お気に入りのセーターを家で洗濯したいけど、縮むのが怖くて洗えないですよね。全体的に縮むだけでなく、腕は伸びて、胴の部分は縮むというようにアンバランスな長さになってしまうこともあります。どのようにすれば、型くずれしないセーターの洗濯ができるのでしょうか?
セーターの洗濯にはコツがあるんです。いくつかのポイントさえおさえれば、クリーニングで高いお金を出さなくても、家でしっかり綺麗にできますよ。袖口の所が汚れてきたり、首についたファンデーションが気になったら、セーターを自宅で洗濯してみましょう。
セーターが洗濯で縮む原因3つ

ウールのセーターが、洗うと縮んでしまう理由は3つあります。
「水分」「こすれ、スレ」「温度」です。
①水分
毛糸は水を吸うと、繊維のウロコである「スケール(セレーション)」が開いて立ってきます。
ウロコが、逆だっているような状態を想像してください。スケールは人間の髪の毛のキューティクルのようなもので、綿や麻など他の生地には無い羊毛ならでの特長でもあります。立ち上がったスケールとスケールがからみあってしまうことで、セーターの糸がぎゅっと縮んでしまうのです。
②こすれ、スレ
水分を含んだ毛糸はスレることで硬くふわふわ感が無くなり、フェルト状になって縮んでしまいます。まだ毛糸が毛羽立っている状態であれば、トリートメントなどで直せるかもしれません。しかし、フェルト状態になると再びふっくらさせるのは難しいのです。セーターを洗濯する時にはゴシゴシせずに、優しく押し洗いしましょう。
③温度
セーターは羊の毛でできているので、体温の状態で最適になるようにできています。しかし羊毛は熱を加えると、スケールが開いてお互いにからまり、急激に縮んでしまいます。化繊の毛糸の場合は、逆に伸びてしまいます。
セーターを洗う時には、この3点を忘れずに扱いましょう。
セーターを洗濯する6つの手順

■1 セーターの洗濯表示をチェック
お気に入りのセーターが洗えるかどうかは、洗濯表示を見ればわかります。洗濯表示はつい見落としがちですが、使用して良い水温や、洗剤などが書かれているので、忘れずにチェックしてください。洗濯表示で、オケに水がためてある絵に、大きくバツ「X」が描いてあると自宅で洗濯は難しいので、クリーニングに出しましょう。おしゃれ着用洗剤を使えば何でも家で洗濯できる、というわけではないので注意してください。
海外製のセーターで、洗濯表示が無い場合は、カシミヤ、皮、シルク、レーヨン、キュプラ、アセテートといった生地がどこかに使われていたら自宅での洗濯は難しいです。また、裏地やポケットなど、セーターの一部に羊毛とは違う素材のものが使われている場合も、水に濡らすと伸縮率が違ってくるのでセーターが型くずれする場合があります。これらの場合は、クリーニング店での洗濯をお願いしましょう。
セーターについている洗濯表示の例
水洗いできるセーターについている洗濯表示
水洗いできないセーターについている洗濯表示
手洗い推奨のセーターについている洗濯表示。洗濯機より手洗いが望ましいです。
■2 セーターを洗う前にサイズを測る
セーターを洗った後、どの程度縮んだのか心配であれば、洗う前に採寸しておきましょう。
測る場所は、
・肩から袖口までの長さ
・袖口の幅
・肩幅
・首の後ろから、セーターの裾までの長さ
・エリ周り
です。
洗って乾燥し終わった時に、洗う前よりも大幅に長さが違っていたら、アイロンの蒸気を当てたり、髪の毛のトリートメントに浸け置いたりして型くずれを直しましょう。
■3 セーターを洗う洗剤を選ぶ
セーターの洗濯には、塩素系やアルカリ系の洗剤は使えません。塩素系の洗剤は殺菌力が強い半面、非常に強い洗剤なのでセーターの洗濯には向いていません。白いセーターでも塩素系漂白剤は使用しないでください。
弱アルカリ性の洗剤でも、毛糸には刺激が強いので硬くなってしまい、ふわふわ感が無くなってしまいます。洗濯洗剤の多くはアルカリ性なので、セーターを洗う時には【おしゃれ着洗い用中性洗剤】を使ってください。
どのような洗剤が【おしゃれ着洗い用中性洗剤】かご紹介していきましょう。
・花王 エマール
エマールは、セーターを優しく洗ってくれるだけでなく、ニット全体が毛羽立たないように、色がくすんでしまわないように洗ってくれます。そして優しく洗いながら、気になるセーターに染み込んだ汗や汚れはきっちり落としてくれるのです。普通に洗濯機で洗うと毛玉ができたり、スレたりしてダメになってしまいそうな服を洗う時に使う時に使う洗剤とおぼえておきましょう。エマールのスマートフォンサイトでも、洗濯表示の解説をしていますので、自分のセーターが洗えるかどうか知りたい時には調べてみましょう。
・ライオン アクロン
ライオンのアクロンも、花王のエマールと同様に、ロングセラーのおしゃれ着洗い用中性洗剤です。セーターの毛糸の奥にまで入ってしまった汚れやニオイ、皮脂汚れなどもキレイにしてくれますし、アクロンにはシルキータッチ成分が入っているので、セーターの毛玉ができるのを防いでくれます。微香タイプのナチュラルソープの香りと、香りが際立つフローラルブーケの香りの2種類があります。
・エコプラッツ社 善玉バイオ洗剤 洗たく用エレガントアクア
善玉バイオ洗剤を製造しているエコプラッツは、大阪の会社で、業務用洗剤を長年製造しており、最近は家庭用エコ洗剤に力を入れています。「エレガントアクア」は、セーターの汗を落とすだけでなく、黄ばみやニオイも取ってくれます。また、セーターの他にもレーヨンやテンセルといった難しい生地も、エレガントアクアで洗うことが可能です。エコプラッツではエレガントアクアにあわせて、セーターが入れられる洗濯用ネット「プロネット・ミニ」も販売しています。
・ダスキン 高級衣料用つけおき洗剤
ダスキンが開発した、セーターなどの高級衣料用つけおき洗剤です。手洗いの場合は水2リットルに対して数滴(1ml)、洗濯機で洗う場合は水30リットルに対して、キャップ半分(15ml)を入れて洗濯液を作ります。そして、セーターを15分程つけおきしたら、すすぎ洗いをします。脱水は機械を使用せず、バスタオルで優しく挟むようにしてたたきましょう。
・花王 ソフター1/3
セーターの柔軟剤にオススメなのが、花王の「ソフター1/3」です。
繊維を1本ずつシルクのようになめらかにしてくれるので、セーターがふわふわになります。
パチパチ痛い静電気も防止してくれるので、冬に有り難いですよね。
■4 セーターは優しく手で洗う
セーターは、手洗いするのが基本です。洗濯機でゴロゴロ回してしまうと、毛玉ができてしまうからです。セーターを洗剤を溶かした水に、たたんで入れましょう。グシャグシャにして入れてしまうと、型くずれしてしまいます。上から両手でそっと押してセーター全体に洗剤が染み込んだら、優しく押し洗いをします。セーターを押して、浮いてきたら再び押すのを繰り返しましょう。
どうしても洗濯機で洗いたいという場合は、洗濯ネットに入れて洗濯機の中の一番丁寧なコースで洗ってください。「ドライコース」や「手洗いコース」「ていねい」などと書かれているコースで、いつも洗濯しているよりもソフトに洗うコースであれば良いでしょう。