家族みんなが毎日使うトイレには、どうしても汚れがたくさんついてしまいます。
ふと掃除をしようと思って便器を見てみると、尿石や黄ばみ、水垢がこびりついていて、トイレ用の中性洗剤だけでは落ちない! ということもよくあります。
また、そんなガンコな汚れを落とすためにさまざまな洗剤が市販されていますが、その使い方や注意点もよくわかりません。
頑固な汚れ=お掃除は一日がかり…… そう思いがちですが、意外とトイレの掃除に費やす時間は少ないのです。
トイレの汚れが気になるのに、うまい具合にお掃除出来ない! 便器をキレイにするコツが知りたい!
そんな人のために、今回は特に、トイレのお掃除の中でも厄介な、便器の汚れのお掃除の方法をクローズアップしてみました。
便器をキレイにする5つの方法
便器の主な汚れは、尿・水垢・黒カビです。
便器の汚れの種類によって、お掃除の方法や使う洗剤も異なってきます。
また、洗剤の成分によっては、あわせて使うと有害なガスが発生することもあるので、洗剤選びから迷ってしまいます。
けれども実は、注意点さえ守れば、簡単にお掃除できますし、本格的な便器のお掃除でも、トータルで費やす時間も2~3時間です。
今回は、便器の部分別に、ガンコな汚れをお掃除する方法をご紹介いたします。
■1、 準備するものと準備しておくこと
・ゴム手袋
・ドライバー(便器の止水栓を止める)
・スパナかナットレンチ(便器タンクのフタの手洗い用蛇口を外すため)
・バケツ
・スポンジ
・トイレ洗い用ブラシ
・古歯ブラシ
・研磨剤(ジフやクレンザーなど)
・ラップ(研磨剤で便器のパーツを磨くために使用)
・紙コップか灯油タンクまたはラバーカップ(便器の水を抜くため)
・トイレ用酸性洗剤(サンポールなど)
・メラミンスポンジ
・綿棒
道具が揃ったら、便器のお掃除中に、誤って水が流れこないよう、便器の水道管の止水栓を、マイナスドライバーを使って右回しに回らなくなるまで締めて、水道を止めておきましょう。
また、便座にウォシュレットなどの機能がついているタイプのものであれば、誤作動を防止するために、電源をコンセントから抜いておきましょう。
■2、まずは便器の水槽タンクのお掃除から
(1)便器の水槽タンク、フタを取り外してお掃除する
使用する洗剤;研磨剤(ジフなど)
便器に水を流すために、常に水が溜まった状態にある水槽タンクですが、便器の水槽タンクのお掃除で一番気になる汚れは、水垢と黒カビです。水垢と黒カビには、ジフのような研磨剤を使ってお掃除します。
まずは便器の水槽タンクのフタを外してキレイにしましょう。水槽タンクのフタは、簡単に外すことが出来ます。
便器の水槽タンクのフタには、手洗い用の蛇口が付いているので、外して洗います。
手洗い用の蛇口は、タンクのフタの裏にボルトで固定されているので、ペンチを使って外しましょう。
ペンチを使ってナットとワッシャーを外したら、反対側から蛇口を抜きます。
便器の水槽タンクのフタが分解できたら、ホコリなどの汚れを流すために、一旦スポンジなどで水洗いします。タンクのフタを外したら、浴室など、広い場所で洗いましょう。
洗っている最中の滑り止めとして、バスタオルなどの上で作業するのも、おススメです。
水洗いすると、タンクのフタに水垢や黒カビがついていることが確認できると思います
次はいよいよ水垢と黒カビのお掃除です。
まずはラップを30cmほどカットし、ハンカチをたたむように、4回か5回ほど折りたたみます。そしてジフなどの研磨剤を汚れ部分にかけたら、折りたたんだラップで磨いていきます。
雑巾やスポンジを使うと、研磨剤が繊維に入り込み、研磨効果が薄れるので、ラップを使って磨きましょう。
また、細かい部分は古歯ブラシなどを使って、水垢や黒カビを落とし、最後に水洗いし、乾いたタオルなどで拭きます。
手洗い用蛇口は元に戻してナットを軽く仮止めし、蛇口の水が出る位置をきちんと中央の穴に合わせた上で、ペンチで本締めをすれば完了です。
(2)便器の水槽タンク本体のお掃除
使用する洗剤;中性洗剤
水槽タンク本体をなかなか覗くことはないかも知れません。また、普段開けることがないので、まさか汚れているとは思わないはず。ところが、水槽タンクも、空気中に浮遊しているカビの胞子や水垢で、意外と汚れています。
水槽タンクのお掃除をするために、流水のレバーを回し、一旦タンクを空にします。
次にバケツに水で薄めた中性洗剤を使い、ブラシでタンクの中をお掃除します。このときに、洗剤を原液で使うと、すすぎが大変になるので、水で薄めた洗剤を使用しましょう。
カビは、空気中に触れていた部分に付着しているので、手の届く範囲が汚れているはずです。
その部分はブラシかスポンジを使って、同じように水で薄めた中性洗剤で落としていきましょう。
タンク内部のすすぎは、止水栓を開けたときに水を数回流せばすすげますが、空気中に触れている部分はタンク内の水に浸からないので、洗剤成分を落としたスポンジにたっぷりと水を含ませて、部品を撫でるようにしてすすぎ作業をします。
最後に水槽タンクの手洗い用蛇口裏の水を出すパイプと、タンク本体の水が出るパイプをしっかり合わせて、フタを乗せます。
■3、便器ボウル
(1)さぼったリング
使用する洗剤;研磨剤
便器ボウルの部分の汚れは、まず目につくのは通称「さぼったリング」と言われる水が溜まっている付近の黒ずみではないでしょうか。
普段のお手入れであれば、中性洗剤で十分ですが、今回は便器にこびりついた、頑固な汚れの場合のお掃除方法です。
さぼったリングは主に、カビやホコリ、また水道水に含まれている鉄分が混じったりして付着します。
この部分は、溜まっている水を少なくしてから、研磨剤で洗いましょう。
水を抜く方法は、紙コップなどで汲み上げる方法がありますが、灯油ポンプでくみ上げてもOK。もし自宅にラバーカップがあるのであれば、それを使って水を抜くのが一番簡単かも知れません。
次にジフなどの研磨剤を汚れ部分に付けて、洗います。
水槽タンクのところで紹介したように、30センチほどに切ったラップを折りたたんで、ラップで研磨剤を伸ばすようにこすり洗いしましょう。
もし、時間があるようであれば、便器に研磨剤を付けてから、トイレットペーパーなどで30~60分ほど湿布をしてから掃除すれば、汚れ落ちが楽になるでしょう。
さぼったリングを研磨剤でお掃除した後は、次に使う洗剤成分と混じらないように、しっかりとすすぎましょう。
このときはまだ、便器近くの止水栓が止まっているはずです。バケツを使ってすすぐのもおススメですが、止水栓をドライバーで開ければ、流水レバーで水を流してすすぐことも可能です。
マイナスドライバーを使って、反時計回りに回せば止水栓が開きます。
その場合は、水槽タンクのフタが確実にはまっていることを確認してから、レバーを引きましょう。
最後に止水栓を、マイナスドライバーを使って時計回りに回し、もう一度閉めることをお忘れなく!
(2)便器ボウル淵裏の尿はね
使用する洗剤;酸性洗剤(サンポールなど)
次に一番頑固な汚れともいえる、便器の縁裏の尿石落としです。
ここは、酸性洗剤をトイレットペーパーで湿布する作業があるので、2-(1)の便器に付いたさぼったリングのお掃除で、「洗剤成分がきちんとすすがれていること」と「便器近くの止水栓がきちんとしまっていること」を確認しましょう。
まずは、便器の縁裏に溜まった尿石に、サンポールなどの酸性洗剤を吹き付けます。
次にトイレットペーパーを、便器の縁裏にぎっしりと詰め込んで、その上からさらにサンポールを吹き付けます。
便器の縁裏に、トイレットペーパーでサンポール湿布をしたまま1時間ほど放置しますが、途中で乾かないように、時々サンポールを吹き付けましょう。
トイレットペーパー湿布ではなく、キッチンペーパー湿布の方が、頑丈そうですが、間違って便器に落ちてしまったら、便器のつまりの原因ともなるので、トイレットペーパー以外のものを使う場合は、その紙がトイレに流れてしまわないように気を付けましょう。
1時間ほど放置したあとは、湿布を外します。キッチンペーパーなどを使った場合は、便器に流さず、確実に燃えるゴミとして回収しましょう。
湿布を取ると、しつこい黒ずみも真っ白になっているはずです。
止水栓を開けて、レバーを回して水を流し、酸性洗剤をすすぎ切ったならば、再度止水栓を止めて、仕上げにメラミンスポンジで湿布をした部分を磨きましょう。
■4、便座のお掃除
使用する洗剤;酸性洗剤(サンポールなど)
便器の汚れで一番目につく汚れが、便座の裏側です。
便座裏の汚れも、便器の淵裏と同じ、尿はねによる尿石がこびりついたものです。
便座の裏は、便座を跳ね上げてサンポールを着けてお掃除します。
サンポールは垂れやすいので、トイレットペーパーを数枚重ね、サンポールが垂れてくるのを、トイレットペーパーで受け止めて、トイレットペーパーにしみこませてから、汚れ部分に貼り付け、湿布していきましょう。
便座は樹脂でできているので、酸性洗剤で長時間湿布すると変質の心配もあります。
ここでは湿布は5分ほどにしたら、そのまま湿布で汚れを拭き取り、洗剤成分が残らないように水拭きします。
■5、便器の外側のお掃除
使用する洗剤;中性洗剤
便器の淵裏などを湿布している間に、便器の外側と周囲の配管もお掃除しておきましょう。
便器の外側は、中性洗剤を使って簡単に拭くことが出来ますが、肝心なのは、便器と床の狭いスキマです。
ここには意外と、尿などがつたってたまりやすい部分でもあり、トイレの臭いの原因にもなっています。
狭いスキマですので、綿棒などに中性洗剤をしみこませて掃除するとよいでしょう。
汚れが頑固なようであれば、古歯ブラシを使いましょう。
仕上げに、水で濡らして固く絞った雑巾で拭きあげましょう。
便器が汚くなる原因とは
・床のシミ、尿はねが原因のアンモニア汚れ
フローリングなどの木質系の床の便器脇のシミは、尿はねしたアンモニアが原因です。
もし尿はねした場合は、放置せず、すぐに拭き取りましょう。
・水垢の汚れ
水垢には、水道水を流した後、そのまま乾燥すると、水中の成分であるカルシウムやマグネシウムが残り、白っぽい汚れとなります。
水をかけるとキレイになったように見えますが、乾くとまた現れてきます。
また、いつも水が流れているところに発生しやすい茶色系の水垢は、こびりついている訳ではないので、こすればすぐに落ちます。
・ピンクの汚れはバクテリア
便器の内側や、手洗い器についているピンク色の汚れは、さまざまな汚れを栄養源にして繁殖したバクテリアです。
栄養源となる汚れを根こそぎ絶たない限り、すっと増え続けます。
・こわーい黒ずみは、カビ汚れ
便器の黒ずみは、カビなどの微生物。目で確認できないような狭いスキマにも入り込んでしまうと、ガンコなよごれとなり、キレイにするのが難しくなってしまいます。
汚れをきれいに取るオススメグッズ
・尿石、水垢、水道水のカルキには酸性洗剤
「サンポール」や、「トイレのルック」は昔から家庭にある、トイレ用洗剤のベストセラーです。
他の洗剤では落とせない便器の汚れをバッチリ落としてくれます。
ただ、洗剤の成分配合の割合により、PH(ペーハー、酸性・中性・アルカリ性を数値で示したもの)が異なりますので、他の商品と一緒に取り扱うには、注意が必要です。
特に、アルカリ性のものと混ぜると、体に有害なガスが発生してしまうので、酸性洗剤を使うときは単独で使い、酸性の洗剤成分が残らないように、すすぎをしっかりしましょう。
尚、酸性成分がしっかりなくなっていれば、他の洗剤も使用することが可能です。
・意外とオールマイティ、メラミンスポンジ
今や、水回りのお掃除には定番となっているメラミンスポンジ。
便器回りのお掃除で、洗剤でも落ちない汚れのお掃除に重宝します。
汚れを落とすのに、少し時間がかかるかも知れませんが、便器や便器回りの部品に傷がつきませんし、洗剤の使い方を気にせずお掃除できるので、安心です。
・奥の手! 確実に汚れが落ちます、耐水サンドペーパー
どうしても落ちない汚れに対しては、サンドペーパー(紙やすり)が有効です。
便器に傷がつかないように、耐水サンドペーパーでお掃除する場合は、1,000~1,500といった細かい目のものをチョイスしましょう。
ただし、耐水サンドペーパーでの汚れ落としは、目の細かい紙やすりで汚れをこすり落とす作業となります。
便器のコーティングなどに傷がつかない保証はありません。また、便座などの樹脂でできた部品には傷がつきます。
傷がつく可能性があっても汚れを落としたい場合のみ、使うようにしましょう。
・軍手を使って便器をお掃除
便器の汚れは淵裏など、見えにくい部分が多いです。
ブラシやスポンジを使う代わりに、ゴム手袋の上に、軍手をはめて洗えば、直接指で汚れを確認できますし、何よりも便器の細かな部分まで洗えます。
洗剤用の軍手と、仕上げ拭き用の軍手と分けて使うのもアリですね。
毎日できるお手入れのコツ
便器周りをキレイにキープするコツは、何と言っても、「その時拭き取る! 」ということに尽きるでしょう。
極端に言えば、トイレに入る度にそれぞれが意識して、大まかな部分を拭いていれば、ガンコな汚れやニオイを防止することにつながります。
便器に汚れがこびりついてしまうと、選ぶ洗剤の種類も多くなり、お掃除も大掛かりになります。
そうなる前に、面倒でも普段のちょっとしたプチ掃除で、便器掃除をラクにしちゃいましょう。
毎日お手入れするには、手軽なものはズバリ、「トイレ用拭き取りシート」です。
拭き掃除をするだけで便器やトイレ全体の消毒ができ、使用後はそのままトイレにポイ! っと流せます。
トイレを使った後に、トイレ用拭き取りシートで便器全体を拭き取り、便器の淵裏や便器と床のスキマなども拭きましょう。
便器を本格的にお掃除した後ならば、汚れはさほど気にならないと思います。
しかし、そのまま放置した後のニオイや労力を考えれば、トイレ用拭き取りシートでさっと拭くことを、家族全員で習慣化してみてはいかがでしょうか?
尚、トイレタンクの中・便器の淵裏・便器の水が溜まっている部分は、普段のお掃除が特に難しい部分ですので、本格的な掃除の際に、重点的に行いましょう。
まとめ
今回は、おトイレの中でも特にガンコな汚れの便器のお掃除について、説明しました。
汚れがこびりつくと、それぞれの汚れに応じた洗い方に気をつけなければいけません。
今回、本格的に便器をお掃除したならば、これからの便器のお掃除を簡単にするためにも、ちょっとした日々のお手入れを欠かさず試してはいかがでしょうか。