鳩のフンは見た目も臭いも悪く、できれば近づきたくないもの。けれど、雨が降っても広がるだけで除去しきれません。
鳩のフンを放置すると、健康被害や建物への被害、悪臭や騒音によるご近所トラブルに発展するので、なるべく早くに掃除する必要があります。自分で掃除しきれない場合は、業者に依頼しましょう。
鳩のフンを除去した後は、消毒・鳩対策グッズの活用で鳩を寄せ付けない環境を作ることが大切です。今回は、その方法を解説していきます。
鳩のフンを放置する危険性4つ

「たかが鳥のフン、放っておいても大丈夫」そんな風に思っていませんか?
しかし、鳩のフンは見た目や臭いが不快なだけではなく、とても危険なものです。健康への被害と建物への被害。どちらも放置すればするほど深刻になり、命を脅かす危険性すらあります。
■病気の原因になる
鳩のフンには大量の病原菌・寄生虫・カビが含まれ、病気の原因になります。中でも、免疫力が下がっている体調不良の人や、子供・妊婦・お年寄りは重症化しやすく、後遺症が残る危険性が高いです。
特に、乳児ならヒストプラズマ症に注意が必要。カビによるこの感染症は、乳児の場合、悪化しやすいです。
また、妊娠中に注意したいのは、トキソプラズマ症。症状は軽いインフルエンザのようなものですが、流産や胎児への後遺症につながる恐ろしい病気です。
【倦怠感・頭痛・発熱などの風邪に似た症状】
・クリプトコックス症
・オウム病(クラミジア肺炎)
・鳥インフルエンザ
・ニューカッスル病
・ヒストプラズマ症
【アレルギー症状】
・鳥関連過敏性肺炎
・鳥飼病
【食中毒に似た症状】
・サルモネラ感染症
これらの病気は、フンに触らなくても乾燥して空気中に舞い上がったフンを吸い込んで発症します。乾燥したフンが粉々になると目に見えず、知らない間に吸い込んでしまうのです。
■金属・コンクリートが腐敗する
鳩のフンには、酸が含まれていて、金属・コンクリートを溶かしてしまうのも厄介なところです。車の塗装が剥げてしまうのはまだ軽い被害で、時には住宅の耐久性すら下げてしまいます。
「フンを掃除したらベランダが溶けてしまっていた」などという、恐ろしい例もあるほどです。
特に夏場の車にフンが落とされた時は要注意。高温によって、2~3時間で腐敗が始まってしまいます。
ベランダに落とされた際も、日差しによって腐敗が早まるリスクがあります。見つけたらすぐに掃除してしまいましょう。
なぜ鳩のフンがここまで強力に金属・コンクリートを腐敗させてしまうのかというと、フンと一緒に尿が排出される所為。悪臭が強い原因も、尿が混じっているためです。
特にフンの白い部分は、尿酸として排出された部分であり、強烈な酸性です。
■悪臭・害虫発生の原因になる
鳩のフンは湿っていても乾いていても悪臭の原因になります。夏には熱により、より強烈に匂います。
雨で流れていくことを期待するのは無駄なうえ、フンがあると鳩はどんどん寄ってきます。そうして集まった鳩により、さらにフンが溜まっていき、周囲にも悪臭が広がってしまうのです。
また、フンは嫌な臭いがするだけではなく、害虫のエサになってしまいます。ダニ・ノミといった寄生虫の他にも、害虫の代表であるゴキブリも鳩のフンに寄ってくる危険性があります。
一度フンによってきてしまうと、害虫たちが繁殖し駆除が大変になるため、部屋の中に侵入する前に、少しでも早い対策が必要になります。
■ご近所トラブルの原因になる
鳩のフンによるご近所トラブルは、見た目が悪いことや、悪臭が近所に広がるだけではありません。鳩はフンがある場所を安全だと判断するので、新しい仲間を呼び寄せられる危険性があるのです。
たとえ「今被害にあっているのは自分の家だけ」といった場合でも、安心はできません。大量に集まってきた鳩は早朝や夜間に大きな鳴き声を響かせ、近隣全体の安眠妨害になります。また、飛び立つ際に、バサバサという羽音も、歩き回る足音も、予想以上に周囲に響きます。
一軒家ではなく、マンションなどの集合住宅の場合、ベランダ伝いに侵入してしまうこともあるので、より危険です。
また、鳩が大量に集まるベランダ・自宅は、見た目も怖いです。鳥嫌いの人なら、近くにそんな家があるだけで相当なストレスになってしまいます。
自分のためにも、他人のためにも、鳩のフンはすぐに掃除しなければならないのです。
鳩のフンの掃除の仕方

鳩のフンは、時間がたてばたつほど取りづらく、厄介なもの。見つけ次第すぐに掃除してしまいましょう。
【掃除道具】
・マスク
・ゴム手袋
・新聞紙
・ゴミ袋
・汚れを拭き取るもの(雑巾・キッチンペーパー・デッキブラシなど)
・消毒用アルコール・エタノール
・ぬるま湯
・洗剤(ハイター・カビキラーなど次亜塩素酸ナトリウム)
掃除中に鳩のフンを吸い込むのを防ぐため、マスクとゴム手袋は必須アイテム。掃除の後は決して使い回さず、そのままゴミ袋にいれることが大切です。
道具を準備したら、できるだけ早く拭き掃除をしていきましょう。
【掃除の手順】
1.ビニール手袋・マスクを装着する
2.フンに消毒用アルコールをふりかけて柔らかくする
3.フンを雑巾・キッチンペーパーで拭き取りゴミ袋に入れる
4.拭き掃除をした部分に洗剤を吹きかけ、濡らした雑巾・キッチンペーパーで拭く
5.拭き取った雑巾・キッチンペーパーを捨てる
6.フンがあった場所をぬるま湯+デッキブラシでこする
7.ぬるま湯で洗い流す
※鳩のフンは、アルコールや洗剤で湿らせて、柔らかくしてから拭き取りましょう。掃き掃除は効果がない上に、フンをまき散らす危険な行為。絶対にしてはいけません。
【掃除後の片付け】
1.デッキブラシについたフンを洗い流す
2.デッキブラシを捨てる又は消毒する
3.使用した道具をすべて捨てる
掃除に使ったゴミ袋は、フンが舞い上がるのを防ぐために、すぐに縛ってすてましょう。
鳩のフン掃除の注意点4つ

鳩のフンは少しでも早く掃除した方が良いもの。けれど、掃除に必要な準備を忘れたり、正しい方法を守らなかったり、体調不良の時に掃除をしたりするのは大変危険です。
ここでは、鳩のフンを掃除する時に守るべき注意点を4つに分けて解説していきます。
■手袋・マスクを着用する
鳩のフンを掃除する時には、まずは厚手のゴム手袋が必須アイテム。
鳩のフンには病原菌・カビが多く潜んでいるので、絶対に素手で触ってはいけません。洗うと洗い場に菌が付着するので、そのまま捨てましょう。
ビニール製・薄手のゴム手袋でもOKですが、二重にした方が安全です。半袖ならば、ロングのゴム手袋にするなど、肌に付着しないようにする必要があります。
また、眼鏡をしているならば掃除後に除菌したほうが良いですし、裸眼ならばゴーグルを着用したほうが良いです。目から病原菌・カビが侵入するのを防ぐことができます。
次に、口をしっかりと覆うマスクの着用も大切です。なぜなら、鳩のフンは乾燥すると空気中に舞い上がってしまうので、マスク無しでは吸い込む危険性があるためです。
神経質なようですが、鳩のフンはそれだけ不衛生。使い終わった道具は放置せず、すぐに捨てましょう。
■風が強い日は掃除をしない
鳩のフンを掃除する時は、天気予報をチェックすることも大切です。風の弱い晴れた日を狙って掃除しましょう。
なぜなら、強い風は鳩のフンの中の病原菌・カビを舞い上げ、室内や髪に付着させてしまうためです。
フンがある場所の近くに扉・窓があるなら、掃除前にしっかりと閉じたか確認しましょう。それでも心配ならば、ビニールやブルーシートでカバーして、掃除後にゴミと一緒に捨てるようにすれば安心です。
また、掃除の日の雨も困りもの。鳩のフンは湿らせないととれませんが、雨でぬれてしまうと、拭き取る前にフンが広がっていってしまいます。フンを掃除した後は、フンがあった場所を消毒する必要があるので、後始末が大変になります。
鳩のフンは少しでも早く除去した方が良いですが、風が強い日や雨の日の掃除は避けましょう。