自分で特殊清掃をできる?
特殊清掃が必要なケースは、孤独死・事故死の対処やゴミ屋敷・ペット屋敷への対処、災害の復旧などがあります。ここでは、特殊清掃が必要なケースと呼ぶ目安について解説していきましょう。
■自分で特殊清掃をできるケース
特殊清掃を呼ぶ理由がゴミ屋敷への対処や害虫処理なら、ある程度のレベルまでは自力で対処可能です。
例えば、生ごみが放置され、悪臭が出ている程度であれば、市販の清掃の道具や害虫駆除剤で対応できるでしょう。
探さなくともゴキブリなどが見つかるレベルであれば、害虫駆除業者の手を借りる必要があります。さらに床や壁、家具がカビているようであれば、特殊清掃が必要です。
もう一つ対応できる可能性があるケースは、猫などのペット屋敷の清掃です。「ペットの糞尿の臭いがするけれど、ゲージ内で適切に飼育している」などの場合、ゲージを取り換え、消臭剤を見直すことで改善する可能性があります。
ペットの糞尿が床や壁にも付着してしまっていたり、傷跡がある場合は、特殊清掃業者による消臭が必要です。
このほかにも、水害・火災などの災害復旧も状況によっては特殊清掃までは必要がないケースがあります。
倒壊のリスクが無い状態でしたら、一度検討してみましょう。詳しくはこちらの記事で解説しています。
■自分で特殊清掃をできないケース
孤独死・事故現場など、人が亡くなった現場は自力での特殊清掃は止めましょう。死臭は市販の洗剤や消臭剤では落としきれない上、精神的な負担が大きいためです。
遺体の状態によっては、部屋に入っただけでも感染症・伝染病のリスクがあります。警察の指示に従い、早めに特殊清掃を呼ぶことが大切です。
ゴミ屋敷・ペット屋敷は害虫の発生したり、家具・床・壁に傷や腐敗が始まっているようでしたら自力では対処できません。
水害・火災などの災害復旧は、家の倒壊が無いようでしたら、ある程度行ってもいいでしょう。部分的に自分で清掃して、床下などは業者に任せるという方法もあります。
自分で特殊清掃を行う危険性
自力で特殊清掃をするためには、遺体の腐敗液や害虫、腐敗から身を守る装備と知識が必要です。これはドラッグストア・ホームセンターなどで揃えられるものではないため、素人には危険な作業になります。
伝染病・感染症リスクの他、特殊清掃が必要な汚れは、汚れ自体が専門家以外の対処が困難です。
特殊清掃現場の汚れに関しては、通常のクリーニング業者でも装備が足りないことがあると言えば、その専門性の高さがうかがえますね。
専門家以外が下手に触ると、被害が拡大するリスクの方が高いので、早めに特殊清掃を呼んだ方がいいでしょう。
自力での特殊清掃をおすすめしない理由は、精神的な負担も理由です。
人が亡くなった現場は勿論、ゴミ屋敷・ペット屋敷などは害虫が大量に発生しています。特殊清掃業者の方の体験談によれば「黒い壁だと思ったら一面ゴキブリに覆われていた」など、通常予想できない事態になっている可能性が高く、危険です。
【自力で特殊清掃した方が安いの?】
自力で特殊清掃を行うためには、防護服一式、専用の洗剤、撤去した家財などの臭いが漏れないゴミ袋などが必要です。
これらをすべてそろえると、結局は高額になるため、自力で特殊清掃を行うメリットは極めて少ないです。
「高いお金を払いたくない」という場合は、補助金や保険金の利用の方からアプローチしましょう。特に、空き家整理は補助金が出ていること多いので、自治体に確認してみましょう。
特殊清掃の手順・作業内容
特殊清掃は、目的によって作業が追加されることがありますが、基本の流れは「入室前の消毒・汚物除去と清掃・消毒」と共通しています。ここでは、その内容と必要になる事例を解説していきます。
■消毒
特殊清掃を呼ぶ目的が何であれ、現場には細菌・害虫が蔓延しています。
安全に作業するためには、防護服を着るだけではなく、消毒が必要です。
そのため、入室前に消毒を行った後、清掃と消毒をセットにして作業が進んでいきます。
消毒することは、安全性の確保の他、一時的な消臭にも役立ちます。
散布する薬剤も特殊清掃業者の専門知識で作られていることが多いと人件費が市販の消毒剤より高額になる理由です。
■汚物除去・清掃
特殊清掃の目的がなんであれ、清掃の前に体液・汚物の除去が必要です。
人が亡くなった現場の血液・腐敗液は通常の洗剤では落としきれませんし、床下まで染みついてしまっていた場合はその部分を解体・除去していきます。
ペット屋敷で壁・床や家財についた汚物や糞尿を削り取ったり、ゴミ屋敷のトイレで固まった排泄物を削り取ったり、通常の方法では除去できない汚物にも対応してくれます。
火災現場の煤・灰や水害現場の泥も、周囲に散らばらせることなく回収してくれるので、二次被害の心配がありません。
それぞれの現場の汚物・特殊なゴミを除去した後は、洗浄・消毒作業になります。
特殊清掃の現場では通常の洗剤では落としきれない汚れが多いため、業者は専門の薬剤で対応していきます。これが、確実に汚れが落ちる理由と高額になる理由です。
■不用品回収
人の体液や腐敗液、ペットの糞尿などがしみついてしまった家財や災害で出たゴミは、家庭ごみに出せない場合もあります。
しかし、特殊清掃の不用品回収サービスであれば、運搬・処分してくれるので安心です。運搬の際には養生してくれるので、アパートなどの共有スペースを汚す心配もありません。
■床・壁・家財の解体とリフォーム
特殊清掃業者の薬剤でも落としきれない汚れや、特殊コーティングでも封じ込められない臭いは、解体・リフォームで直接除去します。
例えば、孤独死やゴミ屋敷のトイレや浴槽などの水回りの配管には、液体が詰まってリフォームが必要になるケースが多いです。
ペット屋敷の場合も、薬剤で落としきれない臭いの除去のために壁・床を解体することがあります。
火災・水害現場は復旧が難しい場合に解体・リフォームとなります。解体会社やリフォーム会社に頼むと貴重品の捜索などは作業に含まれませんが、特殊清掃業者であれば家の中のものを「必要・不要」に仕分けてくれることがメリットです。
■消臭・臭気測定
特殊清掃による清掃・消毒・不用品回収が終わったら、オゾン脱臭機などによる現場全体の消毒・消臭が必要です。
ペット屋敷の場合、ペットの尿に含まれるフェロモン臭の分解が必要なので、高温スチーマーなどの専用機材で分解していきます。
消毒・消臭が終わったら、臭気測定計による臭いの測定が行われるので、その後にお部屋を使い続ける場合も安心です。
特殊清掃で発生する臭いは、市販の消臭剤はもちろん通常のクリーニング業者では対応しきれないことがあることが、高額になる理由です。
特殊清掃の業者の費用相場
特殊清掃の相場は、汚れの程度・種類や放置時間、現場の間取りによって大きく異なるため、WEBサイトを見ただけでは把握しづらい傾向にあります。
例えば、人が亡くなった現場であればお部屋の数ではなく「故人が亡くなってからどれ位時間が経過していて、気温・湿度はどの程度か」が重要ですが、ゴミ屋敷・ペット屋敷は部屋の数・広さが料金に関係します。詳しくはこちらの記事でも解説しているので、必要に応じてご覧ください。
タスクルが調査した作業別のおおまかな費用の相場は、下記の通りです。
作業人数やお住いの地域でも相場が変わりますので、相場を知りたい場合はお住いの地域名で調べてみてもいいでしょう。
特殊清掃の業者の選び方
特殊清掃の相場は、汚れの程度・種類や放置時間、現場の間取りによって大きく異なるため、業者を選ぶ前に相見積もりをとって相場を把握する必要があります。詳しくはこちらの記事でも解説しています。
見積もりを請求する際のやり取りで、担当者との相性や必要な情報も確認できるので、下記のポイントに注目していきましょう。
- 代表者の氏名・会社の連絡先が明確であるか
- 料金体系が明確であるか
- ゴミ処理のための一般廃棄物収集運搬許可証を取得しているか
- 買取のための古物商許可証を取得しているか
- サイトに依頼したい内容の実績を掲載しているか
代表者の氏名・会社の連絡先が明確で信頼できる業者を見つけたら、資格を確認していきます。
特殊清掃には解体が伴うことが多いため、解体工事登録が必要です。
ゴミ処理のためには一般廃棄物収集運搬許可証の取得か委託が必要なので、持っているか確認しましょう。
その際、ご自分の依頼内容と近い作業を実績として紹介している業者がおすすめです。
見積もりを受け取ったら、料金体系・作業内容が明確であることを確認します。
悪質な業者ほど作業内容を書かずに合計金額だけを提示する傾向があります。その金額が極端に安いようでしたら、後で高額請求を行うといったトラブルにもつながります。
自分で特殊清掃を行いたい時のよくある質問
■特殊清掃は自分でできるの?
特殊清掃のためには少なくとも専用の洗剤・防護服が必要です。これらはネットで購入することができますが、一式をそろえるのは高額ですし、作業は肉体的・精神的に辛いものになります。そのため、原則特殊清掃を自分で行うことはおすすめしません。
ゴミ屋敷やペット屋敷の清掃、災害の復旧作業に関しては「特殊清掃を呼ぶレベルだと思っていたけれど、自分で対処できるかもしれない」といったケースがあり得ますので、本記事などを参考に業者の有無を検討してみましょう。
■人が亡くなった場合、必ず特殊清掃が必要?
同居家族がいる方の病死・老衰などで遺体がすぐに発見されたのであれば別ですが、一度死臭が発生すると通常の方法では完璧に落とせません。
こちらの記事でご自分でできる対処法を解説しているので、これらを試しても死臭が残っている場合は、特殊清掃への依頼を検討しましょう。
■特殊清掃の費用は誰負担?
原則現場となったお部屋の持ち主・借主です。住人が亡くなっている場合は、相続人に費用の負担が引き継がれます。相続を放棄する場合は、大家さんや管理会社の負担になるケースが多いです。
特殊清掃による原状回復費用の負担に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。
孤独死の原状回復費用は誰が払う?相場と見積り方法3つ | タスクル
https://taskle.jp/media/articles/1774孤独死の原状回復費用に関して、わからないこと不安に思うこと、は多いと思います。「孤独死の現状復旧費用は誰が負担するのか?」「費用相場はいくらぐらいかかるのか?」そして、「見積もり方法はどうするのか?」など、孤独死の現状復旧費用に関して、保険適用ケースや見積もりのコツなどを踏まえて詳しく解説します。