トイレの掃除のポイントは、黄ばみに代表される尿石の汚れと、ニオイです。そのため、使用する洗剤も、洗う方法も他の場所とは違ってきます。
洗面所や台所、部屋などはホコリや手垢、石鹸かすなどが汚れの主な原因ですが、トイレの場合はやはり排泄物が汚れの主な原因になります。
トイレ掃除は手早く効果的に進めたいもの。ここではトイレ掃除のコツをご紹介します。
トイレ掃除4つのコツ
ただでさえ、汚くて嫌なトイレ掃除ですが、しっかり準備をすることで気持ちも楽になり時間も短縮されます。
掃除をしている時に汚物や洗剤が、身体や目に付着するのを防ぎましょう。
ゴム手袋や、マスク、ゴーグル、髪の毛を守る三角巾などを用意しておけば、思いっきりゴシゴシ掃除できますよ。
■1 黄色い尿石汚れには酸性洗剤を使う
トイレの黄色い汚れの主な原因は、尿石です。尿の中のリン酸カルシウムやシュウ酸カルシウムが、二酸化炭素と結合してかたまったものが尿石です。尿石というと病気の尿管結石を思い出すので男性のイメージが強いですが、男性にも女性にもできます。
尿石の主な成分は炭酸カルシウムで、アルカリ性の汚れになります。アルカリ性の汚れには、酸性の洗剤が効果的です。
環境にやさしい洗剤として、重曹とクエン酸が取り上げられますが、尿石の場合はクエン酸のほうを使用します。お酢やレモン汁なども酸性です。
しかし、長年こびりついてしまった尿石は、もっと強力な酸性洗剤でないと落とすことができません。サンポールのようなトイレ専用の酸性洗剤なら、ゴシゴシしなくても簡単に汚れを落としてくれます。
しつこい汚れであれば、ティッシュペーパーに洗剤を染み込ませて、1時間ほど貼り付けておきます。時間が経ったら、ティッシュごと汚れを拭き取って、水拭きをします。
■2 便器の溝の裏側は、ゴム手袋の上から軍手をはめた手で洗う
便器の溝の裏側は、とても掃除しにくいですよね。ブラシも入りにくいし、でも何だか汚れている気がしますよね。
そういう場合に使うのが軍手です。ゴム手袋をはめて、その上から軍手をし、指にトイレ用洗剤を塗ります。そしてトイレの溝の裏をゴシゴシしましょう。軍手の繊維のザラザラは、汚れ落としによく効きますよ。
目や口に汚れが入らないように、マスクやゴーグルは忘れないようにしてください。
■3 頑固な尿石や水垢は削って取る
酸性洗剤でも落ちない汚れは、削り取るしかありません。スクレーパーやケレン棒で、かたくなった汚れを削り落とします。どちらもホームセンターで購入できますし、どちらを使っても違いはありません。
スクレーパーやケレン棒を使用する時には、便器を痛めないよう注意が必要です。グリップのある軍手やゴム手袋を使用すると、滑りにくくなります。
その次に使用するのが耐水サンドペーパーです。スクレーパーやケレン棒で削った部分は、表面がガサガサになっています。そのままだと、汚れがつきやすいので、耐水サンドペーパで表面を平らにするのです。
サンドペーパーは、汚れと一緒にわずかながら便器も削っています。削ることで綺麗になるので、あまりやりすぎないようにしましょう。サンドペーパを選ぶ時は1000番から1500番前後の粗さの違うものを3枚ほど用意すると良いでしょう。
■4 キッチンラップを使う
料理で使うラップを、便器の掃除に使用します。
・便器の手洗水が出るタンクのフタ部分
・便器ボウルから出ている吐水口
・水がたまる便器ボウル部分
これらの箇所ににできてしまった水アカを落とすのに、キッチンラップが効果的です。
水アカは、水に濡れたり乾燥したりを繰り返すとできてしまいます。
スポンジで掃除すると、スポンジに洗剤が吸われてしまって、便器部分に洗剤が塗布されません。
キッチンラップであれば、スポンジのように洗剤が座れないので、洗剤が便器にまんべんなく広がるのです。
トイレが汚れる原因とは
トイレの汚れの主な原因は尿石、汚物、水アカ、ほこり、細菌や微生物です。
多くの汚れは、それらの原因がミックスされています。
トイレの水が流れる部分や、水がたまる部分など、濡れていると洗剤の効果がなくなってしまいます。
便器の掃除をする時だけ、水道の栓を止めましょう。
トイレの壁にある止水栓を、反時計回りに回すと水がストップします。
止水栓の場所がわからなければ、家全体の水の元栓をしめます。
水栓を開ける時には、開けすぎると勢いが強くなりすぎてしまうので、水の流れを調節しながら開け閉めしてください。
■黄ばみ汚れ
便器の黄ばみの主な原因は尿石です。
強力な酸性の洗剤で落とすことができます。
便器の黄ばみ汚れは水がたまっている部分に多いので、便器の中の水を抜いてから行うと効果的です。
トイレの止水栓を止めて、一度流せば便器の中の水を抜くことができます。
なかなか黄ばみ汚れが落ちないようでしたら、湿布法という掃除方法で対処します。
便器の黄ばみ汚れの部分に、トイレットペーパーを当てます。
そして、トイレットペーパーに酸性洗剤をかけて、洗剤をしっかりと含ませます。
1時間ほどそのままにして、汚れを分解させればOKです。
■黒ずみ汚れ
黒ずみは水中のケイ素塩とカビ、ホコリ、微生物が原因です。
便器の水がたまる部分が黒くなってしまう場合があります。
これは尿石の黄色い汚れとは違う掃除方法が必要です。
水道の水の中にはケイ酸塩が含まれていて、これがカビやホコリ、細菌や微生物とくっつくことで黒ずみ汚れになります。
なかなかこすっても落ちない汚れなので、あきらめてしまいがちですが、研磨剤が入った洗剤で丁寧にゴシゴシしていきましょう。
■ピンク色の汚れ
ピンク色の汚れは空中にあるバクテリアです。
空気の中に自然にあるロドトルラという酵母菌が、ピンク色の汚れです。
トイレに限らず、台所でもお風呂でも、水を使う所であればどこでも繁殖します。
ロドトルラそのものはカビではないのですが、このピンク色の汚れがでてくる場所は、カビが生えやすい場所なので要注意です。
ピンク色と黒い汚れがミックスしていたら、これはもうカビが生えてきてしまった証拠です。
賃貸の場合は、カビを生やしてしまうと引っ越す時にクリーニング代を請求されかねません。
カビ取り剤で綺麗にしましょう。
■水アカ
水アカは、洗剤では落ちません。
水道水の中にあるカルシウムや、マグネシウムが、水が蒸発した後に残ったものが水アカになります。
カルキと言われているものも、主な成分は炭酸カルシウムです。
水アカそのものはアルカリ性で、不潔なものではありませんが、見た目には白く汚れて見えます。
これを掃除するには、酸性の洗剤を使用します。
家の中にあるものでは、酸なので酸っぱいものと言えばお酢です。
また、細菌エコ洗剤として話題になっているクエン酸も効果的です。
キレイに保つための方法
■男性も座って排尿を
男性は座って排尿することで、尿の飛び散りをおさえることができます。立って用を足すことで、便器の手前、ちょうど男性が立つ位置には1日に200滴もの尿が飛び散っています。床全体で、たった一日だけで2300滴の尿が飛び散ってしまっているのです。
用を足した男性自身も、その後に入った家族も、飛び散った尿を足や手で触ってしまっています。尿の飛び散り汚れは、座って排尿するだけで無くすことができますよ。
■漂白剤をトイレタンクに入れて黒カビ防止
黒カビ防止に塩素系漂白剤を、トイレのタンクの中に入れましょう。タンクの量にもよりますが、最初は50ml程度からはじめてみましょう。あまり効果が感じられないようでしたら、漂白剤の量を多くしていきます。あまり漂白剤を多くしても便器を痛めてしまいますので、コップ半分位の量までが適量です。
夜、寝る前に入れるのが効果的ですよ。
汚れを落とす便利道具
■キッチンラップ
料理の時に使う透明なラップフィルム、キッチンラップです。
洗剤をしっかりと便器にひろげてなじませるために使います。
スポンジの代わりに使ってみましょう。
■ケレン棒またはスクレーパー
かたまってしまった尿石を削り取るのに使用します。
ブラシでゴシゴシしても落ちなかった場合に、ぜひ試してみてください。
■使用済みの歯ブラシ
手を洗う部分の吐水口のまわりは、使用済みの歯ブラシで磨くと汚れが落ちます。
水アカはアルカリ性の汚れなので、酸性の洗剤で落としてください。
便器の水がたまる部分とは違って、尿石の汚れよりも水アカの汚れだけですので、クエン酸でも落とすことができます。
■使い古しの布
使ったら捨てるので、汚れていなければどんな布でもかまいません。
もういらなくなった服があれば、10センチ角にカットしてストックしておくと良いでしょう。
掃除が終わった後も、気がついた時に使い古しの布でタンク蓋の水を拭き取るようにすると、水アカがつきにくくなります。
ティッシュペーパやトイレットペーパーで濡れているタンク蓋を拭くと、細かくちぎれてしまってかえって散らかしてしまいます。
布のほうが使いやすいので試してみましょう。
■耐水サンドペーパー
どうしても落ちないトイレの汚れは、耐水サンドペーパで削り落とします。
これは最後の手段ですので、その前に洗剤やスクレーパー、ケレン棒など、他の方法で掃除してみましょう。
なぜ最後の手段かというと、サンドペーパーで削ることで、微細な傷を便器につけてしまうからです。
微細な傷をつけると掃除した直後は綺麗になりますが、その後はかえって汚れがつきやすくなってしまうのです。
耐水サンドペーパは、水につけて磨きます。
普通のサンドペーパーは水に濡らすと使えませんが、耐水サンドペーパは十分に水に濡らして使用するものです。
乾いたまま使ってしまうと、便器にダメージを与えてしまうので注意しましょう。
■メラミンスポンジ
100円ショップでも販売している洗剤のいらない掃除用スポンジです。
便器の外側も内側もメラミンスポンジで磨くことができますが、注意しなくては行けない便器の種類があります。
便器によっては樹脂でできていたり特殊加工していたりするので、メラミンスポンジや重曹の使用を禁止しているものがあるのです。
特にプラスチックでできていて、光沢がある部分はメラミンスポンジで磨いてしまうとツヤがなくなることがあるので注意してください。
メラミンスポンジを使う時には、カスを流してしまわないように気をつけましょう。
タンクの中に入ると故障してしまったり、排水口がつまってしまいます。
■重曹スプレー
酸性の汚れに威力を発揮するのが重曹スプレーです。
重曹スプレーは、水100mlに対して小さじ1杯の重曹を入れて完成です。
保存がきかないので、今使う分だけ作ってください。
大便の汚れは体調の良い場合は弱酸性で、肉を多く食べた時はアルカリ性になります。
重曹で落ちなければ、クエン酸でもためしてみてください。
■クエン酸
尿石など尿の汚れや水アカ汚れにはクエン酸がききます。
消臭や除菌効果もあります。
クエン酸スプレーは、水100mlに対して小さじ2分の1杯のクエン酸を入れます。
クエン酸も水に溶かすと長期保存できないので、使う分だけ作りましょう。
まとめ
少し工夫をするだけで、毎日使うトイレの居心地が変わってきます。
今回は便器を中心に掃除のポイントを解説しましたが、便器以外の場所も、ホコリやトイレットペーパーから出る紙の粉などがたまって、ドアや窓枠に積もってしまっていることもあります。
イヤなトイレ掃除を手早く効果的に終わらせるには、家族全員が自分がトイレに行った時に少しずつ掃除することです。
トイレにいつも掃除道具や、トイレに流せるタイプの掃除シートを置いておくのも良いでしょう。
トイレをリラックスできる空間にするためにも、今日から少しずつ実線してみてください。