特殊清掃でなにができる? 特殊清掃でなにができる?
特殊清掃とは通常のクリーニングでは落としきれない汚れを落とし、原状回復を行う清掃業者です。
事故現場の復旧やゴミ屋敷清掃、多頭飼い崩壊の清掃、災害の復旧などは通常のクリーニング業者ではなく特殊清掃に頼みましょう。
- 消毒…立ち入り前・作業後に消毒する
- 部屋内の清掃…状況に応じた専用の薬剤で清掃する
- 床・壁・家財の解体…使い続けられない部分を解体・処分する
リフォーム…解体した部分を復旧する - 消臭・臭気測定…これからも使い続けられるレベルまで消臭する
不用品回収…通常のゴミには出せないものも回収してくれる - 消臭・臭気測定…これからも使い続けられるレベルまで消臭する
特殊清掃は、落としづらい汚れや処分の難しい不用品に対応しています。例えば、人の体液・血液がしみついたり、焼けてしまった家具・家電は通常のゴミに出せません。特殊清掃業者に解体・回収してもらいましょう。
オゾン脱臭機などの専用機材による消臭も大切で、最後に臭気の測定を行ってくれるので、次の借主がいたり、売りに出したりするときも安心です。
本記事では、特殊清掃が必要になるケースと作業の流れ、費用の相場を紹介していきます。業者の選び方も解説しているので、自分に合った業者を選んでいきましょう。
事故物件のための特殊清掃について
事故物件とは自殺・殺人・長期放置された孤独死などが起きてしまった物件のこと。通常のクリーニング業者では対応できないので、特殊清掃が必要になります。
■事故物件に特殊清掃が必要な理由
事故物件とは自殺・殺人や長期間放置された孤独死などが発生してしまった部屋のこと。
体液・血液による汚れは通常のクリーニングでは落としきれませんし、人が亡くなったまま放置された部屋は細菌・害虫の温床で、入っただけでも感染症のリスクがあります。
精神的な負担を避ける意味でも、特殊清掃会社に依頼しましょう。
孤独死に限らず人が亡くなった部屋には独特の死臭が発生してしまうので、病院以外の場所で亡くなった場合は臭気測定・消臭だけでも依頼することがおすすめです。
■事故物件の特殊清掃の流れ
事故物件の清掃は、最初に消毒剤を散布して清掃に入ります。その後、状況に応じて作業を進めていきます。
- 部屋内の清掃
- 害虫駆除
- 家財・家具の整理と処分
- 床・壁の解体
- リフォーム
- 消臭・消毒
事故物件の現場には体液・血液による汚れがしみついてしまっています。遺体が腐敗してしまったことにより、ベッドなどの家具や床・壁に腐敗した液体がしみついてしまうこともあります。
トイレや浴槽など、水場で亡くなった場合は、便座内・浴槽内・配管に液体が詰まってしまうケースもあります。問題のある部分を解体・除去し、清掃していきます。
事故物件の現場に発生してしまった害虫・害獣にも薬剤で対処します。換気扇や通気口から害虫が逃げ出さないように対策した後、見えない部分の害虫・害獣をしっかりと駆除していきます。
汚れがしみついてしまった家財・家具も専用薬剤で汚れを落としますが、それでは腐敗臭が落としきれないこともあります。精神的な意味でも使い続ける人は稀ですし、使い続けることが難しい場合はそのまま回収・処分します。ご依頼の自治体に会った処分方法を選んでくれるので安心です。
他にも、床・壁にしみついてしまった汚れや臭いに対策するため、解体・リフォームを行います。最後に消臭・消毒、特殊コーティングして死臭に対策していきます。
■事故物件の特殊清掃の料金相場
殺人・自殺・放置された孤独死などの特殊清掃は、清掃部分の広さや放置された時間で相場が大きく変わります。
リフォームが多ければ100万円をこえるケースもあるので、相見積もりをとって相場を把握していきましょう。
基本の特殊清掃のコースにオプションを加算していく形の業者が多いです。
ゴミ屋敷・汚部屋のための特殊清掃について
ゴミ屋敷・汚部屋尾も状況や放置時間によっては特殊清掃が必要になります。清掃と害虫・害獣の駆除、リフォームを一つの業者で行えることが強みになります。
■ゴミ屋敷・汚部屋に特殊清掃が必要な理由
ゴミ屋敷や汚部屋には、害虫・害獣が発生しているリスクが極めて高いです。繁殖力の強いゴキブリ、床下に潜むシロアリなど、自分では駆除しきれないため害虫駆除を専門とする業者が必要になります。
また、長期放置されたゴミ屋敷・汚部屋は家財・床・壁が腐敗したり、カビたりしていることが多く、入っただけでも感染症のリスクがあります。カビ・腐敗部分を撤去する必要があるのでリフォームと解体を行える特殊清掃業者への依頼が必要になります。
清掃後の消毒・消臭によって、掃除後に住み続けられる現状回復作業を行ってくれます。
■ゴミ屋敷・汚部屋の特殊清掃の流れ
ゴミ屋敷の清掃は、ゴミ処理と消毒が中心になります。食べ物以外にも家具が腐敗するパターンもあり、細菌・害虫が発生するため、消毒剤を噴霧してから作業に入ります。
- ゴミの搬出・分別
- 清掃作業
- 害虫・害獣駆除
- 床・壁の解体
- リフォーム
- 消臭・消毒
ゴミ屋敷・汚部屋の清掃ではゴミの搬出・分別が大切になります。貴重品を捜索しつつ、残すものと残さないものを仕分けし、依頼主に確認した後に処分していきます。買取できる不用品があれば、買取も同じ業者が行っていきます。賃貸物件でも、外に持ち出す際には共用部分の養生を行ってから持ち出すので安心です。
その後、ゴミがこびりついた部分の清掃を行い、状況によっては床・壁の解体とリフォームを行います。
害虫・害獣被害は発生源を明らかにした後しっかりと対応します。床の下まで確認してくれるので、シロアリやネズミが発生していても駆除したもらえます。
最後に消臭・消毒を行い原状回復作業が完了します。
■ゴミ屋敷・汚部屋の特殊清掃の料金相場
ゴミ屋敷や汚部屋の特殊清掃は、清掃する部分の広さや汚れていた期間によって相場が大きく変わります。
1部屋だけでしたら8万円程度で済むケースがありますが、一軒家でしたら20万円を超えることも多々あります。床や壁が腐敗し、リフォームが入ると費用は上がっていきます。
相場はお住いの地域でも変わるため、相見積もりをとって把握していきましょう。
猫屋敷・多頭飼い崩壊のための特殊清掃について
猫屋敷化したり、多頭飼い崩壊が起きた物件には特殊清掃が必要になります。爪痕・紙後のリフォームの他、独特のペット臭に対応してくれます。
■猫屋敷・多頭飼い崩壊に特殊清掃が必要な理由
猫屋敷などのペットを飼いすぎたお宅には、自力での清掃は困難です。ペットの糞尿被害や傷跡・臭いは通常の清掃では取れないためです。
糞尿の被害は通常の飼い方でしたら深刻な被害になりませんが、飼い方が不適切だったあり、多頭飼崩壊に至った場合は、特殊清掃が必要になります。こびりついたフンをこそげ落とし、家具や家についた部分は専用薬剤で落とします。
傷跡や咬み後はリフォームが必要になるので、清掃とリフォームを一度に行える特殊清掃業者に依頼しましょう。
消臭消毒作業では、フェロモン臭分解などの特殊清掃にしかない技術でペット臭を対策してくれます。
■猫屋敷・多頭飼い崩壊の特殊清掃の流れ
猫屋敷・多頭飼い崩壊の特殊清掃は消臭作業が中心になります。最初にこびりついたフンなどを除去し、臭いの原因を除去していきます。
- 部屋内の清掃
- 家財・家具のふき取り
- 床・壁の解体
- フェロモン臭分解
- 消臭・特殊コーティング
- 消臭・消毒
ペットのためお特殊清掃は、手作業で糞や尿を除去していくことから始まります。踏まれてこびりついた糞尿は、スコップなどで掘り返していくことになります。それで落とせない汚れは、削り取っていくのが一般的です。
部屋を掃除した後は、専用薬剤で糞尿が付いた部分をふきとっていきます。床・壁を解体して基礎にしみついた臭いの原因を除去し、徹底的に消臭します。
リフォームを望まない人のためには、特殊剤による床・壁のコーティングで臭いの立ちのぼりを防ぐケースもあります。予算に応じて消臭方法を考えられるのも大きなメリットです。
この時注意したいのは、ペットの消臭はオゾン消臭のみでは不十分だということ。動物特有のフェロモン臭の分解に対応している業者を選びましょう。
汚れと臭いを落とした後は、消毒を行い原状回復作業が完了します。
■猫屋敷・多頭飼い崩壊の特殊清掃の料金相場
猫屋敷・ペット屋敷の特殊清掃は家財のふき取り、フェロモン臭分解、特殊コーティングが必要になるので、特殊清掃の中でも高額になる傾向があり、80~100万円近くなります。
お住いの地域や間取りによって相場は大きく変動するので、相見積もりを作成して相場を把握していきましょう。
火災現場のための特殊清掃について
火災現場は倒壊の危機と火災ゴミの扱いの難しさから特殊清掃に頼むのがおすすめ。リフォーム会社に頼むのと違い、清掃・リフォームが一度に終わるのがメリットです。
■火災現場に特殊清掃が必要な理由
火災で発生するススや灰、燃え殻は家庭ごみには出せません。ススを吸い込むと健康被害のリスクがあるので、立ち入るだけでも危険です。建物・家具が倒壊するリスクもあるので、自力での清掃は困難です。
火災で出たゴミや残留物を外に出す際、灰やススが落ちてしまうと二次被害が発生するため、火災現場の復旧に詳しい特殊清掃業者が必要になります。解体・リフォームまで同じ業者で行えることもメリットです。
清掃・解体してもススは細かい隙間に入り込み悪臭の原因になるため、特殊清掃業者による専用の消臭作業が必要になります。
■火災現場の特殊清掃の流れ
火災現場のための特殊清掃では、まず現場の密閉作業から始まります。燃え殻や灰、ススは健康被害を与える有害物質であるためです。
- 火災現場の密閉作業
- 燃え殻・貴重品の搬出
- 清掃・煤の除去
- 解体
- 消臭
火災現場で出た燃え殻や貴重品、家具・家電は通常のゴミではなく、産業廃棄物として扱われます。特殊清掃でしたら搬出・回収・処分を一度に終わらせてくれるので安心です。搬入の際に共用部分を通ることがあっても、しっかり養生しているので周囲へ被害を広めることはありません。
燃えたものを持ち出した後は、ススや灰を清掃します。除去しきれない部分は解体・リフォームで対応していきます。
現場の清掃・解体が終わった後は、専用機材による消臭作業を行います。コーティング剤で臭いを封じ込める方法もあり、周囲に臭いがもれることはありません。
■火災現場の特殊清掃の料金相場
火災現場の特殊清掃は解体する部分の広さによって相場が大きく変わります。ススの防臭処理やススの除去も広さによって料金が変わるので、高額になりやすい傾向はあります。
お住いの地域でも相場が変わるので、相見積もりをとって相場を把握していきましょう。
水害ための特殊清掃について
水害現場では生活スペースだけではなく床下の汚水・ゴミにまで対応する必要があります。家具・家電の搬出もしてくれる特殊清掃への依頼がおすすめです。
■水害に特殊清掃が必要な理由
水害による床上浸水・床下浸水が起こると、汚水のかきだし・乾燥・消毒作業が必要になります。
自力で行うのは精神的・肉体的な負担が大きいので、業者に依頼しましょう。特殊清掃業者であれば、消毒と同時にカビ菌の除去も行ってくれます。
水をかぶった家財・家具もまだ使えるものとそうでないものを分別し、処分の際にはお住いの市町村に合わせて分別してくれます。
消臭・消毒に対する高い技術を持っているため、工務店やハウスメーカーに頼むより安心です。リフォーが必要になった場合も、清掃と同じ業者で行えることもメリットです。
■水害の特殊清掃の流れ
水害による汚水・泥は悪臭の現認になります。床の下や壁の裏まで洗浄・消毒してくれる業者を選びましょう。
- 家財・家電の搬出
- 床・壁の解体と洗浄・乾燥
- 消毒
- カビ除去作業
- 消臭・脱臭
水害の復旧は浸水した現場から家具・家電を搬出し、使えるものと使えないものに分別することから始まります。
その後、床下にたまった汚水や汚泥を排出・除去し、洗浄作業に移ります。機材を使ってしっかりと乾かします。オプションで防カビ処理を行う業者もあるのでで、二次被害も防げます。その後はカビを落として清掃作業は終了です。
その後はガスによる消臭・消毒作業を行い、原状回復作業が完了します。
■水害の特殊清掃の料金相場
水害現場の特殊清掃は、排水・洗浄・消毒作業から始まり、カビやシロアリの対策、床のリフォームなど作業が多いので、高額になりやすい傾向があります。
浸水の範囲やお住いの地域で相場が大きく変わるため、相見積もりをとって相場を把握していきましょう。
特殊清掃業者の選び方
特殊清掃は清掃内容と現場の状況・間取りで料金の変動が激しい傾向があります。相場の把握が困難であるため、相見積もりをとって選ぶのがおすすめです。見積もりを請求する間のやり取りで、業者との相性も確認できます。詳しくはこちらの記事でも解説しています。
見積もり時に確認しておきたいポイントは下記の通りです。
特殊清掃の開業のために必須な資格はありませんが、解体のためには「解体工事業登録」が、ゴミ処理のためには「一般廃棄物収集運搬許可証」が必須です。持っているかどうか確認しておきましょう。
遺品整理士や事件現場特殊清掃士が在籍している業者は、事故物件や遺品整理に強い業者です。その他状況に応じた専門資格がありますので、見積もり時に確認してみましょう。火災や水害の場合は、住まいの手配や保険会社とのやり取りまでフォローしてくれる業者がおすすめです。
特殊清掃の流れに関するよくある質問
■特殊清掃の費用は誰負担?
お家に住んでいる本人が支払えない状態であれば連帯保証人や相続人に支払い義務があります。孤独死など、相続人が見つかっていない状態では大家が負担するケースもあります。
本人が負担できない状態の場合、関係者で協議して決めていく流れになると考えていきましょう。
■入居者が孤独死してしまった時特殊清掃は誰が呼ぶ?
孤独死が発覚した時点で、故人の負債と財産は相続人に受け継がれます。原則相続人が呼ぶことになりますが、中々見つからない場合や相続放棄の場合は大家さんが呼ぶパターンもあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。