残置物は誰がどのように撤去するべき?
残置物とは、引っ越し・空き家の処分や借主の死去により退去した部屋に残された家財のこと。エアコンや照明が設置されたままになっていたり、冷蔵庫などの大きな家電が残されたりします。
その所有権は残置物を残した前住人にあるので、前住人以外は勝手に捨てることができません。
もしも賃貸に残置物が残された場合、大家さんや管理会社が裁判所に申し立てを行ってから処理することになります。処理にかかった費用は、前住人に請求することが可能です。
もしも残置物の持ち主が亡くなっている場合は、その所有権が相続人に移ります。この場合、相続人、あるいは連帯保証人が撤去することになります。
残置物の撤去を依頼する業者は現場の状況で選ぶのがおすすめ
残置物が少量であれば、残置物の所有権を持つ人がゴミとして処分したり、下取りにだすことも可能です。
しかし、量が多かったり、運搬が大変なのであれば業者への依頼がおすすめ。
不用品回収業者・遺品整理業者・特殊清掃業者のいずれかがおすすめです。
残置物の整理が住んでおり、ハウスクリーニングなどが必要ないのであれば、不用品回収業者が最もおすすめです。量が多い場合は、トラック積み放題プランを選びましょう。
前住人が亡くなっており、残置物の中から不用品と遺品を仕分けしたいのであれば、遺品整理業者の方が向いています。残置物の状態によっては、買い取ってもらえるケースがありますし「不要品だけど、ゴミには出したくない」というものなら、供養も行ってくれます。
残置物の撤去後は簡単な清掃も行ってくれるので、時間がない方におすすめの業者です。
遺品整理業者では清掃しきれない状態のお部屋であれば、特殊清掃業者がいいでしょう。体液がしみこみ、不用品回収業者では回収できないような家財でも処分できますし、お部屋の徹底清掃を行ってくれるので、肉体的・精神的な負担を和らげてくれます。遺品整理業者同様、必要に応じて家財の供養も行ってくれます。
このように、残置物の撤去を行う業者には、それぞれ得意分野があります。状況に応じて使い分けていきましょう。
残置物撤去の作業内容・費用相場【不用品回収業者】
不用品回収業者は、大量の家具・家電を回収してもらいたい時におすすめ。少量でも家具・家電を回収してもらえますが、大量に引き取る場合よりは割高になります。
■不用品回収業者の残置物撤去の作業内容
不用品回収業者に家具・家電の回収を依頼する方法は二通り。家具・家電の回収を単品で依頼するか、トラック積み放題を利用するかを選ぶことになります。
単品で依頼する場合は割高なので、自分で取り外し、搬出できるのであれば粗大ごみなどとして処分した方がお得です。
「量は少ないけど、重たくて持ちたくない」「エアコンの取り外し方が分からない」といった事情がある場合ならば、不用品回収業者を呼びましょう。
トラック積み放題プランの利用は、決められた料金内でたくさんの不用品を処分できるのがメリットです。引っ越しや、短期間放置された空き家の整理であればこの方法がおすすめです。
不用品回収業者による積み放題プランは、使うトラックの大きさに応じて料金が決まるので、残置物が多ければ多いほどお得になります。
どちらの方法で回収する場合も、回収する品目に制限はあるかについて確認しておきましょう。
■不用品回収業者の相場
不用品回収業者の相場は、作業にかかる人数やお住いの地域で変動します。家電なら一つ2,000円~1万円、家具なら3,000円~8,000円が目安です。
引き取る残置物が少なくとも、出張料や作業量は発生するため、トラック積み放題の方をおすすめします。自分で処理できる量であれば、粗大ごみに出した方がお得です。
トラック積み放題を使う場合は、軽トラックなら1万円~2万円、2tトラックなら2万5,000円~6万円が目安。大量の残置物を処分できるのがメリットですが、トラックが入るスペースがあるか確認してから依頼しましょう。トラックを止める場所が遠くなり、作業人数や作業量が増える場合、料金に上乗せされることもあります。
残置物撤去の作業内容・費用相場【遺品整理業者】
遺品整理業者は、人が亡くなった際に残置物の整理・処分を依頼したい時におすすめ。不用品と遺品の仕分けが終わっていない時におすすめです。
■遺品整理の残置物撤去の作業内容
遺品整理業者に依頼すると、残置物の中から遺品と不用品を仕分けしてくれる点が不用品回収業者との違いです。
重たい家具・家電も搬出してくれますし、不用品を処理してくれるので、一つの業者に依頼するだけで残置物の整理が終わるのがメリット。状態が良いものであれば、買取を行ってくれるケースもあります。
作業が終わった後は簡易的な清掃を行ってくれますが、孤独死がおきた部屋や、ペットの糞尿が散らばったようなお部屋は清掃しきれません。通常の方法では清掃・消臭できない現場は特殊清掃業者への依頼が必要になります。
■遺品整理業者の相場
遺品整理業者の費用は、間取りやお部屋状態、作業人数で変わります。お住いの地域でも変動するので、相見積もりをとってご自分の地域の相場を把握することが大切です。
おおまかな相場としては、1ルームの賃貸住宅の場合は8万円〜10万円。3LDKならば20万円〜25万円程度が目安です。
残置物撤去の作業内容・費用相場【特殊清掃業者】
特殊清掃業者は、お部屋内で人が亡くなった際、ゴミ屋敷やペットの糞尿による被害が深刻な際などに必要になります。残置物も撤去してくれるので、通常の業者では対応できない場合には安心して任せることができます。
■特殊清掃業者の残置物撤去の作業内容
特殊清掃業者への依頼が必要なケースは、孤独死などで室内で人が亡くなった場合や、ペットの糞尿による被害が甚大な場合、ゴミ屋敷化してしまった場合です。室内では細菌や害虫が発生し、立ち入るだけでも危険ですので、早めに業者を呼ぶことが必要です。
これらの場合、残置物も体液や糞尿などの汚れがしみ込み、通常の方法では撤去できない可能性があります。整理・運搬も特殊な機材がなければ危険なので、必ず特殊清掃業者か解体業者を呼びましょう。
残置物の整理と撤去が終わった後は、徹底的な清掃と消臭による原状復帰作業を行います。最後に臭気測定計を使い、消臭が完了したことも確認するので、今後も使い続けたい場合にも安心です。
■特殊清掃業者の相場
特殊清掃業者への費用は、部屋の間取り・状況・作業人数などで大きく変わります。お住いの地域でも変わるので、相見積もりをとって相場を把握しましょう。
残置物の撤去・処分に係る費用は遺品整理業者とそこまで差はなく、10万~30万程度ですが、特殊な機材を使った清掃も入るため、依頼料は高額になりがちです。
特殊な清掃が必要ならば特殊清掃業者、そうではないのであれば遺品整理業者や片付け業者に依頼をしましょう。
解体する予定があるのであれば、残置物の処理も解体業者に依頼することもできます。ただし、解体の際に残置物が残っていると、その分作業量が上乗せされることにも注意が必要です。
残置物撤去の業者の選び方と相見積もりのコツ
残置物の撤去を依頼する業者は、料金ではなく目的で選ぶことがおすすめです。
【不用品回収業者】
残置物の中から残したいものと不用品の整理が終わっているのであれば、不用品回収業者によるトラック積み放題プランがおすすめです。
トラックに積むほどの量が無いのであれば、ご自分で処理するという方法もあります。
【片付け業者・遺品整理業者】
残置物の整理が終わっていないのであれば、片付け業者や遺品整理業者に整理から依頼しましょう。作業後に清掃をしてくれますが、通常の使い方で出る汚れにしか対応していません。
片付け業者は遺品整理業者より安い場合がありますが、遺品の取り扱いが丁寧で買取に対応しているのは遺品整理業者です。目的に応じて使い分けることがおすすめです。
【特殊清掃業者】
孤独死や事故死などで人が亡くなった場合や、ゴミ屋敷化した場合、ペットの糞尿による被害が深刻な場合など、通常の方法では落とせない汚れがあるお部屋には特殊清掃が必要です。他の業者より高額ですが、体液などの特殊な汚れがついた残置物は、不用品回収業者・片付け業者では回収できないこともあるという点から、特殊清掃業者への依頼がおすすめです。
残置物の撤去を依頼する業者が決まったら、相見積もりをとっていきます。
残置物の整理や撤去の相場は、地域や作業量で変わることがほとんど。実際に相見積もりをとって相場を把握していきましょう。見積もりの請求時にチェックしたいポイントは下記の通りです。
- 代表者の氏名・会社の連絡先が明確であるか
- 料金体系が明確であるか
- ゴミ処理のための一般廃棄物収集運搬許可証を取得しているか
- 買取のための古物商許可証を取得しているか
- サイトに残置物撤去の実績を掲載しているか
代表者氏名・会社の連絡先が明確な業者の中から、ゴミの処理や買取のために必要な資格があることを確認したら、見積もりを請求します。サイトにご自分の状況と近い実績がある業者ですと、より安心です。
見積もりを受け取ったら、料金体系や作業内容が明確であることを確認しましょう。悪質な業者ほど料金体系が曖昧で、費用だけを提示してきます。提示された費用が極端に安い場合は、後で高額請求を行うこともあるので注意が必要です。
残置物撤去の費用を安く抑えるポイント
残置物の撤去は、1~2万円程度で済む場合から数十万円かかる場合まで費用の幅が広いもの。ここでは、安く抑えるためのポイントを解説していきます。
■目的にあった業者に相見積もりを依頼する
残置物の撤去は、WEBサイトに掲載されている基本的な作業だけではなく、現場の状況によって作業が追加されることがあります。
これは電話やメールでのやり取りである程度明らかにすることができます。
したがって、相場を把握するためには相見積もりが重要になるのです。
残置物があるお部屋の状況に合わせて業者の種類を選んだあとは、複数社に相見積もりを依頼しましょう。
少なくとも3社に依頼しておけば、不自然に安い業者をはじくことができるでしょう。
見積もりが不自然に安い業者は、悪徳業者である可能性が高いので、安くなる理由を説明できないような業者への依頼は危険です。
■自分で撤去できるものは撤去する
残置物の撤去にかかる費用は、作業人数が大きく関係してきます。つまり、残置物が少なければ少ないほど費用を抑えることができるので、自力で処理できるものは処理をしておきましょう。
家具でしたら小さめの家具を粗大ごみに出すこともできますし、家電は下取りに出したり、製造メーカーに回収してもらったりできます。
残置物の中で処理しづらいものへの対処法については、こちらの記事で解説しているので、併せてご覧ください。
残置物撤去の費用に関するよくある質問
■残置物は誰のもの?
残置物の持ち主は、残置物を残していった前住人にあります。大家・管理会社などの第三者が撤去したい場合は、裁判所に申し立てを行い撤去することになります。
■残置物撤去の費用は誰負担?
残置物は前住人の所有物なので、撤去にかかった費用は前住人に請求できます。前住人が亡くなっている場合は、相続人に請求することになります。
■身寄りのない方の残置物撤去は誰負担?
孤独死などで身寄りがない方の残置物を片付けるのは、大家さんであることが多いです。この場合、費用は連帯保証人に請求できます。孤独死による費用の負担を避けるためには、大家さん向けの孤独死保険などがあるので、事前に対策をしておきましょう。詳しくはこちらの記事で解説しています。