を止めておきましょう。
お風呂で亡くなった場合にしてはいけないこと
お風呂で人が亡くなった現場に遭遇した場合、自力で掃除をしようとしたり、悪臭に対処しようとしてはいけません。意識が無いようでしたら救急車を呼び、発見まで時間が空いてしまったのであれば警察を呼びます。ここでは、ついやってしまうNGな行為について解説していきます。
■お風呂の水を抜く
お風呂で遺体を発見した際、水が変色し異臭を放っているケースがあります。そんな時、お風呂の栓を抜いてしまいそうになるかもしれませんが、抜いてはいけません。
浴槽の水を下水に流してしまうと、水の中に溶けてしまった皮脂・油分が配管をつまらせてしまいます。配管の中が汚れてしまうだけでも、洗浄には時間がかかります。状態によっては配管の交換も必要です。
浴槽の水はそのままにし、警察に連絡をした後、立ち入りの許可が出たら特殊清掃業者に清掃作業をしてもらう流れになります。
■お風呂の窓を開ける・換気扇を回す
お風呂の窓を開けたり、換気扇を回すと、臭いが近隣や家全体に広がってしまいます。
特殊清掃業者の作業が始まるまでは手をつけないでおきましょう。
遺体の発見まで時間がかかった場合は、臭いを感じなかったとしても特殊清掃業者を呼びましょう。
腐敗臭がなかったとしても、独特の死臭は空間全体にしみついてしまっています。専門技術で消臭し、臭気を測定する必要があります。
お風呂で亡くなった場合の特殊清掃の流れ
お風呂で亡くなった場合、特殊清掃が必要になります。浴槽やお風呂場で亡くなったご遺体は傷むのが早く、腐敗臭や死臭が発生してしまいます。それは通常のクリーニング業者では落としきれないので、特殊清掃業者が必要です。
■くみ出し・ふき取り
特殊清掃が必要なお風呂場は、浴槽や床に体液・腐敗液がとけてしまっています。これを排水管に流すとつまってしまうので、くみ出しとふき取り作業を行います。
バケツなどでくみ出した液体は、トイレに流したり、廃棄物として処理されます。液体を流したトイレは最後に清掃します。
浴槽の底が見えてきたら、専用の薬剤でふきとり掃除を行います。
■清掃・汚物の除去・除菌
浴槽の中の水と沈んでいるものを除去したら、お湯を入れ替えて薬剤を入れます。ふき取りでは落とせない汚れを浮かせ、さらに掃除と除菌を進めていきます。
浴槽以外の壁や床の他を清掃し、シャンプーなどの備品は除菌・脱臭の後に処分していきます。
その他、配管や風呂釜まで清掃・交換し、水質調査で問題がない状態まで復旧させます。
■浴室の解体・リフォーム
お風呂場は素材の関係で臭いやシミを落としきれないことが多いので、解体・リフォームが必要になることが多いです。
状態によっては、染み抜きをする前に解体・交換に入る場合もあります。この際、遺体が染みついた跡が残っていると精神的につらい作業になりますので、電動ヤスリで見た目の軽減をすることもあります。
特殊清掃業者であれば、清掃・ゴミ処理・解体・リフォームをすべて一括で行うことができるので、時間的・精神的な負担を軽減することにつながります。
■消臭・消毒
清掃とリフォームによる原状回復作業が終わったら消臭・消毒をして終了になります。
特殊清掃の現場では、感染症・伝染病のリスクを避けるために作業前と後に消毒・消臭が必要です。
特殊薬剤の散布やオゾン脱臭機など、状況に合わせた専用機材を使い消毒する他、作業が終わった段階で臭気測定計で臭いが残っていないことを確認します。
現場を密閉して作業するので、他の場所に臭いが漏れることも防げます。
お風呂で亡くなった場合の特殊清掃の料金相場
お風呂で亡くなった場合の特殊清掃は、現場の広さだけではなく発見までにかかった時間や気温・湿度、遺体のある場所で大きく変動します。
追い炊き機能のあるお風呂で遺体が長期放置されてしまった現場ならば、風呂釜の清掃も必要です。
WEBサイト上で料金表が提示されている業者は多いですが、お風呂の現場は「見ない方がいい」と言われることが多い上、清掃箇所が分かりづらく、料金表を中々生かせません。
そのため、相場を知りたい場合は、ご自分で相見積もりをとって確認していくことになります。
お風呂で亡くなった場合の特殊清掃の選び方
お風呂で亡くなった場合の特殊清掃業者を選ぶ際には、相見積もりの作成がおすすめ。見積もりを出す間のやり取りで、信頼できる業者かどうかを確認することもできます。
「なぜこの費用なのか」を説明できない業者への依頼は止めましょう。
お風呂で亡くなった際には、解体作業が必要になります。解体工事業登録を持った業者かどうかを確認しましょう。
ゴミ収集・廃棄のためには一般廃棄物収集運搬許可証が必要なので、こちらの許可を持っているかも確認します。
もし孤独死であれば、事件現場特殊清掃士が在籍する業者であると、より安心して依頼ができます。
お風呂で亡くなった場合によくある質問
■お風呂で亡くなった場合特殊清掃は必要?
同居した方が亡くなったなど、すぐに発見できた場合は不要なケースもあります。時間が空いてしまったのであれば、通常のクリーニング業者では落とせない汚れがしみついてしまっているので、特殊清掃業者に依頼をしましょう。
■お風呂で亡くなった場合の清掃費用は誰が負担する?
賃貸のお風呂で亡くなった場合、費用は原則借主負担です。借主の保険金や連帯保証人・相続人が請け負うことになります。孤独死の原状回復費用ならば、こちらの記事で詳細を解説しています。
■賃貸のお風呂で亡くなった場合損害賠償は必要?
転倒事故や脳卒中など、日常で起こり得る事故による死亡で賠償金を請求されることはありません。しかし、長期間放置された孤独死は事故物件になってしまうので、損害賠償を請求される可能性があります。、事故物件についての詳細はこちらの記事で解説しています。
■お風呂で亡くなった場合にお祓いは依頼できる?
亡くなった場所を理由にお祓いを断られるということはありません。特殊清掃業者に依頼をすれば、供養まで請け負ってくれる業者が多いです。