お部屋の大部分を占めるフローリング。足元にあるため、普段はあまり気に留めることが少ないかもしれません。しかし、このフローリングにワックスをかけてあげると、室内はラグジュアリーな雰囲気を放ち、お部屋のグレードがワンランク上がった気がします。あなたはこの状態を維持していきたいと感じるはずです。
しかし、毎回業者に頼むのも金銭的に気になりますし、自分でワックスがけに挑戦してみたくても失敗がこわくてなかなか踏み切れない、という方も多いと思います。実は、正しいやり方さえ理解すればワックスがけは意外と簡単。自分でもきれいに仕上げることができるのです。ワックスがけについて正しい知識を身につけ、いつでも美しい理想的なフローリングを手に入れましょう!
フローリングのワックスがけの効果的な7つの工程
それでは早速、フローリングのワックスがけのやり方についてみていきましょう。ここでは、一般的な液体タイプのワックスがけの方法ついて説明していきます。
■①家具を移動させ、フローリングワックスの道具を準備
自分でワックスがけを行うときに、事前準備は最も重要なことの1つです。ワックスがけを行うにあたってわたしたちが一番恐れている「失敗」を起こさないために、事前準備を完璧にしておく必要があります。
まず、ワックスがけを実行する日時を決めます。ワックスがけを行う日の天候は、実はとても重要です。湿度が高い日や雨の日は避けましょう。湿気が多いとワックスが乾きにくくなってしまうためです。また、ワックスがけを開始する時間帯は午前中が良いでしょう。午後は日差しが強くなるため、ワックスを塗っているそばから乾かしてしまい、ムラの原因となってしまいます。
次に服装です。髪の毛が床に落ちないよう、頭にタオルを巻くかヘアキャップを着用し、サラッとしたホコリのつきにくい服装で挑みます。靴下は毛羽立ちにくく清潔なものを着用しましょう。
ワックスがけをしたいお部屋は、窓から日差しが差し込んでいませんか?前述の通り、日差しで温められた部分のワックスは、あっという間に乾いてしまい、ムラの原因となります。新聞紙などを利用してあらかじめ日差しを遮断しておきましょう。
また、ワックスを塗り終えたら扇風機とドライヤーをあてることで早く乾かすことができます。ドライヤーは台数が多ければ多いほど役に立ちます。事前にコンセントの位置やコードの長さ、そして全てを作動させた時にブレーカーが落ちないかどうかを確認しておくと安心です。
ワックスモップはクイックルワイパーのような形状のものを準備しておくと良いでしょう。普段のお掃除と同じ感覚でワックスをかけることができます。
■②フローリングを掃除して効果をあげる
掃除機でフローリングのホコリを事前にしっかりと取り除きます。フローリングに髪の毛などの異物がこびりついていたら、傷をつけない程度にキャッシュカードなどのいらなくなったプラスチックカードを使ってこそげ落としておきます。
そして、洗剤を使って丁寧にフローリングを拭いていきます。この作業を適当にしてしまうと、新しく上塗りするワックスで汚れを閉じ込めてしまい、きれいに仕上がらない恐れがあります。しっかりと汚れを落としていきましょう。そして、最低でも2回は水拭きをして、洗剤を残さずきれいに落としていきます。その後、乾拭きをし、扇風機を使ってフローリングをよく乾かします。
■③広いフローリングは区切ってワックスする
広いお部屋にワックスをかけたい場合は、マスキングテープなどを利用して適度な面積に区切っていきます。この作業をしておくことにより、ワックスを塗った箇所がわかりやすくなるため、塗り残しや重ね塗りを防ぐことができます。
マスキングテープを貼るときは、フローリングの板に沿って真っ直ぐに貼りましょう。テープの幅は細過ぎても太過ぎてもいけません。細過ぎるとワックスモップが区切った線からはみ出てしまいますし、太過ぎると粘着力が強いため剥がすときにワックスが一緒に剥がれてしまいます。
■④ワックスを塗る場所の順番を確認
次に、ワックスの塗り方をシミュレーションしていきます。計画なしにワックスがけを始めてしまうと、夢中でワックスを塗っているうちに、気が付いたら自分の行き場がなくなって閉じ込められてしまうことがあります。ワックスをお部屋の奥から出口に向かって、目地や溝に沿ってきれいに塗っていくシミュレーションをしておきましょう。
■⑤フローリングワックスをムラなくかけていく
扇風機とドライヤーの準備はできましたか?
さぁ、ワックスの液をワックスモップにたっぷり染み込ませ、お部屋の奥から出口に向かって薄くムラなく伸ばしていきましょう。床に少量のワックスを垂らし、丁寧に伸ばしていきます。この時、多めに液を落としてしまうと艶ボケをしてしまうので注意が必要です。
マスキングテープで区切ってある箇所は、テープの上であれば少しはみだしてしまっても大丈夫。テープをはがすときれいな直線になっているはずです。区切った1つのエリアのワックスを塗り終えたら、その都度手早くテープをはがし、十分に乾かしましょう。焦りは禁物です! 触っても跡がつかない程度に乾いたことをきちんと確認してから、次のエリアのワックスがけにとりかかります。
乾かすときは、柔らかい風で扇風機をお部屋全体にかけます。この時、ドライヤーを使って温かい風をあててあげると早く乾かすことができますので、ぜひ活用してみてください。夏場は15~20分、冬場は30分くらいが乾くまでの時間の目安です。
日当たりのいいお部屋や空気の冷たい廊下など、お部屋によって気温の差があるため、暖気や冷気に注意しながら進めていきましょう。ワックスがけをするお部屋の順番は、作業に慣れるために最初は小面積のお部屋から、そしてリビング、最後に廊下という流れがおすすめです。
■⑥フローリングにワックスしたら後片付けをする
無事に全部屋のワックスがけが完了したら、ワックスを乾かしている間の時間がもったいないので、後片付けに取り掛かりましょう。ワックスモップをワックスが完全に落ちるまで丁寧に水洗いをします。すぐに水洗いができる状況でない場合は、ワックスモップに付着したワックスが乾燥してしまうことを避けるために、ワックスモップを濡れたタオルでくるみ、ビニール袋などにいれて口をしっかり結んでおきましょう。
また、次回以降も問題なく使用するために、ワックスのフタがしっかりしまっているかどうかも確認しておきましょう。
■⑦フローリングに2回目のワックスがけをする場合
効果を高めるために2回目のワックスがけをする場合もあるでしょう。1回目のワックスがけで満足のいく仕上がりになった場合は、2回目のワックスがけを行う必要はありません。もし2回目のワックスがけをする場合は、1回目のワックスがけを行った翌日以降に行いましょう。1回目と同じ手順でワックスをかけていきますが、洗剤や水をつかったフローリングの清掃は不要です。
フローリングワックスの効果的な選び方
さて、無事にワックスがけの方法をマスターできましたら、次はワックスがけの主役とも言えるフローリングワックスを選びましょう。フローリングワックスにはどんな種類があり、どのように選ぶと良いのかを説明していきます。
■①フローリングの床材に適したワックスを選ぶ
フローリングワックスには、油性、水性、ハード系、樹脂系などいくつかの種類があり、床材に合わせて選ぶ必要があります。油性はオイルステイン仕上げがされているフローリング、水性は無垢材のフローリングに適しています。ハード系は耐久性にとても優れていますが、プロに依頼しないと基本的には施工できないものです。
普及率が一番高いフローリングワックスは、樹脂ワックス。一般的なフローリングに使用ができ、ホームセンターに置いてあるワックスのほとんどはこのタイプのワックスです。使い方も比較的簡単で、たくさんの種類が出ているため、ご家庭でも使用しやすくなっています。
■②フローリングワックスの種類による違い
フローリングワックスには、大きくわけて
・液体タイプのフローリングワックス
・スプレータイプのフローリングワックス
・シートタイプのフローリングワックス
の3つの形状があります。
一般的なフローリングワックスは液体タイプのもので、液を垂らし、ワックスモップを使って塗り伸ばしていきます。スプレータイプはフローリングにスプレーワックスを吹きかけて、ワックスモップで塗り伸ばしながらワックスがけを行います。シートタイプはワイパーに取り付けて簡単にワックスがけを行うお手軽なワックスです。
スプレータイプとシートタイプは、液体ワックスと比べて仕上がりやワックス効果の持続が劣りますが、簡単でお手軽にワックスがけを行うことができます。そのため、大掛かりなワックスがけを行いたくないというご家庭には適しています。本格的にワックスがけを行いたい場合は、液体タイプがおすすめです。
■③フローリングワックスの違いによる効果の差
フローリングワックスを選ぶ時、たくさんの種類があって、あなたはどのワックスを選ぶべきなのか悩んでしまうかもしれません。そんなときは、あなたの理想とする仕上がりを想像し、明確にしてみると良いでしょう。わたしたちがフローリングワックスに求める効果は、主に4つに分けることができます。
1.耐久性
ペットを飼っていて爪痕がつきやすい、椅子や机をよく動かすため床に傷がつきやすいなど、フローリングに傷がついてしまうことが心配という場合には、耐久性に優れたワックスを選ぶと良いでしょう。耐久性に優れたワックスの液は硬く、床に傷がつくことを防いでくれます。
2.耐水性
キッチン周りや洗面所、観葉植物を置いている床などには、耐水性に優れたワックスを選ぶと良いでしょう。水はねによるワックスの緩みを防いでくれます。
3.弾力性
お年寄りや小さな子供がよく行き来していて滑ってしまうのが心配という場合には、弾力性に優れたワックスを選ぶと良いでしょう。このタイプのワックスは柔らかく弾力があり、滑り止め効果を発揮してくれます。
4.光沢感
理想とするフローリングの光沢感は人それぞれです。ピカピカにしたいという人もいれば、光沢感は抑えて木の雰囲気を残したい人もいます。フローリングワックスはたくさんの種類があり、光沢感についてもその程度を選ぶことができるため、理想の光沢感に近づけるようなものを選ぶようにしましょう。
理想とする仕上がりを明確にしたうえで、優先順位を立て、一番適したワックスを選ぶようにしましょう。
フローリングワックスが実感できる効果
では、ワックスがけを行うと、実際にどのような効果があるのでしょうか。ワックスをかけることによって得られる効果についてみていきましょう。
■①ワックスでフローリングの保護効果
ワックスを塗ると、フローリングの上に硬く透明な膜をつくった状態になります。ラップをかけた状態とイメージするとわかりやすいでしょう。そのため、床に外的な衝撃が加わった場合、ワックスの膜が保護してくれているため、フローリング本体に傷がつきにくくなります。
■②フローリングをワックスで美しく見せる効果
フローリングには、実は目には見えない凹凸が多数存在します。ワックスを塗ることによってこの凹凸が滑らかになり、光が均一に反射するため、自然な光沢がでます。そのため、ワックスを塗ったフローリングは、ツヤが増し、美しく見えるのです。フローリングが輝くことによって、お部屋全体が明るく感じ、高級感に満ち溢れることでしょう。
■③掃除の負担をフローリングワックスで軽減する
家の中で汚れやすい場所のひとつとしてあげられるのが、床です。裸足で歩くと皮脂汚れがつきやすくなりますし、キッチン周りやダイニングなどでは、食べこぼしや油汚れなども気になりますよね。ワックスを塗ったフローリングは、膜をはってコーティング効果があり、ツルツルしています。そのため、汚れがつきにくく、さらには汚れを落としやすくなるため、普段の掃除が楽になるのです。
フローリングのワックスを業者に頼んだ場合の料金相場比較一覧
ここまで読んで、やっぱり自分でワックスがけを行う自信がなく、プロの手を借りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな時は、無理をせず業者に依頼してみましょう。お掃除大手のダスキンでもフローリングワックスがけをしてくれます。
ワックスがまだらに取れてしまった場合、ワックスが剥がしだけをしてくれる業者もありますよ。
1畳あたりの金額 | A社 | B社 | C社 | D社 |
---|---|---|---|---|
掃除とワックス | 1,000円 | 1,222円 | 要相談 | 要相談 |
ワックスの剥離だけ | 2,000円 | 要相談 | 要相談 | 要相談 |
ワックスの剥離とワックスがけ | 3,000円 | 要相談 | 2,000円 | 2,500円 |
■①フローリングのワックスを業者に依頼するメリット
業者にワックスがけを依頼するメリットとしては、自分でワックスがけを行うよりも、仕上がりがよく、耐久性が上がることがあげられます。業者が使用するワックスは、市販のワックスよりも成分濃度が高く、仕上がりに差がつきます。業者が行うワックスがけ1回で、市販のワックスがけを3回行ったほどの効果が得られます。
また、ワックスは3年~5年に1度は剥離作業を行う必要があります。ワックスを何度か塗り直していくうちに汚れが入り込み、床が黒ずんでいくことがあるためです。この作業は自分で行うと失敗しやすいため、業者に頼んだほうが無難です。
■②フローリングのワックスを業者に依頼するデメリット
ワックスがけを業者に依頼するデメリットは、なんといっても、費用がかかることでしょう。ワックスがけを業者に依頼した場合、一般的には、大体3万円~5万円が相場です。フローリングワックスを市販で購入する場合は大体3,000円前後ですから、決して安い金額とは言えませんよね。
賃貸でフローリングのワックスが取れた場合
ワックスには寿命があり、毎日歩く場所でもあるので時間が経つと剥がれてきます。気になるのが引っ越して出て行く時の住人側の負担金額ですが、フローリングのワックスは不動産屋や大家によって対応が大きく違うのが現状です。
キッチンのフローリングで床に油ハネや水をこぼした跡が多い場合は、ワックスもまだらに剥げてくるので敷金からワックス代を引かれる場合が多いです。
安くて簡単にかけられるフローリングワックスと、プロの業者がかける手間と時間がかかるフローリングワックスがあるので、もし不安なようでしたらワックスが剥がれた時に不動産屋や大家に相談してみましょう。
ワックス不要のワックスレスフローリングとは?
最近では、フローリングの床材に特殊な加工やコーティングをして、ワックスをかけなくても良いフローリング床ができています。ワックスをかけても、特殊加工されているのでワックスを弾いてしまうため、ワックスレスフローリングへのワックスはおすすめしません。
ワックスレスフローリングの種類によっては、指定のワックスであれば塗っていいと指示されているものもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。あなたは自分でワックスがけをしてみる自信がつきましたか?それとも自分で行うのは難しいと感じたでしょうか?
自分でワックスがけをしてみる自信がついたという方は、是非チャレンジをしてみてください。ワックスの効果は永久ではありません。効果を持続させるためには、約半年に一度は塗り直しが必要となります。自分でワックスがけを行うことができるようになれば、業者に頼むよりも手軽に、あなたが理想とするフローリングを維持することができるようになるでしょう。
フローリング、絨毯・カーペット、タイル、クッションフロア、畳の5種類の床素材別掃除方法をご紹介。