お部屋の空気をきれいにしたい、そう思ってスイッチを入れると空気清浄機から嫌な臭いが。加湿器がついている空気清浄機は、乾燥が気になる冬場には適度な湿度ときれいな空気を送り出してくれるからとても重宝します。
でも、この臭いはカビが原因かもしれません。もし、空気清浄機内にカビが繁殖すると、気づかない間にどんどん繁殖していきます。そして、さらに病気の原因になることがあるとも言われています。
でも、どうすればカビの臭いを撃退できるの? そのような疑問をお持ちのあなたに、ここでは空気清浄機をカビさせないコツをご紹介するだけでなく、加湿器と併用する時の注意点についてもご紹介します。
空気清浄機がカビる原因2つ
空気清浄機がカビる原因は、以下の2つといわれています。
・フィルターの汚れ
・加湿運転用の水
この2つが空気清浄機のカビる原因になるのか、詳しくお伝えしていきます。
空気清浄機がカビる原因|その1 ■①フィルターの汚れはカビの栄養分
空気清浄機のフィルターは、お部屋の空気に含まれる目に見えないようなチリやゴミ、PM2.5といった体の中に入ると健康被害を起こすような細かな粒子物質をキャッチしてくれます。ただ、フィルターはこれらの汚れをキャッチするだけで、汚れを分解する働きはありませんから、そのままにしておくと汚れはフィルターにどんどんたまっていきます。
そして、フィルターにキャッチされた汚れの中には、カビの胞子も含まれています。カビの胞子はあらゆるものに付着します。付着すると早ければ数時間後には発芽するといわれています。ですから、フィルターに汚れが溜まっていると、あっという間にカビが増えてしまうということにもなりかねません。
空気清浄機がカビる原因|その2 ■②カビの生えやすい条件がそろっている
ここで少しカビが繁殖する条件をお伝えします。カビが繁殖する条件は3つといわれています。
・湿度
・温度
・栄養
湿度は60%以上になると繁殖ができるようになります。80%を超えると爆発的に繁殖力が高まり、100%でも繁殖できるといわれています。ですから、たまり水や水滴があると空気清浄機内の湿度が高まる原因となり、カビは繁殖しやすくなります。
温度は5℃~45℃で繁殖するといわれていて、20℃を超えると繁殖力が高まります。もっとも繁殖力が高まるのは28℃前後とされています。空気清浄機は私たちが快適と感じる温度で利用されますから、カビにとっても快適な温度になり、繁殖しやすい環境になります。
栄養は汚れやほこりがあれば繁殖ができます。さらに塗料なども栄養とすることができるといわれていますから、空気清浄機内に汚れやほこりがあると、カビは繁殖できると考えておいていいでしょう。
【加湿運転用の水にも注意が必要】
加湿運転用の水は、空気清浄機の底面に溜まっていることが多いでしょう。先にご紹介しましたが、カビは湿度100%の場所でも繁殖します。お風呂や洗面所の排水溝のヌメヌメもカビの一種といわれていますから、加湿運転用の水が溜まっている所にもカビは繁殖すると考えられます。
このように、空気清浄機がカビる原因は、フィルターの汚れや加湿運転用の水が溜まっていることが原因になります。
空気清浄機のカビ|加湿器との相性は?
空気清浄機と加湿器を同時に使うことは避けたほうがいいのでしょうか。空気清浄機には加湿機能が搭載されたものが多くあります。なぜ加湿機能が搭載されるようになったのか、その目的は、空気中のほこりやちりが舞い上がるのを抑制するということでした。ですから、加湿器と相性が悪いということはありません。
さらに加湿器は、お部屋の湿度を適度に保ち、ほこりやちりが舞い上がることを抑制するだけでなく、インフルエンザウイルスの活動を抑制する、髪の毛やお肌の乾燥を防ぐという働きもあるといわれています。
ただ、加湿器も使い方によってはデメリットもあります。デメリットとして一番にあげられるのは加湿のしすぎです。加湿のしすぎは湿度が高くなり、カビの繁殖の原因の1つになります。
カビが繁殖する原因は先にお伝えしたように、湿度、温度、栄養です。加湿のしすぎによって部屋の湿度が高くなり、空気清浄機のフィルターなどにほこりやちり、汚れなどが溜まっているとカビが繁殖しやすい条件になります。
つまり、空気清浄機と加湿器は、もともと相性はいいのですが、フィルターなどの掃除がしっかりと行われていないと空気清浄機内のカビの繁殖の原因となってしまいます。空気清浄機と加湿器のメリットを引き出すためには、空気清浄機のフィルターなどの掃除をしっかり行うことが大切です。
空気清浄機と加湿器の相性は悪くない、ただ、使用状況によってはカビの繁殖の原因になりますから、相性が悪いとまでは言えませんが使い方に注意が必要といえるでしょう。
空気清浄機のカビを除去する掃除のコツ5つ
空気清浄機はお手入れをしないで使っているとカビが繁殖してしまいます。量販店の方のお話で、空気清浄機の内部にカビが繁殖してしまうことがあるそうです。このような状態になると、フィルターを清掃したり交換したりしても、なかなかカビを退治することはできず、買い替えするしかなくなるようです。このようなことにならないためにここでは空気清浄機をかびさせないコツを5つご紹介します。
・フィルターを清潔に保つ
・加湿機能部の水に注意する
・クエン酸を使う
・交換サイクルに注意する
・使わない時に注意すること
この5つが空気清浄機をカビさせないコツです。1つずつご紹介します。(ここではダイキンの空気清浄機を例にしてご紹介します)
空気清浄機のカビを除去|掃除のコツ1 ■①フィルターは清潔に保つ
空気清浄機の吸い込み側にはメーカーによって呼び名は変わりますが、「プレフィルター」「集塵フィルター」「脱臭フィルター」が装着されています。これらのフィルターを清潔に保つことが空気清浄機のカビさせないコツになります。
この3つの中でお手入れが特に大事なのがプレフィルターです。プレフィルターが汚れると、吸い込み能力が下がりますから空気清浄機の能力低下に直結します。ですから、プレフィルターはできるだけこまめにお手入れをすることが大切です。
【プレフィルター】
プレフィルターのお手入れは、ダイキンの取扱説明書では約2週間に1回とされています。これは一般的な目安ですから、交通量の多い道路が近くにある、タバコを吸う方がいる、ペットがいるといった場合は、もっと短いサイクルでお手入れする必要があります。1週間、早ければ数日で汚れが目立つという場合もありますから、プレフィルターが汚れていないかチェックする回数を増やしましょう。
プレフィルターのお手入れ方法は、掃除機で溜まったちりやほこりを吸い取る、汚れが目立つときは水洗いをします。お掃除のついでに空気清浄機のパネルを外してフィルターの汚れをササっと吸い取るようにしておくといいのではないでしょうか。
【集塵フィルター】
集塵フィルターはお手入れができません。ですから、定期的な交換が必要になります。取扱説明書には交換時期は10年と書かれていますが、これは1日タバコ10本で、毎日使用した場合です。ほこりやちりが多い、タバコをもっとたくさん吸うといった場合は交換時期が早まります。例えばタバコを20本数場合でしたら、単純に5年で交換ということになります。
このフィルターは色が変わっても性能は変わらないとされていますので、見た目で交換時期を知ることは難しいでしょう。ですから、早め早めの交換が大切といえます。
【脱臭フィルター】
脱臭フィルターのお手入れは、掃除機で汚れを吸い取ります。臭いが気になるときは、掃除機で汚れを吸い取るだけでなく、霧吹きで表面に水を振りかけ日陰で干すとされています。この時注意したいことは、しっかりと1日かけて乾燥させるということです。少しでも水分が残っているとカビの繁殖の原因となります。できれば天気が良く、風のある日に行うと良く乾きますから、そのような日を選ぶほうがいいでしょう。
空気清浄機のカビを除去|掃除のコツ2 ■②加湿機能部もしっかり掃除
加湿機能部で注意することは水です。水はカビが繁殖する原因の1つとなりますから、お手入れには注意が必要です。
空気清浄機のカビを除去|加湿機能部の掃除 ①水タンクは毎回水洗いする
加湿に使う水を入れる水タンクは、給水のたびになかを水洗いし、ほこりやちりを取り除きます。タンクに入っている水を捨て、新たに少し水を入れてキャップを占め、上下に振ります。ただ、これだけですが、タンク内に残ったほこりやちりを少なくすることができます。洗いに使った水を捨て、新たに水を入れて給水を終わります。最後に水タンクの外側をきれいに拭いて、水滴が残らないようにします。ちょっとした水分でもカビは繁殖できますから、しっかり拭き取ることが大切です。
水タンクの表面に汚れがあるときは、台所用の中性洗剤を含ませた柔らかい布できれいにします。汚れもカビの栄養分となりますから、汚れが目についたら早めにきれいにしましょう。
空気清浄機のカビを除去|加湿機能部の掃除 ②加湿トレーのお手入れ方法
加湿トレーのお手入れの頻度は、1か月に1度、もしくは臭いや汚れが気になるときとされています。ただ、加湿トレーは水が溜まっていることがありますから、ぬめりなどが無いか、こまめにチェックするといいでしょう。ぬめりはカビの1種とも言われていますから、早めに対処することで、カビの繁殖をおさえることができます。
お手入れをする際は、水でサッと洗うだけでなく、細部も使い古しの歯ブラシや柔らかい布を使って汚れを落とします。汚れを落としたら、水滴などが残らないように丁寧に吹き上げます。
加湿トレーの外側に水滴が残っていると、空気清浄機の内部に水分が残ることになります。
空気清浄機のカビを除去|加湿機能部の掃除 ③加湿フィルターのお手入れ方法
加湿フィルターのお手入れは1か月に1度、もしくは臭いや汚れが気になるときとされています。お手入れ方法は、台所用の中性洗剤を入れた40℃以下のお湯に30分~60分つけおきします。つけおきした後は、中性洗剤を十分にすすぎます。
加湿フィルターはずっと使えるものではなく、交換が必要です。交換の時期は10年といわれていますが、1日8時間運転して6カ月使用、定期的にお手入れをした場合という条件があります。もし、1日に16時間運転していたら、単純に考えて5年で交換ということになります。
24時間つけっぱなしというご家庭でしたらわずか3年で交換時期になります。使い方によって交換時期は大きく変わりますから、できれば早めに交換するというほうがいいのではないでしょうか。
空気清浄機のカビを除去|掃除のコツ3 ■③クエン酸を使う
加湿機能部の汚れが台所用中性洗剤で落ちない場合は、クエン酸を使います。加湿機能部のしつこい汚れの原因の多くは水垢といわれています。水垢はアルカリ性の汚れです。アルカリ性の汚れは、中性洗剤では落ちにくい汚れとされていますから、酸性のクエン酸を使い、汚れを中和しきれいにします。
クエン酸を使ってお手入れをするのは、加湿フィルターと加湿トレーです。加湿フィルターの場合、取扱説明書では40℃以下のお湯3リットルにクエン酸大さじ2杯(約20g)を入れ、2時間つけおきにするとされています。汚れが落ちない場合は延長します。ここで一つ、もし落ちなかった場合、つけおきするお湯をもう一度作り直すほうが効果を期待できます。クエン酸は温度によって効果に差が出ますから、冷たくなったものにつけおきをするより効果が出やすいでしょう。
加湿トレーは、クエン酸をとかした40℃以下のお湯をひたした柔らかい布や使い古しの歯ブラシできれいにします。この時のクエン酸の濃度は、説明書には書かれていませんでしたが、加湿フィルターのつけおきするときの濃度と同じくらいがいいでしょう。
クエン酸は、酸性ですから、金属部分を腐食する可能性があります。お手入れが終わったらしっかりとすすいで、クエン酸が残らないようにします。
お手入れの時、汚れが落ちにくいからと漂白剤などを使うのは避けましょう。製品の材質によっては変色や変形の可能性があります。取扱説明書に使用できると書かれているとき以外は、漂白剤など強い酸性の洗剤は避けるほうがいいでしょう。
空気清浄機のカビを除去|掃除のコツ4 ■④フィルターの交換サイクルに注意
さきにもご紹介しましたが、集塵フィルターや加湿フィルターなどは交換サイクルが決められています。ただ、使用状況によっては交換時期が早まることがありますから、こちらも先にご紹介しましたように、1日の運転時間や部屋の空気の汚れなどを日頃から確認しておくことが大切です。
空気清浄機のカビを除去|掃除のコツ5 ■⑤使わない時の注意点2つ
空気清浄機のカビ除去|使わないときの注意点1 ①加湿機能部分
水タンクと加湿トレーの水を捨て、加湿フィルターも含めてお手入れをします。そのご、日陰でしっかりと乾かします。
空気清浄機のカビ除去|使わないときの注意点2 ②空気清浄機部分
空気の取り入れ口などの埃を掃除機などできれいに吸い取ります。汚れがあれば、きれいに拭き取り、外側だけでなく本体内部も日陰でよく乾かします。
しっかりと乾いたら、吹き出し口などにほこりが溜まらないようにビニール袋などを被せ、湿気の少ないところで保管します。
もし、お手入れをきちんとしない、水分が残っていると、保管している間にカビが繁殖してしまう可能性があります。久しぶりに使ったら、カビの臭いがすごかったということにならないためにも、長期間しまっておくときは、しっかりとお手入れをして、きっちり乾燥させましょう。
空気清浄機のカビを放置すると…
空気清浄機のカビを放置すると、嫌な臭いだけでなく病気の原因となることもあります。カビが引き起こす病気で身近なものとして「夏型過敏症肺炎」があります。
この夏型過敏症肺炎は、痰を伴う咳や発熱など風邪に似た症状から始まるとされています。夏風邪をひいてしまったという場合は、夏型過敏症肺炎の可能性もあります。
夏型過敏症肺炎は、酵母カビの1種トリコスポロンで、このカビの胞子を吸入すると、6時間から8時間経つと咳や発熱、呼吸困難がおこるとされています。ただ、夏型過敏症肺炎の特徴として症状が出た場所を離れると症状が治まるということがあります。
「夏風邪のようなもの」と甘く見ていると、入院そしてステロイドを使った治療が必要となる場合もあります。
このほかにも、カビは気管支ぜんそくやアトピーの原因になるとも言われています。少し臭いが気になるけれどもまだ大丈夫だろうと放っておくと、病気の原因になることもあります。
また、空気清浄機内にカビがたくさん繁殖すると、いくらお手入れをしてもカビ臭さがとれないということもあります。このような状態になると、空気清浄機を買い替なければならなくなります。
カビを放置すると、健康だけでなく経済的にもデメリットがありますから、カビを繁殖させないために日ごろからお手入れをしっかりするほうがいいでしょう。
中田クリニック。東京都,千代田区,虎ノ門,咳喘息,病院,専門医。日本プレスセンタービル内。 呼吸器科、内科。気管支喘息、肺線維症、肺気腫、花粉症、長引くせき等の診療。在宅酸素療法、在宅人工呼吸、肺炎球菌ワクチン。www.nakata-clinic.jp / tel03-5511-7770
まとめ
空気清浄機のカビ対策についてご紹介してきました。カビ対策は5つのコツを行っていただくだけでカビ臭さなどの悩みを解決しやすくなります。加湿器と併用する時も、記事内でご紹介したちょっとしたことに気をつけていただくことで快適に利用できるようになるでしょう。