今や日頃の生活に欠かせないエアコンは、熱中症予防や、花粉症予防などの他、日々の暮らしを快適に過ごすために欠かせない家電製品の一つです。けれど、久しぶりにエアコンをつけてみるとなんだか嫌な臭いが漂ってきた……そんな経験はないでしょうか?
どうしてエアコンから嫌な臭いがしてくるのでしょうか? 今回は、そんなエアコンの臭いの原因と、解決法、予防についてのお話です。
エアコンの臭いの原因
エアコンそのものには臭いはないはずなのに、久しぶりにスイッチを入れると何とも言えない嫌な臭いが……
エアコンの嫌な臭いは、車や飲食店など自宅以外のスポットでも経験することがあるもの。エアコン自体ではなく、エアコンが吹きだす空気が臭っているのです。
冷房運転時のエアコンは、部屋の空気を吸って冷やしてから吐き出しているので、部屋の空気と一緒に部屋のホコリも一緒に吸い込みながら冷やした空気を吐き出すことを繰り返しているということになります。
そして冷房運転時のエアコンは、エアコンの中で常に空気を冷やしています。この冷やしている作業により、急激な温度差が生じて結露が発生してしまいます。この結露が後々カビの温床となり、エアコンの吸い込んだ部屋のホコリや汚れでエアコンの中にカビが大繁殖してしまいます。
■原因は…… カビ・タバコ・料理・人の汗やペットの臭い
エアコンの臭いの原因はズバリ、エアコン内の結露とホコリで発生するカビ、タバコ、調理の油や食品の臭い、人の汗やペットの臭いです。室内の空気を常に循環させているので、お部屋に漂う生活臭と、エアコン内部で発生したカビが、嫌な臭いの原因となるのです。
ホコリと一緒にお部屋の生活臭を吸い込み、吐き出して……を繰り返し、そのうちエアコン内で繁殖したカビの胞子とともに部屋中を循環するという繰り返しが発生してしまうのです。
嫌な臭いを解決する方法
エアコンの臭いの原因は、カビ・タバコ・料理・人の汗やペットの臭いならば、どうすれば撃退できるでしょう。エアコンから嫌な臭いが漂ってしまったら……
その解決法をいくつか考えてみましょう。
■エアコンをお掃除してカビと臭いを撃退!
真っ先に思いつくのはエアコンのお掃除ではないでしょうか?
エアコンは確かに精密な家電製品ではありますが、コツさえつかめば誰でもキレイにすることが可能です。けれど、エアコンのお掃除はすぐには終わりません。1時間以上かかるので、時間があるとき行いましょう。
尚、エアコンの洗浄剤などが市販されていますが、今回は初心者でもできる、安心で安全なお掃除方法をご紹介いたします。
≪準備するもの≫
・椅子や脚立など安定した足場になるもの
・雑巾、割りばし、ボロ布、綿棒、古歯ブラシ
・中性洗剤(重曹もおススメ)
・バケツなど
・軍手かゴム手袋
・マスク
・掃除機
※金属部分に不純物が付着してしまうと逆にカビのもとになってしまうので、中性洗剤や重曹を使う際は、霧吹きなどのスプレーは使用しないようにしましょう。
1、環境の準備と身支度
エアコンに体重を掛けると水漏れや故障につながります。お掃除の最中、無理な体制とならないよう、まずは安定した足場を整えましょう。誰かに足場を押さえてもらうのもいいかも知れません。
次に、感電や誤運転を防止するため、必ずコンセントを抜き、怪我防止のため軍手かゴム手袋をしましょう。また、カビを吸い込んでしまわないようにマスクもつけましょう。
2、いよいよカビを撃退! 吸い込み面のお掃除
エアコンの外部を雑巾などで拭いたら、全面パネルを開けて裏をチェックしましょう。ところどころにある黒い汚れがエアコンの臭いの原因のひとつ、カビです。中性洗剤を薄めた水で雑巾を濡らし、固く絞り汚れを拭き取りましょう。中性洗剤の代わりに重曹を使うと、臭い予防の効果もアップします。
次にフィルターですが、部屋にホコリが舞い散ることを防ぐために、先にフィルターがエアコンに付いたまま、表面のホコリを掃除機で吸い取りましょう。
続いて、フィルターをゆっくりと外し、掃除機で室内側についていたホコリを吸いとります。このとき、反対側(エアコン側)から吸い取らないように注意しましょう。反対側から吸い取ると、フィルターが目詰まりしてしまい、ホコリが落ちにくくなってしまいます。
フィルターのホコリが取れたら浴室のシャワーなどで水洗いします。シャワーは掃除機とは逆の面の順番でかけたほうが、汚れが落ちやすいです。このとき、汚れがひどいようだったら、古歯ブラシなどを使って、薄めた中性洗剤や重曹などで洗いましょう。洗剤を使ったら必ずきれいにすすぎましょう。
すすいだら、フィルターを乾燥させます。臭いの原因であるカビには湿気は厳禁! フィルターが完全に乾いてから元に戻すことを意識しましょう。
3、空気の出口もキレイにしましょう!
次に、カビの胞子の出口でもあるエアコンの吹き出し口を、固く絞った雑巾で拭きます。このとき気を付けたいのが、水気厳禁のセンサーや金属部分には触らないこと。故障の原因にもなってしまうので触れないようにしましょう。
エアコンの風の方向を変えてくれるルーバーは、手で軽く回してみて、動けばルーバーの向きを変えながら拭き掃除が出来ますが、動かないようであればば無理をせず、見える部分だけを拭きましょう、細かい部分の作業なので、割りばしに布を巻き付けたものや、綿棒などを使うのもおススメです。
ここでも、奥の金属や部品には触らないようにしましょう。
4、仕上げは乾燥第一! 洗剤成分を残さないで
全体を拭き終えたら、水で固く絞った雑巾で仕上げ拭きをします。洗剤などの成分を残さないように意識して拭きます。このとき金属部分にカビを発見しても、無理な掃除は禁物。精密機器はとてもデリケート。内部は専門業者にお任せしましょう。
フィルターが完全に乾いたら、エアコンに取り付け、全面パネルを閉じたらコンセントを入れて1時間以上たってから、30分ほど送風運転をしてエアコンの内部をしっかり乾燥させます。
5、おまけ
エアコン本体をお掃除したら、リモコンもきれいにしてみませんか? 誤ってスイッチが入ってしまわないように、乾電池を抜いてから固く絞った雑巾で拭きましょう。ボタン周りの溝などは、つまようじを使うときれいになります。
頑固な汚れは消毒用エタノールを使うと簡単にきれいになります。綿棒などに少しだけしみこませて拭いてみるといいでしょう。
■エアコンの臭いの原因、タバコやペット、料理の臭いには?
室内でタバコを吸っている場合、どうしてもフィルターのホコリにヤニなどが付着してしまい、エアコンの嫌な臭いが倍増すると言えます。この場合、こまめにフィルターをお掃除しましょう。
市販のエアコン用フィルターを重ね付けするのもいいでしょう。しかし、それだけで安心せず、フィルターのお掃除も欠かさず行いましょう。フィルターだけのお掃除であればすぐに終わるので、毎週曜日を決めて行うのも良さそうです。このときでも、完全に乾いてから戻すことをお忘れなく。
■時間がない! 緊急時に臭う時は……
エアコンの掃除をする時間がないのに、ママ友が遊びに来た! そんな緊急時のお助けグッズは『トイレ用消臭スプレー』です。汚いように感じるかも知れませんがアノ臭いを消臭するほどですから、効果は絶大です。ピンチの時にお部屋にひと吹き! 是非試してみたください。
■プロの掃除で徹底的に
多少お金はかかりますが、プロに頼めば安心です。
「フィルターって何?」
「取り扱い説明書があっても、部品の外し方や組み立て方も不安……」
「何よりもエアコンを徹底的に掃除して、臭いを無くしたい!」
そんな場合も、エアコンクリーニング業者に依頼するのも良いでしょう。
臭いの予防策
せっかく時間をかけてお掃除したのですから、これからは出来るだけエアコンの臭いを予防したいもの。効果別に見てみましょう。
■1、エアコン内の湿気を防いでカビ予防
臭いの原因のカビのモト、結露の防止策として、吸い込む空気と吐き出す空気の温度差をできるだけなくすために、冷房は設定温度を高めにしてみませんか? 臭い予防だけでなく、節電効果も上がります。
また、知らないうちに部屋の湿気や舞い散るホコリがエアコンに入ってカビが繁殖しているかも知れません。エアコンのカビの予防で、使わない時期も月に1度は送風運転をして、エアコン内を乾燥させ、臭いを防ぎましょう。
■2、換気でお部屋の生活臭を防ぐ
こまめに窓を開けて部屋を換気し、臭いのモトであるカビの原因のホコリや料理や汗の臭い、生活臭を出来るだけ少なくしましょう。消臭スプレーはあくまでも臭いを消しているだけで、カビ防止にはなりません。しっかり窓を開けて換気をしましょう。窓がいくつかあるお部屋は、全ての窓を開けて風通しを良くしましょう。
■3、エアコンに生活臭を吸わせない
エアコンをフル稼働させている時期でも、スイッチを入れたらエアコン内のカビや臭いを追い出す意味で、10分ほど換気を行いましょう。室内の空気が嫌な臭いの原因です。部屋の空気をできるだけ清潔にすることが、嫌な臭いの予防のコツと言えそうです。
■4、放熱板の殺菌
臭いの原因のカビは、エアコン内部の放熱板にもたくさん潜んでいます。送風機能がなくても、暖房をかけることで殺菌出来ます。25℃くらいに設定し、窓を開けて換気をしながら30分ほど暖房をかけましょう。
ニオイ対策につかえるアイテム
■エアーダスター
デジカメやパソコンのキーボードなど、電子機器のお掃除に使う空気のスプレーなので、エアコンの気になるスキマのホコリや汚れに安心して使えます。
様々なメーカーから発売されていますので、お気に入りのひとつを見つけてみてはいかがでしょうか?
エレコムELECOM ダストブロワーECO(エアダスター)350ml AD-ECOMT逆さ使用可
■エアコン用カビよけボックス
2016年に発売されたナチュプラスの『エアコン用カビよけボックス』は、エアコン本体の吸い込み口に直接取り付ければ、カビの内部発生を3ヵ月間抑えるというスグレモノ。
ユーカリやオレンジ、ヒバなどと言った植物精油を中心とした天然由来の成分を放出することで、カビの発生を抑制します。お部屋のインテリアに溶け込むよう、手のひらサイズでシンプルなデザインです。
エアコン用カビよけボックス
■エアコンのホコリ集めてポイ
エアコンの吸い込み面に貼るだけで、エアコン内部に侵入する汚れを防いでくれる、桐灰化学の『エアコンのホコリ集めてポイ』。部屋のホコリや花粉、タバコのヤニなどを防ぐとされています。
幅80cm×高さ40cm以内の壁掛け式エアコンに使用できます。1~2ヵ月を目安として、汚れたらはがして捨てるだけの手軽さや、リーズナブルな価格で人気です。
エアコンのホコリ集めてポイ
¥ 602 (2017/08/22 時点)
エアコンの吸い込み面にマジックテープで貼り付けるだけのお手軽さと、ニコチン・ホコリをがっちりキャッチしてくれるところが嬉しい。
■すきまノズルⅡ
4種類のノズルがセットになった、コジットの『すきまノズルⅡ』は、ご家庭でこれまで諦めていた細かいスキマや手の届かなかったところのお掃除に最適。自前の掃除機に簡単に装着して使えるので、エアコンのホコリも簡単にお掃除が出来ます。
ハンディクリーナーにも使用できるので、女性でもラクラクエアコン掃除が出来そうです。エアコンだけでなく、窓のレールやタンスの裏などにも使えるので一家に1セット用意しておくのも良さそうです。
すきまノズル2
まとめ
エアコンの嫌な臭いは、アレルギーやアトピーが悪化するとも言われています。嫌な臭いは雑菌の繁殖のサイン! お掃除のチャンス! 思い切ってお掃除にチャレンジして見てはいかがでしょうか。